第15回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 1992(平成4)年3月20日(金)
場所: 国立京都国際会館 イベントホール
司会: 高島忠夫/田中好子

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)松竹(株)

最優秀作品賞 「息子」


ひとり田舎暮しを続ける父親と都会で働く息子。反発しあう父と息子が、やがて互いに人間として認めあい、理解しあう…。椎名誠の小説「倉庫作業員」をモチーフにし、山田洋次が肉付けしてできたこの「息子」は、すさまじい勢いで変貌していく日本の現実の中で、親子関係のありかたを手探りする父と息子の姿が叙情豊かに綴られていく。移りゆく北国の四季の風景も素晴らしい。(松竹映像)

優秀作品賞 「あの夏、いちばん静かな海。」


湘南の青い海を舞台に、ろうあの青年と少女の淡い恋を描いたラブ・ストーリー。前2作の衝撃的な映像とは大きく異なり、セリフや音楽を抑制した映像に北野武監督の豊かな表現力が発揮されている。主演の真木蔵人、大島弘子の好演により、言葉を持たないふたりの恋は、それだけ純粋で切なく、観る者の胸に感動を呼ぶ。(オフィス北野=東通)

優秀作品賞 「大誘拐-RAINBOW KIDS-」


誘拐された大富豪のおばあちゃんが、逆に犯人3人組を手下にして身代金を要求する!奇想天外なドラマ展開の中に、ヒューマンな味わいを織り込んだ本作は、1979年日本推理作家協会賞を受賞した天藤真のユーモア小説が原作。12年来この原作にこだわり続けてきた岡本監督の念願がかなって映画化された。(「大誘拐」製作委員会〔喜八プロ=ニチメン=フジエイト〕)

優秀作品賞 「八月の狂詩曲(ラプソディー)」


芥川賞受賞作である村田喜代子の原作『鍋の中』をもとに、全世界へむけて愛と希望と平和へのメッセージをこめて黒澤明監督が撮り上げた感動作。前作の「夢」からわずか1年。監督自身の作品にかける深い思い入れが感じられる。また、ハリウッドスター、リチャード・ギアの出演や86歳の名女優、村瀬幸子の熱演も大きな話題に。(黒澤プロダクション=松竹)

優秀作品賞 「無能の人」


個性的なコミック作家・つげ義春の作品を、これまた個性的な俳優であり、異色タレントでもある竹中直人が監督し、つげ作品の持つシュールな世界をスクリーンに再現した。時代にとり残され、多摩川の川原で石を売る男とその家族を中心に、現代社会から落ちこぼれた人々を、ブラックユーモアを交えながらも、暖かい視点で描いている。海外でも高く評価された。(ケイエスエス=松竹第一興行)
優秀監督賞
最優秀賞岡本喜八(大誘拐)


日本映画界において、そのケレン味と“まず面白く見せることを第一とする”姿勢から〈喜八コメディ〉とも称される第一級の娯楽作を生み出しているベテラン監督である。テンポのよいストーリー展開とスラップスティックな味わいにファンも多い。1986年の「ジャズ大名」以来4年ぶり、第37作目にあたる「大誘拐-RAINBOW KIDS-」で初の監督賞受賞となった。(1924年 鳥取県)
優秀賞北野武(あの夏、いちばん静かな海。)


監督第3作目にして、初めて企画、脚本、編集までを手がけた意欲作「あの夏、いちばん静かな海。」で初めての受賞となった。監督自身が“過ぎ去ってしまった青春の、果たせなかった夢がつまっている”と語っているように詩的な映像と音楽で描き出された恋は、永遠に輝く思い出となった。新境地の開拓で映像作家としての今後がさらに期待される。(1947年 東京都)
優秀賞黒澤明(八月の狂詩曲(ラプソディー))


受賞作「八月の狂詩曲(ラプソディー)」は、黒澤明監督の第30作にあたる。1990年に米アカデミー特別名誉賞を贈られた時に語った“映画という素晴らしいものをつかむために、これからも全力を尽くしたい”という言葉のとおり、愛と希望と平和というテーマをお祖母ちゃんと孫のふれあいの図式の中で意欲的に描いてみせた。この、映画への飽くなき挑戦を、世界中が見つめている。(1910年 東京都)
優秀賞竹中直人(無能の人)


