第14回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
開催日: 1991(平成3)年3月22日(金)
場所: 東京プリンスホテル
司会: 高島忠夫/古手川祐子
優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)「少年時代」製作委員会

最優秀作品賞 「少年時代」


戦況が逼迫する中、東京から富山県に転校してきた少年の疎開生活を、地元の少年達との心の交流を軸に、豊かな自然を重ね併せて描く。原作は、芥川賞作家柏原兵三の長編小説「長い道」と、今回製作も担当している藤子不二雄 A の長編漫画「少年時代」。2年間にわたるオーディションを経て選び抜かれた少年達の熱演が、時代を越えた少年期の有様を実像化して話題を呼んだ。(「少年時代」製作委員会)

優秀作品賞 「櫻の園」


原作は、女子高校演劇部を舞台に、部員達の人間関係を描いた吉田秋生の漫画。映画では、学校創立記念日の記念演目として毎年上演されるチェーホフの「桜の園」上演2時間前から開幕までの短い時間に限定し、原作の趣を鋭く凝縮している。500人にも上る応募者の中から、選ばれた22人の女子高生達が、あくまでも自然体で、生き生きと描かれている。(サントリー=ニュー・センチュリー・プロデューサーズ)

優秀作品賞 「死の棘」


島尾敏雄の同名小説を、小栗康平監督が自らの脚本で映画化、戦争と敗戦、そして高度経済成長という大きな時代のうねりの中を生きた、一組の夫婦、一組の家族の“形成・崩壊・再生”を通して交わされる赤裸々な魂の交信を見つめながら、近代日本人の人間性を問いかけた作品である。ありふれた日常の中から、日常では計り知れない人間の精神的営みを、詩的映像美の中で編み上げていく 。(松竹=松竹第一興行)

優秀作品賞 「白い手」


原作は、行動派の小説家として若い人々に熱狂的なファンを持つ椎名誠の同名小説。貧しくとも、自然や人間関係の太い絆の中で、たくましく生きていく少年達。そして、小さな心に芽吹き始めた、淡い恋心を、少年の視点で捕えた風景と共に映し出している。特に、数多くのロケハンを通して、昭和30年代という微妙な時代を巧妙に再現し、郷愁を誘う作品に仕上げている。(関西テレビ放送)

優秀作品賞 「夢」


黒澤明監督自身の投影とも言える一人称“私”が登場し、全8話で構成されるオムニバス映画。黒澤監督を師と仰ぐスチーブン・スピルバーグが全面協力し、スピルバーグ提供、黒澤明作品として、全世界配給されるという、画期的出来事でも話題を呼んだ。8話中6話に登場する寺尾聰を中心に倍賞美津子、原田美枝子、笠智衆、マーチン・スコッセシという多彩な顔ぶれも大きな注目を集めた。(黒澤プロダクション)
優秀監督賞
最優秀賞篠田正浩(少年時代)


実験的精神に富んだ野心作を撮り続け、最もエネルギッシュな活動を展開している監督の一人である。「少年時代」では「瀬戸内少年野球団」などで見せた登場人物ひとりひとりに対する深い愛情が富山の山村を舞台に蘇り、「舞姫」などで印象深い、映像作りの確かな手腕に一層の冴えを見せ、その力量を遺憾なく発揮した。監督賞は第6回の受賞に続いて今回で3度目。(1931年 岐阜県)
優秀賞小栗康平(死の棘)


監督賞は、第5回の最優秀賞に続いて2度目の受賞であり 前回の受賞作品「泥の河」と同じく今回も高度経済成長期前の混沌とした“昭和”を舞台に描いている。「死の棘」は、高校生の時から原作を読み、あたため続けてきた作品という小栗監督の6年ぶりの新作である。私小説というかたちを借りた原作の、脱客観性に力点をおいたという映像は、静かながら力強い映像に仕上げている。(1945年 群馬県)
優秀賞黒澤明(夢)


「夢」は、第43回カンヌ映画際において最高の名誉とされるオープニング上映作品となり、エンディングの後、10分間の間スタンディングオベイションが鳴り止まなかった。オスカー特別名誉賞の受賞と併せて[世界のクロサワ]を感じさせる出来事である。その黒澤監督をして、「表現としての“夢”に挑戦したかった」と言う、映画に対する想いと、飽くなき意欲を感じさせる言葉である。(1910年 東京都)
優秀賞神山征二郎(白い手)


最近では、「旅路・村でいちばんの首吊りの木」「ハチ公物語」など、娯楽性の高い作品を手掛ける一方、「ひめゆりの塔」「ふるさと」等、自然を舞台に、伝統風俗や四季のうつろい、風土と人間を追った作風には定評がある。「白い手」では、人を愛することの、歓びや哀しみに触れていく少年達の心の動きを、四季の彩りを織り込みながら映像化した演出が見事である。(1941年 岐阜県)
優秀賞中原俊(櫻の園)


監督デビューは、にっかつ時代1982年の「犯され志願」。以来、一般映画でも「メイク・アップ」「猫のように」と女性を主人公として独特の愛情表現と形態を描き続けている。時間をかけた「櫻の園」のリハーサルでは、まず女子高演劇部の部員として、基礎練習から始めたと言う。その入念さが活かされ22人の等身大の高校生を見事に描ききった。次回作が大いに期待される。(1951年 鹿児島県)
優秀脚本賞
最優秀賞山田太一(少年時代)


「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など、数々の良質なテレビドラマ作品で知られるとともに最近では、映画「異人たちとの夏」「飛ぶ夢をしばらく見ない」といった話題作の原作者としても注目を浴びている。「少年時代」では、同時代を体験した自らの記憶と重なって、書きたい思いを制御するのに時間を要したというが、少年の心を見つめた丁寧な脚色で味わいを深めている。(1934年 東京都)
優秀賞伊丹十三(あげまん)


本来、日本は“男が弱い文化である”として捕え、日本人男女の自画像として描いたと言う「あげまん」。男性に上昇運を与える“あげまん”の女ナヨコと、中身は子供同然のダメ男との純愛物語を縦軸に、伊丹色満載のアメリカ流3幕物形式で組み立てられている。キャラクター設定の妙味とその徹底ぶりで、一連の伊丹作品と同じくオリジナリティに溢れた秀作に仕上がっている。(1933年 京都府)
優秀賞一色伸幸(病院へ行こう)


数々のテレビドラマを執筆し、映画では「私をスキーに連れてって」「彼女が水着にきがえたら」など現代感覚溢れる作品に加え、「木村家の人々」といった喜劇にも独特の才能を発揮する。「病院へ行こう」では、同作品のプロデューサー河井真也氏の入院体験をヒントに、病院内での人間関係を軽妙なタッチで描き上げている。今もっともノッている若手ライターのひとりである。(1960年 東京都)
優秀賞小栗康平(死の棘)


監督賞に併せて受賞の小栗康平氏は脚本賞初受賞。一組の夫婦の会話の中に、逃げ場の無い、それぞれが対決にも似た緊張感を生み出す“台詞”を全編に織り込んでいる。純文学の極みとも言われ、かつて一度も映画化されていなかった島尾作品。島尾氏が亡くなる数ヶ月前に、小栗康平監督自身の強い要望によって映画化が許諾されたという経緯も、その筆に力強さを加えているという。(1945年 群馬県)
優秀賞じんのひろあき(櫻の園)


映画「ラスト・キャバレー」「ノー・ライフキング」の脚本を手掛け、同時に“劇団マントルブリンシアター”では作・演出を行うなど多方面で活躍している。受賞作「櫻の園」は、貸本屋さんで原作を手にしたときから、誰かこれを映画にすれば良いのに、と思っていたと言う。限定された条件下で青春讃歌を書きあげたその手腕に、今後が期待される若手ライターの一人である。(1962年 福岡県)
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞岸部一徳(死の棘)


グループサウンズ“ザ・タイガース”のリーダーとして活躍。グループ解散後に俳優に転じ、個性的なキャラクターと存在感で、独特の雰囲気を醸しだす役者として活躍している。「死の棘」では、徹底した受身の姿勢を保ち続ける、一見ひ弱そうで実は芯の強い貧乏小説家トシオ、という微妙な役どころを演じきる。安定したトーンの中に味わい深さを醸し出す貴重な役者である。(京都府出身)
優秀賞真田広之(つぐみ/病院へ行こう/リメインズ 美しき勇者たち)


「つぐみ」「病院へ行こう」「リメインズ 美しき勇者たち」と三者三様のキャラクターを、見事に演じ分け、幅のある演技を見せてくれた。アクション・スターとして身に付けたダイナミックな演技を土壤に、繊細さや、コミカルな3枚目も柔軟なセンスで演じる実力派俳優として、その将来が期待されている。第8回に続いて2度目の主演男優賞受賞である。(東京都出身)
優秀賞原田芳雄(浪人街/われに撃つ用意あり)


俳優座養成所第15期生を経て、昭和43年の「復讐の歌が聞こえる」で鮮烈にデビュー。肉体的・精神的なたくましさに裏打ちされた、野生的な男性像の演技には固有のものを持つ。「浪人街」「われに撃つ用意あり」の両作品でも、骨太で荒々しい男が持つ狂気と哀愁を、力強い演技で浮き彫りにしている。精悍なマスクと、独特な魅力で個性ある男性像を演じられる貴重な存在である。(束京都出身)
優秀賞森繁久彌(流転の海)


昭和22年の「女優」での映画デビュー以来、日本映画界を代表する俳優として、常にその第一線で活躍している森繁氏にとって、映画とは欲と芸との闘いであると言う。原作の主人公自体が同氏をイメージして描かれたという「流転の海」で「小説・吉田学校」での主演男優賞受賞以来、7年ぶりの主演映画出演を果たし、その健在ぶりをスクリーンに披露してくれた。(大阪府出身)
優秀賞役所広司(オーロラの下で)


1979年に仲代達矢主宰の“無名塾”の第2回公募に合格し同年デビュー。本格的な映画出演は伊丹十三監督の「タンポポ」(1985)。日ソ共同製作で作られた「オーロラの下で」では極寒のシベリアの大地で、オオカミ犬“ブラン”を相手に数奇な運命を持つマタギ・源蔵役をスケール大きく演じきった。その妥協のない熱演に、ソビエト側スタッフからも大きな称讃を得ている。(長崎県出身)
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞松坂慶子(死の棘)


今回で14回目を数える日本アカデミー賞史上、2年連続の最優秀賞受賞を含む、じつに9回目の優秀主演女優賞受賞。現在の日本映画界を代表する女優のひとりである。全編ノーメイクで挑戦した「死の棘」では平凡な主婦から、夫の浮気を知って狂乱し、やがて狂女に転じて行く女の姿態を、美しくも妖しく演じ、これまで以上の魅力を発揮して強烈な印象を残した。(東京都出身)
優秀賞岩下志麻(極道の妻たち 最後の戦い/少年時代)