映画、舞台、テレビ、ビデオ、CFなど様々なジャンルに渡って活動している才能豊かな人物。特に日常生活の中の何でもない出来事を、笑いや恐怖に変えてみせる彼の芸風は独特である。大学時代から自主映画を製作するなど、かねてよりその映画狂ぶりが知られていたが、この「無能の人」で監督デビューとなった。これからも、監督としての活躍が期待されるひとりである。(1956年 神奈川県)
優秀賞山田洋次(息子)


今回の受賞作「息子」は、“作りたい映画であり、作らねばならない映画だった”と語る山田洋次監督。激動の時代にあって、“父と息子”という関係をあらためて問い直した監督のなかには、日本人の心情を深く掘り下げ続けたいという姿勢が貫かれている。また同じく受賞作「男はつらいよ 寅次郎の告白」はシリーズ第44作を数えた。受賞歴も6回となり、円熟味は増すばかりだ。(1931年 大阪府)
優秀脚本賞
最優秀賞岡本喜八(大誘拐)


「観客にとっては“結果”だけが問題であって、“経過”は殆んど間題ではない」とする岡本監督は、脚本においても、テンポのよい展開、コミカルで巧みな会話などに、その力量を存分に発揮している。今回はサスペンスとコメディの融合の中に、普通の人間たちの優しさと懸命な生き様を見事に描き出し、痛快な作品に仕上げた。岡本監督の娯楽へのこだわりが伝わってくる。(1924年 鳥取県)
優秀賞北野武(あの夏、いちばん静かな海。)


作品賞、監督賞、編集賞、そしてこの脚本賞と4部門で初受賞の栄冠を手にした。撮影前に書き上げた台本に頼らずに、現場でイメージをふくらませていく手法をとる北野氏の映画づくりは「あの夏、いちばん静かな海。」でも同じ。ろうあ者が主人公という理由からではなく、セリフを排し、言葉では伝わらない感情をスクリーンに映しだそうとした試みは、見事に成功している。(1947年 東京都)
優秀賞黒澤明(八月の狂詩曲(ラプソディー))


前作「夢」がカンヌ映画祭でオープニングを飾り、世界中の絶賛をあびていた時すでに、黒澤明氏は「八月の狂詩曲(ラプソディー)」のシナリオを書き上げていた。原作を読んで、すぐに映画化を熱望したというだけあって、美しい自然が背景の、さりげなく、そして懐かしいホームドラマには、黒澤氏の平和へのメッセージが強くこめられている。脚本賞の受賞は今回が初めてである。(1910年 東京都)
優秀賞丸内敏治(無能の人)


脚本家、荒井晴彦に師事し、1988年一色伸幸と共同執筆した「ほんの5g」で映画デビューした。他に「われに撃つ用意あり」がある。今回の「無能の人」で初めて優秀脚本賞を受賞。現代社会から疎外された人物たちの日常世界を、どことなくユーモラスに、そして詩情豊かに描きあげた。抜群のユーモアセンスと地に足のついた人間描写の確かさには定評があり、今後の活躍が期待される。(1949年 熊本県)
優秀賞山田洋次/朝間義隆(男はつらいよ 寅次郎の告白/息子)


「男はつらいよ」シリーズで知られる名コンビが、今回は「息子」と「男はつらいよ寅次郎の告白」の2作品で受賞した。すでに5回目となる優秀賞の受賞だが、作品ごとにみせる人間への優しいまなざしと、深い洞察力は、このコンビならではのもの。「息子」では椎名誠の原作をもとに現代の親子関係を浮きぼりにした。(1931年 大阪府)(1940年 宮城県)
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞三國連太郎(釣りバカ日誌4/息子)


第13回の「利休」では最優秀主演男優賞を獲得するなど、これまでに助演男優賞を含めて5回の受賞歴を誇るベテラン。今回は、シリーズ4作目ですっかりおなじみとなった「釣りバカ日誌4」と、初めての山田洋次作品である「息子」の2作で受賞した。幸福とは、親子とはを問いかけた感動作「息子」では、老境にさしかかった父親の想いを重厚な演技で表現して、高い評価をうけた。(群馬県出身)
優秀賞緒形拳(咬みつきたい/大誘拐)