気品に溢れる優美さと芯の強さ、そして、日常さえも逸脱する激情的な女の狂気とを併せ持つ。まさに“魔性”という言葉にふさわしい雰囲気を持っている女優である。「極道の妻たち 最後の戦い」ではその気丈さで組織を取り仕切り、果敢にも戦いを挑む女を。夫君篠田監督と共に携わった「少年時代」では都会から転校してきた少年の、上品な母親を貫禄ある演技で熱演した。(東京都出身)
優秀賞佐久間良子(遺産相続)


「人生劇場」「五番町夕霧桜」などに主演し、男性映画路線を貫いてきた東映に初めて誕生したスター女優として、その地位を築いたトップ女優のひとり。「遺産相続」では、かつての純情可憐、近くは良妻賢母・女らしさといったイメージを払拭して、本妻と遺産争奪戦を繰り広げる“妾”役に挑戦。鬼気迫る迫真の一大転身ぶりで円熟の魅力と、幅のある演技力を見せてくれた。(東京都出身)
優秀賞牧瀬里穂(つぐみ/東京上空いらっしゃいませ)


「東京上空いらっしゃいませ」で主役に抜てきされて映画デビュー。久々に登場した大型新人女優として注目される。続く吉本ばななのベストセラー小説「つぐみ」の映画化においても、生まれつき体が弱く甘やかされて育った18歳の少女が持つ、不思議な生命感を巧みに表現して、その実力が評価され、新人俳優賞と併せての受賞である。今後の活躍が大いに期待されるひとり。(福岡県出身)
優秀賞宮本信子(あげまん)


夫・伊丹十三監督作品とともに、過去3回の主演女優賞を受賞。内1回は最優秀賞と、今や伊丹作品に欠くことの出来ない存在と言える。今回の「あげまん」でも伊丹監督の言葉を借りれば、津川 雅彦氏とのコンビはまるで「絶好調のマストロヤンニとジャンヌ・モローで映画を撮っている気分にさせた」という名演。独自のスタイルを確立して、映画的に誇張されたキャラクターを好演している。(北海道出身)
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞石橋蓮司(公園通りの猫たち/浪人街/われに撃つ用意あり)


映画デビューは、昭和39年の「越後つついし親知らず」。以来、時代劇から現代劇・悪役からコミカルな役どころまで幅広い演技力でこなす実力派俳優。「公園通りの猫たち」「浪人街」「われに撃つ用意あり」では三者三様のキャラクターを演じ分けその実力を遺憾なく発揮した。人間臭さ溢れるキャラクターを愛しく思わせる、不思議な存在感を持つ。貴重な個性を持った俳優である。(東京都出身)
優秀賞大地康雄(病院へ行こう)


昭和58年の初主演テレビドラマ「深川通り魔殺人事件」川俣軍治役の衝撃的な演技が現在でも伝説的に語られる演技派。翌年の映画「マルサの女」での査察官役も“和製ジャック・ニコルソン”と称され一気に注目を浴びる。「病院へ行こう」では、柄は悪いが根は優しい下町気質を発揮する “おじさん”ぶりを好演。喜怒哀楽の激しい情熱的な演技が広く評価された。(熊本県出身)
優秀賞三國連太郎(釣りバカ日誌2/釣りバカ日誌3)


前回は、「利休」において格調高い演技で全く新しい利休像を演じ最優秀主演男優賞受賞。その重厚な演技は広く知られているが、最近では「釣りバカ日誌シリーズ」で素晴らしいコメディアンぶりを披露して、俳優として懐の深いところを再確認させてくれた。喜劇はシリアスドラマと違って、演技が無限に広がって行くのが楽しいと、同シリーズ3作目でも新しい魅力を見せてくれた。(群馬県出身)
優秀賞吉岡秀隆(男はつらいよ ぼくの伯父さん/男はつらいよ 寅次郎の休日)


テレビドラマ「北の家族」では、独特のナレーションと併せて、成長する少年の心理をその大自然の中で熱演し子役として一時代を築いた。映画デビューは「遥かなる山の呼び声」。それ以前も劇団若草時代に数々の経験を積んで、その長い芸歴に培われた演技には定評がある。「男はつらいよぼくの伯父さん」「同 寅次郎の休日」では淡い恋心に揺れ動く気持ちを見事に表現した。(埼玉県出身)
優秀賞渡瀬恒彦(激動の175日/天と地と)


たくましい精神力に裏打ちされた、情熱的な男性像を演じることでは、定評がある。また監督の意志を汲み取り、確かな演技力で表現してゆくその実力は多くの監督から評価されている。一昨年の「敦煌」に続く大作「天と地と」や「激動の1750日」でもその力量を示して、物語のスケールに一歩もひけをとらない演技で多くのファンを魅了した。(兵庫県出身)
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞石田えり(釣りバカ日誌2/釣りバカ日誌3/飛ぶ夢をしばらく見ない)


デビュー以来、体当りで望む姿勢と、バイタリティー溢れる演技で広く認識される、実力派若手俳優の一人。「釣りバカ日誌」シリーズでは、明るく陽気な奥さん役を好演し、おおらかな存在感を表している。一方、「飛ぶ夢をしばらく見ない」では老女から幼女へと、成長を逆行する過程の難解な役どころを繊細に演じて、ファンタジーをリアリティあるものに仕立てている。(熊本県出身)
優秀賞小川眞由美(遺産相続/白い手/遥かなる甲子園)


「遺産相続」では妾との遺産争奪合戦を繰り広げる本妻役を。「白い手」では東京から転校してきた主人公の母親。「遥かなる甲子園」では自分がかかった“風疹”によって子供を聴覚障害児にしてしまった事を悔いながらも、子供と共に強く生きてゆく母親と、3タイプの母親役をしっかりと演じわけ、強い印象を残した。様々な“おんな”役で日本映画を支える女優の一人。(東京都出身)
優秀賞香川京子(式部物語)


「式部物語」では事故によって童心にかえってしまった息子を献身的に支える母親、伊佐役を強く切なく演じきって好評を得た。言葉少なに息子への愛情を表現する姿には鬼気迫るものがある。何事にも受身で一見ひ弱そうながら、実は芯の強い日本女性を演じ続け、静かな存在感を持っているベテラン女優である。助演女優賞受賞は、第2回に続いて今回で2度目。(東京都出身)
優秀賞後藤久美子(男はつらいよ ぼくの伯父さん/男はつらいよ 寅次郎の休日)


美少女の代名詞的存在であると共に、その大きな存在感で常に注目されている女優の一人。映画デビューの「ラブ・ストーリーを君に」では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今回は「男はつらいよぼくの伯父さん」「同 寅次郎の休日」とシリーズ43作中初めての“マドンナ役連続出演”を果たし、貫禄のある演技を披露した。1作毎に確実な成長を見せる、期待が大きい女優である。(東京都出身)
優秀賞原田美枝子(式部物語/釣りバカ日誌2/夢)


映画デビューは15歳。以来、新しいタイプの演技派女優として注目され続けている。役に応じてその絶妙な心理状態を表現する質の高い演技に評価は高い。昨年も「釣りバカ日誌2」「式部物語」「夢」と幅広いジャンルの映画に出演して、俳優としてキャパシティの大きいところを確認させてくれた。助演女優賞は今回の受賞で3度目、第10回では最優秀助演女優賞を受賞している。(東京都出身)
優秀音楽賞
最優秀賞池辺晋一郎(少年時代/夢/流転の海)


日本を代表する映画音楽家の一人。音楽賞受賞は、第7回・8回に続いて3度目の受賞である。「少年時代」では富山の山村を素朴な雰囲気で包み込み、「流転の海」では戦後の昭和絵巻に彩りを加え、そして「夢」においては壮大な異次元空間を浮かび上がらせた。映像の主張に添えて、常に質の高い総合映像芸術の域を目指して活躍している。(1943年 茨城県)
優秀賞桑田佳祐/小林武史(稲村ジェーン)


1990年の話題作「稲村ジェーン」では初監督とともに音楽も担当。映像と共に“桑田&サザン・ワールド”を惜しげもなくスクリーン上に繰り広げて、若者の心を掴んだ。共同で担当した小林氏は音楽プロデューサー、ミュージシャンとして活躍。今回は主にサントラのプロデュースを手掛けた。(1956年 神奈川県) (1950年 東京都)
優秀賞小六禮次郎(オーロラの下で/激動の175日)


東京芸術大学卒業後、作・編曲家として第一線にデビュー。映画音楽に限らず、テレビ、ミュージカル、ステージ、CM、レコードとその活躍の場は広い。極北の地を舞台にした「オーロラの下で」では自然のダイナミックスさを巧みに表現し、「激動の1750日」では緊張感のある旋律で、緊迫した映像を盛り上げている。今回が初の受賞である。(1949年 岡山県)
優秀賞久石譲(カンバック/タスマニア物語/釣りバカ日誌2/ペェスケガタピシ物語)


映画音楽以外でも、様々なジャンルで作・編曲を担当。また本格的なソロ活動も展開して精力的な活動を続けている。映画音楽では、「風の谷のナウシカ」などのアニメーションから、今回の受賞作「カンバック」「タスマニア物語」「釣りバカ日誌2」「ペエスケガタピシ物語」など幅広い作品群で確かな手腕を発揮している。(1950年 長野県)
優秀賞松村禎三(式部物語/浪人街)


前回に続いて3回連続の受賞。古くから映画音楽を手掛けており、その誠実な音楽作りには定評がある。「式部物語」その精神の深淵に迫る感覚内な世界を奥の深い音楽に仕立て上げ「浪人街」では野生的で情熱的な世界をドラマチックに盛り上げ、作品を一層味わい深いものにしてくれた。クラシックの分野でも数々の賞を受賞している実力派である。(1929年 京都府)
優秀撮影賞
最優秀賞安藤庄平(死の棘)


今回で3度目の受賞。第5回の最優秀撮影賞受賞作「泥の河」と同じく小栗康平監督作品「死の棘」での受賞である。全体の7割近くがセット内で撮影されたという映像は、一見、平坦で均等に写し込まれた精密な絵画のようなのだが、様々な思いによって多層化し主張を持った立体感あふれる映像へと昇華されている。随所に高度なテクニックも織り込んで、映画の主題を浮き彫りにした。(1933年 東京都)
優秀賞奥村祐治(オーロラの下で)


日ソ合作映画「オーロラの下で」で初の受賞。スケールの大きな舞台で繰り広げられる様々なドラマをストレートに切り取って、大自然の迫力を再現した。両国のスタッフ間では、気質や方式の違いはあったものの、十分に理解し合って仕事が進められた結果である。改めて映画は多くのスタッフの力の結集が必要であることを認識し、この受賞を一刻も早くソ連スタッフに伝えたいという。(1935年 北海道)
優秀賞斎藤孝雄/上田正治(夢)