過去8度の優秀賞を受賞、そのうち3度が最優秀賞という実力派。これまではどちらかというと男くさい、重い役を演じることが多かったが「大誘拐-RAINBOW KIDS-」ではスケールの大きさの中にユーモアを織りまぜ、「咬みつきたい」ではドラキュラになってしまった小市民の心情をコミカルに演じ、改めて演技力の幅広さを知らしめた。日本映画界を代表する俳優のひとりである。(東京都出身)
優秀賞柴田恭兵(![ai-ou] /福沢諭吉)


「![ai-ou]」「福沢諭吉」という主演2作の演技が認められ、嬉しい初受賞となった。第10回の助演男優賞受賞以来5年で、骨太の役もこなすたくましい俳優にと成長した。近代日本のパイオニアとなった男に扮した「福沢諭吉」では本格的な時代劇に主演して新境地を開拓し、「![ai-ou]」では夢を捨てきれない中年チンピラ役に持ち味を発揮している。(静岡県出身)
優秀賞竹中直人(無能の人)


俳優として「ロケーション」「ファンシイダンス」「陽炎」など数多くの作品に出演してきたが、今回初めて自分の監督作に主演し、優秀主演男優賞の受賞となった。現代社会の流れに追いつけず、マンガを諦め石を売って歩く男――普段の喜怒哀楽の激しい芸風からは想像もつかないほど、内に感情を押しこめた演技は、観客に新鮮な驚きを与え、力量の奥深さを確認させてくれた。(神奈川県出身)
優秀賞松方弘樹(江戸城 大乱/首領〈ドン〉になった男)


自らプロデュースした「首領〈ドン〉になった男」と、本格的時代劇「江戸城 大乱」という大作に相次いで主演した1991年。今回の主演男優賞の初受賞の喜びとともに、忘れられない1年になった。現代劇、時代劇を問わず、スケールの大きな男を演じられる、貴重な存在として今後の活躍が期待される。また、製作者としての活動も日本映画界の財産となりそうだ。(東京都出身)
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞北林谷栄(大誘拐)


「大誘拐-RAINBOW KIDS-」で、気品があり、穏やかで、それでいて只者ではない82歳のおばあちゃんを演じた北林谷栄は、岡本監督が構想を温めてきた12年来、“主役はこの人しかいない”と心に決めていたという。その静かなる熱演は、見る者をうならせ、見事、監督の期待に応えた。舞台、映画に数多くの出演歴を持ち、 1950年から参加している劇団民芸の幹部女優としても活躍している。(東京都出身)
優秀賞岩下志麻(新・極道の妻たち)


第1回の最優秀主演女優賞以来、5回の受賞歴が語るように、現在の日本映画界を代表する女優である。シリーズ5作目となった「新・極道の妻たち」は、当たり役の“極妻”を熱演。妻としてだけではなく、母としての苦しみを味わうひとりの女を描いた今回の作品では、女の哀しさから強さまでを表現。スクリーンを越えてみせる迫力は、この人ならではのものだ。(東京都出身)
優秀賞工藤夕貴(戦争と青春)


弱冠20歳の若さからは考えられないほどの力強い演技で、故・今井正監督をうならせた「戦争と青春」で初受賞となった。戦時中と現代に生きる女の二役を演じることも、みずからの提案であり、戦火を再現した激しい炎の中でもひるまないあたりに、“女優”にかける強い意志が感じられる。すでにアメリカ映画での好演で海外での評価も高い。末恐ろしく、楽しみな存在だ。(東京都出身)
優秀賞樋口可南子(陽炎/四万十川)


恩地日出夫監督の「四万十川」では、初めての母親役に挑戦して、芯の強い、優しい女を演じた。-方、五社英雄監督の「陽炎」では、これもまた初めて女賭博師に扮して、激しさを秘めた女の生きざまを演じてみせた。この2作での演技が認められての初受賞だが、若手女優の中では群を抜く艶っぽさとしたたかな女ぶりは定評のあるところ。充実の年代を迎えての飛躍に期待したい。(新潟県出身)
優秀賞村瀬幸子(八月の狂詩曲(ラプソディー))