コンビでの受賞は、黒澤明監督作品「乱」に続いて2度目。斎藤氏は「七人の侍」から参加、「椿三十郎」から撮影監督を勤め、以降黒澤作品に無くてはならない重要なスタッフである。上田氏は「影武者」以来のスタッフで、「夢」では汽車や鳥の実写撮影を長時間かけて撮影し、映像にボリュームを加えている。(1929年 京都府)(1938年 千葉県)
優秀賞鈴木達夫(少年時代)


「少年時代」では、現在の日本に無くなってしまった風景や自然を巧みに映像化して、その確かな技術力を発揮している。特に昭和19年当時の村落の風景を再現するために幾度となくロケハンが繰り返され、その結果、少年達の爽やかなドラマの舞台と奥行きある映像を見せてくれた。撮影賞は第3回、第12回に続いて3度目の受賞。日本映画界を代表する一人である。(1935年 静岡県)
優秀賞前田米造(天と地と/大迷惑トラブルコメディー どっちもどっち)


計算された緻密なカメラワークは「家族ゲーム」「お葬式」「マルサの女」など室内シーンで知られ、特に新鋭監督から絶大なる信頼を寄せられている。「天と地と」ではスケールの大きな戦国絵巻を、鮮やかなコントラストで力強く描写し「大迷惑トラブルコメディーどっちもどっち」ではヤマ場の飛行シーンをハイビジョン撮影するなど高度なテクニックを見せてくれた。(1935年 東京都)
優秀照明賞
最優秀賞松井博(死の棘)


テレビの長時間ドラマを中心に活躍し、映画は今回が初仕事で、初受賞。以前にコンビを組んだ事があるカメラの安藤庄平氏との作品「死の棘」では詩的映像の中に、輪郭のはっきりとした細部を巧妙に映し出す照明効果が印象的だった。7割がセットという条件の中で、自然で押え気味にひとつひとつを“作り上げてゆく”事を心がけたという。今後が期待される若い才能の誕生である。(1957年 福井県)
優秀賞渡辺昭夫(オーロラの下で)


「転校生」を初めとする、大林宣彦監督作品ではアメリカ方式で、撮影監督のもとで照明を担当。若い映画ファンを意識した明るさ、楽しさへの配慮がうかがえた。今回受賞作の「オーロラの下で」では日本国内のロケシーンを担当。特に冒頭で、300人に上る人々が竿灯祭りに興じるシーンでは、光と闇の演出に苦労したという。今回が初受賞である。(1942年 神奈川県)
優秀賞佐野武治(夢)


黒澤監督作品は「影武者」「乱」に続き今回が3作目。照明賞の受賞は今回で4度目、内「瀬戸内少年野球団」で第8回最優秀照明賞を受賞している。豊かな創造力と確かな技術に基づいた丹念なライティングには定評があり、「夢」においても絵画的な極彩色の映像に、深みを感じさせる巧みな技術を披露して作品をよりスケールアップさせている。(1930年 東京都)
優秀賞水野研一(少年時代)


「少年時代」では時代性を表現するのに苦労したという。富山の山村に降り注ぐ柔らかな陽光溢れるシーン。また、それに相反して、少年達の揺れ動く心象を映し出す包み込むような陰影。昭和19年代の日本の有り触れたそれでいて、優しさ溢れる懐の深い自然の風景を郷愁深く表現している。照明賞の受賞は第12回に続いて今回で2度目の受賞である。(1951年 東京都)
優秀賞矢部一男(天と地と/大迷惑トラブルコメディー どっちもどっち)


「天と地と」では壮大な戦国絵巻から、緊迫したリアリティと重厚さを引き出し、深みのある映像効果に貢献している。特に“動”のシーンでは強烈なコントラスト、“静”のシーンではクローズアップの陰影と印象的な画面を作りだしている。また、「大迷惑トラブルコメディーどっちもどっち」ではハイビジョン撮影、質の高い合成シーンなどにその技術力の高さを発揮している。(1936年 東京都)
優秀美術賞
最優秀賞木村威夫(式部物語/少年時代/香港パラダイス)


日本映画美術を代表する存在で、手掛けてきた作品は200本を越える。日本アカデミー賞は常連で、今回で7度目の受賞。第4回の「ツィゴイネルワイゼン」では最優秀美術賞を受賞している。今回は「式部物語」「少年時代」「香港パラダイス」を担当。幅広い範囲の作品群をカバーする創造力と、徹底した仕事ぶりは、作品のリアリズムに大きく貢献している。(1918年 東京都)
優秀賞徳田博(天と地と)


第12回の大作「敦煌」では、全面協力を得た中国人スタッフと共同で最優秀美術賞を受賞。大作での経験を活かして今回は「天と地と」に取り組んだ。特に3 億円の巨費をかけオープンセットとして再現された謙信の居城、春日山城は圧巻である。戦国絵巻の重厚感を支えるスケールの大きな美術の数々に本領を発揮している。(1939年 大阪府)
優秀賞内藤昭(遺産相続/流転の海/浪人街)


3年連続3回目の受賞である。今回は「遺産相続」「流転の海」「浪人街」の3作品での受賞。いずれもドキュメンタリータッチで繰り広げられる作風に、リアルな舞台を提供して、映画全体の真実性を揺るぎ無いものにしている。特に、久々の本格的活劇映画として注目された「浪人街」では往年の超娯楽時代劇の風合いを盛り込んで、剣劇の迫力に広がりを加えている。(1927年 京都府)
優秀賞村木与四郎/櫻木晶(夢)


「生きものの記録」以降、「デルス・ウザーラ」をのぞく全ての黒澤作品の美術を担当してきた村木与四郎。日本映画界の誇る超ベテランである。今回は、櫻木氏と共同で「夢」を担当。8話からなるオムニバス映画だけに実労は8作分ながら、それぞれに妥協の無い黒澤ワールドを再現している。(1924年 東京都)(1937年 和歌山県)
優秀賞横尾嘉良(死の棘/ほしをつぐもの)


第3回、第4回の連続受賞に続いて今回で3度目の受賞。「死の棘」「ほしをつぐもの」では昭和20年代の風景と、雰囲気を画面一杯に再現して見せてくれた。特に、ディテールをおろそかにしないセットには高い評価が寄せられている。「死の棘」に於いては全篇中7割にもおよぶセット内での撮影を可能にして、映像をより美的に浮き立たせている。(1930年 東京都)
優秀録音賞
最優秀賞西崎英雄(死の棘/少年時代)


「泥の河」「伽揶子のために」に続いて「死の棘」と、小栗監督と組んだ作品でいずれも録音賞を受賞している。個性的な監督の主張を明確に表現して、一見すると平坦なイメージを持つ映像に音場による立体感をもたらしている。「少年時代」でも遠い記憶を呼び覚ますような子ども達の声や、生き生きとした自然の音を掴み出して、心の琴線に触れる音作りに成功している。(1920年 岡山県)
優秀賞瀬川徹夫(天と地と)


今回の「天と地と」角川春樹監督作品は4作目に当たる。スケールの大きな作品に負けないように、千頭を越える馬や、三千人を越えるエキストラを使った戦闘音や、鉄砲の音などには徹底した本物指向の音ロケを行い、仕上げにはデジタル機器を多用し多くの音を重ねて新しい音作りを目指したという。小室哲也氏の斬新な音楽も映像にマッチして華麗な出来映えとなっている。(1943年 岩手県)
優秀賞紅谷愃一(チャイナシャドー/夢)


3度の最優秀賞を含む9回目の録音賞受賞という大ベテランで当部門の常連と言える存在である。受賞作は「羅生門」以来の黒澤監督作品「夢」と「チャイナシャドー」。録音技術の日進月歩を踏まえながら、独自の音の世界を作り続けている。鋭くリアルな音作りには定評があり、空間の広がりを意識させ、映画の印象をより深いものにしてくれる。(1931年 京都府)
優秀賞本田孜/ユーリー・ラビノビッチ(オーロラの下で)


日ソ合作映画、「オーロラの下で」でソビエト人スタッフと共同で受賞。今回が2度目の受賞である。長期ロケで日本の自然から、広大なシベリアまでを風の音・川の音・吹雪の音などで巧みに表現し、キメの細かい作業で雄大な自然と微妙な四季の移ろいを浮き彫りにしている。(1942年 長崎県)(1933年 USSR)
優秀賞宮本久幸(ZIPANG/つぐみ/良いおっぱい悪いおっぱい)


リアルタイム録音によるテクニックには定評がある。第9回の「それから」に続いて2度目の受賞。今回は「ZIPANG」「つぐみ」「良いおっぱい悪いおっぱい」と3作品での受賞。飾りすぎず、シンプルでありながら、切々と心に訴えかけてくるような臨場感を加えている。特に、「つぐみ」に於いては、主人公の複雑な心象を捕え、映像に緊迫感と奔放さを導きだしている。(1942年 東京都)
優秀編集賞
最優秀賞冨田功(女がいちばん似合う職業/櫻の園/バカヤロー!3「へんな奴ら」/病院へ行こう/香港パラダイス)


今回で2度目の受賞であり、現代の若手編集者を代表する存在である。昨年は「女がいちばん似合う職業」「櫻の園」「バカヤロー! 3へんな奴ら」「病院へ行こう」「香港パラダイス」と5本の話題作を手掛け、精力的な活動を続けている。特に若い映画作家達との現代性を表現した仕事ぶりは評価が高く、これからの活躍が大いに期待される。(1957年 東京都)
優秀賞小川信夫(死の棘)


小栗康平監督作品では、「泥の河」以来2度目の作品である「死の棘」で嬉しい初受賞。撮影現場に出かけたり、シーンの構成などについて細かく話し合うなどコミュニケーションは万全。フィルムが手元に届いた後も、小栗作品は設定や個々の素材がしっかりしているので、苦労したという気持ちは全く無く、後は主題をより明確化するように努めたという。他に「駅 STATION」等がある。(1930年 愛知県)
優秀賞長田千鶴子(少年時代)


第11回に続いて今回が二度目の受賞。篠田正浩監督とは初仕事の「少年時代」では、厳しい監督ということで不安もあった。しかし、富山の自然や少年達の表情がとても生き生きとし、加えて監督自身が楽しんでいたことが画面に出せたと言う。長期ロケの成果である、膨大な量のフィルムを手に編集に臨んだというが、その苦労も出来上った作品を見て楽しみに変ったという。(1942年 福岡県)
優秀賞鈴木晄(あげまん/天と地と)


1986年、特別賞として編集賞を受賞して以来4度目の受賞、内2回が最優秀賞という実力派である。今回の「あげまん」をはじめ伊丹十三監督作品のほとんどを手掛け、リズム感を大切にした編集を加えながら、作品の味わいをより深いものにしている。また「天と地と」では戦闘シーンなどの膨大なフィルムを見事にまとめ上げ、その誠実な仕事ぶりを見せてくれた。(1928年 大阪府)
優秀賞谷口登司夫(3-4X1月/浪人街)