日本アカデミー賞は初受賞であるが、芸歴は60年を越える大ベテラン。「八月の狂詩曲(ラプソディー)」には、黒澤明監督の熱望により主演した。原爆によって夫を亡くした老婆が、ある夏の出来事によって深く心にしまいこんだ過去への思いをよみがえらせるラストシーンには世界中が胸を熱くした。自ら結成した、俳優座での活躍などで、1990年には勲四等瑞宝章も受章している。(東京都出身)
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞永瀬正敏(息子/喪の仕事)


相米慎二監督の「ションベンライダー」でデビューしたのが、17歳。その後、ジム・ジャームッシュ監督の「ミステリー・トレイン」などで着実にキャリアを重ねてきた、日本映画界期待の若手。1991年はベテラン、山田洋次監督の「息子」と新人・君塚匠監督の「喪の仕事」の2作で逸材ぶりをみせつけた。特に「息子」では、主演の三國連太郎の圧倒的な存在感に負けない骨太の演技をみせた。(宮崎県出身)
優秀賞井川比佐志(上方苦界草紙/戦争と青春/泣きぼくろ/八月の狂詩曲(ラプソディー))


「上方苦界草紙」「戦争と青春」「泣きぼくろ」そして「八月の狂詩曲(ラプソディー)」と4作品にわたる好演で、嬉しい初受賞となった。演劇出身の井川氏は、1970年に山田洋次監督の「家族」と黒澤明監督「どですかでん」で映画に進出して以来、確かな演技力で常に作品を支える俳優として活躍し続けている。数少ない庶民派としての等身大の演技は、日本映画に欠かせない存在である。(中国出身)
優秀賞緒形拳(グッバイ・ママ)


第12回に続く助演男優賞受賞で、今回は主演男優賞とのダブル受賞の快挙をとげた。受賞作 「グッバイ・ママ」では、飄飄とした持ち味を発揮して、大人になりきれない少年のような男を好演。初監督に挑戦した秋元康監督を大いにサポートした。現在の日本映画界にあって、硬軟両キャラクターを演じわけられる貴重な存在である。(東京都出身)
優秀賞橋爪功(おいしい結婚)


「キッチン」での女装の父親役が記憶に新しい、個性派俳優の代表格。受賞はその時(第13回)以来の2度目となる。同じく森田芳光監督と組んだ受賞作の「おいしい結婚」では、持ち味でもあるコミカルな演技をみせて、森田映画の空気を伝える。舞台、テレビドラマ、CMと幅広く活躍中で、名バイプレイヤーとしての評価は高まる一方である。(大阪府出身)
優秀賞松山千春(極道戦争 武闘派)


ニューミュージック界のスーパースターの映画初出演が、大きな話題を呼んだ「極道戦争武闘派」。対照的な性格の男ふたりが、暴力抗争のさなかで葛藤を重ねていく本格的なヤクザ映画で、情を重んじ、若手をリードする熱血漢を演じている。音楽界での活躍ぶりが納得できる芝居度胸で、主演の中井貴一の迫力に負けない熱演は、映画界にとっても大きな収穫となった。(北海道出身)
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞和久井映見(就職戦線異状なし/息子)


化粧品やJRのCFで評判となり、テレビ・ドラマで活躍。1989年「べっぴんの町」で映画デビューした。正統派の美貌と清楚なイメージは、同性からも高い支持を得ている。「息子」では、美しいろうあ者の役を熱演、「愛くるしさと品の良さが兼ね備わった数少ない女優」と山田監督も絶賛。また「就職戦線異状なし」では現代的な女性を爽やかに好演。今後の成長が期待される。(神奈川県出身)
優秀賞荻野目慶子(陽炎)


舞台「奇跡の人」で一躍注目を集め、以来、映画、テレビ、司会と幅広い活動を見せている若手の演技派女優。「陽炎」では、自分を犠牲にしてまでも相手をいちずに愛する芸妓、小苫役を熱演し、新境地を開拓した。五社監督の「私は女性を見る目には自信がありますし、必ず新しい女性像を創り出す演出をしてみせます」との言葉に励まされ、現場に臨んだという。(熊本県出身)
優秀賞樹木希林(戦争と青春/大誘拐)