前回の「利休」での受賞に続き、2年連続2度目の受賞。「座頭市」シリーズや「眠狂四郎」をはじめ、往年の大映娯楽大作を数多く手掛けてきた名編集者の一人。その経験を活かした「浪人街」「3-4X10月」で受賞している。活動的な動きのシーンと、対象的なシーンとをテンポ良く織り混ぜ作品の印象を強くしている。その確かな技術力には定評がある。(1935年 京都府)
優秀外国作品賞
最優秀賞フィールド・オブ・ドリームス


いつの時代にもアメリカを代表するスポーツであり、どの世代にも共通の話題をもたらす普遍的なものとして“野球”を捕え、そこに親子関係を重ねて描いたファンタジー映画。主人公に啓示をもたらすのは超自然的な声であるが、不自然さを感じさせず、また、古き良きアメリカを思わせる映像美も、郷愁を誘う佳作である。(東宝東和)
優秀賞ゴースト ニューヨークの幻


現世と霊界という二つの世界を舞台として展開する完全なスリラーであると共に、見事なラブ・ストーリーに仕上がった異色作。並いる超大作を押し退けて大ヒットし昨年度を代表する映画と言える。幽霊とのラブ・ストーリーに現実味をもたらした視覚効果や、目に見えない幽霊を相手に好演したデミ・ムーアの演技も注目された。(UIP)
優秀賞ダイ・ハード2


新しいタイプのアクション作品として大ヒットしたシリーズ第2作。前回のビルに続いて、今回は、空港を舞台に壮絶なアクションシーンが繰り広げられる。1 年後のクリスマスという設定に、1作目の要素を意識したユーモアを盛り込むなど、大作の続編が続く中エンターテインメント要素をすべてつぎ込んで大成功を納めた作品である。(20世紀フォックス)
優秀賞トータル・リコール


1967年の発刊当時から、映画化の話は絶えなかったものの、余りにも壮大なスケールで断念を余儀なくされてきたF・K・ディックの代表作「追憶売ります」を「ロボコップ」のポール・バーホーベンが映画化。A・シュワルツェネッガーを主演に、かつて無いSF・アドベンチャー作品に仕立て上げた。息もつかせぬスピード感と斬新な特殊効果で近年のSF映画の殻を破った作品である。(東宝東和)
優秀賞ニュー・シネマ・パラダイス


戦後間もない村を舞台に、唯一の娯楽の場である“パラダイス座”という名の映画館に出入りする少年と映写技師との心の交流を軸に、映画を愛し映画館を愛し続けた男の半生を綴る。叙情豊かな映像と音楽で、日本でもロングランを続けた作品である。舞台となる映画館で上映される名作の数々も、効果的に使われ印象を強くした。(ヘラルド・エース)
新人俳優賞
優秀賞加勢大周(稲村ジェーン)


CMやテレビドラマでも活躍し、その爽やかなキャラクターで若者の圧倒的な支持を得ている。同性にも支持されるその人気は、確かな演技力に裏付けられたものである。スクリーンデビューを飾った「稲村ジェーン」では初監督の桑田圭祐氏とともに大きな話題を呼び、同作品は話題賞にも選出されている。今春には、主演第2作も待機中で大きな成長が期待されている。(東京都出身)
優秀賞高嶋政伸(ゴジラVSビオランテ/山田ババアに花束を)


芸能一家で知られる、高島家の次男。俳優といった枠に捕われぬ多彩な活躍ぶりが光るスケールの大きなエンターティナー。「ゴジラVSビオランテ」「山田ババアに花束を」と続いた作品の中でも多種多様な表情を見せて、その個性をスクリーン狭しと躍動させている。昨年はベスト・ドレッサーも受賞。この非凡さは 91年も様々なジャンルで引っ張りだこになるだろう。(東京都出身)
優秀賞筒井道隆(バタアシ金魚)


「バタアシ金魚」の主役、カオル役でデビュー。オーディションから、撮影終了まで無我夢中だったと言うが、一途で強引な恋心を憧れのマドンナ“ソノコ君 ”に捧げ続ける役どころを好演し、原作の愛読者からもイメージにぴったりと好評を得た。ひとつの色に染まらない、透明感のある不思議なキャラクターで人気を得ており、今後も引続き注目を集めそう。(東京都出身)
優秀賞藤田哲也(少年時代)


東京育ちの少年が、疎開先の富山県で体験する出来事を描いた「少年時代」において、いかにも都会育ちといった風貌の少年から、芯の強さを身につけて成長して行く主人公を好演。篠田正浩監督に2年前から目を付けていたといわせる演技力、12歳の年齢にして、9年の芸歴を持つということからうかがい知ることが出来る。将来が楽しみな子役の一人である。(埼玉県出身)
優秀賞大和武士(鉄「TEKKEN」拳)


映画初出演は「どついたるねん」。同作品で注目を集めた阪本順治監督の第2作目「鉄拳」では主役を演じ、菅原文太と二人三脚で復活を目指すボクサー役を熱演した。少年院出身の現役ボクサーで、元日本ミドル級チャンピオンという衝撃的な肩書に“役者”という文字を加え、そのエネルギッシュな演技は日本映画界に新風を巻き起こした。ボクサーとしても世界を狙える逸材である。(岡山県出身)
優秀賞清水美砂(遺産相続/稲村ジェーン/バカヤロー!3「へんな奴ら」)


NHKの朝の連続テレビ小説「青春家族」のヒロイン役でお茶の間の人気者となった1989年から、1990年は話題作「稲村ジェーン」をはじめ「遺産相続」「バカヤロー!3」とスクリーンで大きく飛躍。スケールの大きい演技で存在感を強くアピールしている。久々に登場した、本格派の片鱗を見せる正統派美人女優として活躍が期待されている。(東京都出身)
優秀賞中島ひろ子(櫻の園)


人気コミックを原作に、みずみずしい少年達の青春の1ページを映像化した中原俊監督作品「櫻の園」に主演。500人に上る応募者の中から選ばれた今回の作品が、映画デビュー作品。演劇部の部長役を演じ確かな存在感を見せて、作品同様、同世代を含む多方面からの称讃を浴びた。飾り気のない素朴さが魅力で無限の将来性を感じさせる演技派である。(東京都出身)
優秀賞西田ひかる(山田ババアに花束を)


アイドル歌手出身でありながら、柔軟なキャラクターを活かした演技で「山田ババアに花束を」に出演。なみいる個性派に負けない強い個性と、インパクトのある存在感を表現して好評を得た。2歳から13歳まで過ごしたアメリカで培った英語力と、キュートなはつらつさが魅力。歌手としても数多くのファンを持ちミュージカルなど、幅のある活動を展開。その魅力に益々磨きをかけている。(東京都出身)
優秀賞牧瀬里穂(つぐみ/東京上空いらっしゃいませ)


CMでブラウン管デビューを飾り、爽やかな表情と共に人気を獲得。1990年もっとも多くの企業の顔として活躍した。映画初出演作「東京上空いらっしゃいませ」では、主役に抜擢され、演技でも非凡なものを発揮。続く主演作「つぐみ」でも確かな演技で難しい役どころを好演、優秀主演女優賞と併せての受賞である。1991年作品「幕末純情伝」では男役、沖田総司に挑戦する。(福岡県出身)
優秀賞村松美香(リメインズ 美しき勇者たち)


千葉真一が初監督した「リメインズ 美しき勇者たち」で、巨大な人喰い熊に家族を殺され、復讐に燃える少女役を熱演。素朴さの中に、少女の美しさと、たくましさを秘めた演技には好感がもたれる。得意のアクションを交えたダイナミックな動きに演技力を併せ持つアクション俳優として、今後が期待される、貴重な女優である。千葉真一主宰のJAC出身。(東京都出身)
会長特別賞
優秀賞高峰三枝子


昭和11年18才の時、松竹大船にて映画デビュー、由緒ある家柄出身の女優として新風を巻き起こして以来185本の映画作品に殆ど主演として出演し、日本の代表的映画スターとして、その生涯を全うしました。また、日本アカデミー賞協会の顧問としても尽力し、授賞式にも常時出席し、壇上に於ける贈賞者として活躍、後輩を激励し業界発展のために尽力しました。
協会特別賞
優秀賞落合保雄(撮影効果)


昭和30年、日活撮影所に入社。同社退社後、NK特機入社。現在は取締役。最近では、伊丹十三監督の全ての作品を担当するなど、映画的空間を効果的に演出する手腕には定評がある。参加した映画は、200数本に上り今後一層の活躍が期待されている。現在は、森田芳光監督の「おいしい結婚」に参加している。(1934年 福島県)
優秀賞田中美佐江(記録)


昭和21年松竹下鴨撮影所入社、翌22年、松竹「モデルと若様」で記録を担当して以来、最新作の「遺産相続」に至るまで約200本の作品に携わり、東映の主要作品を次々と担当して現在に至っている。映画製作全体を把握し管理する仕事ぶりは、作品に携わるスタッフから厚い信頼を得ている。現在は「福沢諭吉」を担当。(1930年 大阪府)
優秀賞中尾さかゑ(結髪)


昭和9年、日活撮影所での初仕事以来、57年間結髪技術者として常に第一線で活躍している。担当された作品は200本余り、数多くの俳優さんとのふれ合いを通して、現代の流行にも遅れないように日々努力の積み重ねだったという。その卓越した技術を要して、今は「八月の狂詩曲」で活躍中である。(1919年 宮城県)
優秀賞浜村幸一(小道具)


昭和23年、東宝に入社。黒澤明監督の「酔いどれ天使」を担当したのが第一作目。以来30年間、定年を迎えるまで東宝に籍を置き、後に自己の会社を設立。独立後も含めて約200本の作品を担当し、現在も精力的に活動の場を求めて活躍中で、日本・アメリカ合作映画の準備にとりかかっている。(1922年 東京都)
優秀賞南とめ(ネガ編集)


昭和8年、P.C.L.にスプリクターとして入社。同28年ネガ編集を始めて以来、手掛けた映画は数百本に上る。「自分の全てをぶつけて、夢中で仕事を続けてきたことで、ここまで編集者としてやってこれた。私にとってその作品1本1本が代表作です。」と言う南さん。現在は、黒澤監督作品「八月の狂詩曲」を担当している。(1912年 富山県)
特別賞特殊技術賞
優秀賞株式会社IMAGICA特撮映像部マットペインティング班


「流転の海」のマットペインティング技術。映画の撮影技法の中で、とても費用が嵩んで作りきれないセットや、現実には存在しないすばらしい景色を作画して実写と合成する方法をマットペインティングといいます。「流転の海」では、終戦直後の焼野原となった大阪の街や蒸気を威勢よく吐いて今にも走り出しそうな蒸気機関車が、マットペインティングにより実景と見間違えるほどリアルにスクリーンに登場します。
話題賞

作品部門:「稲村ジェーン」


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俳優部門:薬師丸ひろ子(「タスマニア物語/病院へ行こう」)


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