映画だけではなく、テレビ・ドラマなどでも活躍、名脇役として高い評価を得ている。またテレビCMでも多くの人に親しまれている。この優秀助演賞も3度日の受賞となる。「戦争と青春」では誠実味あふれる教師を、そして「大誘拐-RAINBOW KIDS-」では犯人たちを匿まう愉快なキャラクター、くーちゃんを演じた。その人柄、演技ぶりは撮影現場の雰囲気をなごませると言われている。(東京都出身)
優秀賞風吹ジュン(無能の人)


芸能界デビュー当初は歌手として活躍。1977年「白熱(デッドヒート)」て映画女優としてデビューし、その後は映画、テレビ、CF等で幅広い活動を続けている。「無能の人」では、頼りない夫にかわり一家の生計を支える主婦の、不安定なイラ立ちを独特のムードで表現し、注目をあびた。現在の日本映画界において、個性的演技派の女優として貴重な存在である。(富山県出身)
優秀賞松下由樹(新・同棲時代/波の数だけ抱きしめて)


テレビドラマ「オイシーのが好き!」や「想い出にかわるまで」の好演が人気を博し、トレンディドラマには欠かせない顔となった。1991年は「新・同棲時代」で恋に悩むOL、「波の数だけ抱きしめて」では大胆で行動的な女子大生という違ったふたつの面を見せてくれた。さりげなさの中に情感のある確かな演技力の中にも女の子らしいキュートな魅力をもった貴重な女優といえる。(愛知県出身)
優秀音楽賞
最優秀賞久石譲(あの夏、いちばん静かな海。/仔鹿物語/ふたり/福沢諭吉)


「となりのトトロ」「風の谷のナウシカ」などのアニメーションから、第14回日本アカデミー賞の受賞作「タスマニア物語」「ペエスケガタピシ物語」などの映画音楽で才能を発揮している。今回の受賞作「あの夏、いちばん静かな海。」「仔鹿物語」「ふたり」「福沢諭吉」では、持ち味である、叙情的で哀切に満ちたメロディと、斬新な音づくりの冒険が披露されている。(1950年 長野県)
優秀賞池辺晋一郎(江戸城 大乱/動天/八月の狂詩曲(ラプソディー))


今回で音楽賞受賞が4回を数えた、映画音楽界の第一人者。第14回には最優秀音楽賞に輝いている。「江戸城 大乱」「動天」「八月の狂詩曲(ラプソディー)」と、異なるタイプの作品を手がけながら、それぞれに、“池辺ワールド”とも言うべき、音の世界を創造している。スケールの大きな作品に、さらなる拡がりを与えることにかけては、監督たちからも絶大なる信頼を得ている。(1943年 茨城県)
優秀賞GONTITI(無能の人)


ゴンザレス三上(三上雅彦)とチチ松村(松村正秀)の両人からなるアコースティックギター・テュオグループ。ふたりの生み出すリリックでリズミカルなサウンドは都市生活者のための一服の清涼剤となっている。「無能の人」では竹中監督からの要望で、昔懐かしいウクレレを主体にした演奏をじっくりと聞かせてくれる。アメリカ、ドイツなど海外での評価も高い。(1953年 大阪府)(1954年 大阪府)
優秀賞佐藤勝(陽炎/戦争と青春/大誘拐-RAINBOW KIDS-/釣りバカ日誌4)


第1回以来、優秀賞を受賞するのは今回で、じつに11回目となる。第3 回、4回、7回では最優秀賞に輝いている日本の映画音楽界を代表するひとりである。1991年度は「陽炎」「戦争と青春」「大誘拐-RAINBOW KIDS-」「釣りバカ日誌4」とバラエティに富む作品の音楽を手がけ、豊かな才能を存分に発揮した。コミカルな佳作からスケールの大きな大作までこなす実力派といえる。(1928年 北海道)
優秀賞松村禎三(息子)


古くから映画音楽を手がけており、その誠実な仕事ぶりには定評がある。第12回、13回、14回に続き、今回で4年連続の優秀音楽賞の受賞となり、近年の仕事の充実ぶりには目をみはるものがある。「ダウンタウンヒーローズ」「本覺坊遺文千利休」「浪人街」などで味わい深い音楽を生み出しているが、今回の「息子」でも、日本人の心に訴えるような印象的なメロディを聞かせてくれている。(1929年 京都府)
優秀撮影賞
最優秀賞斎藤孝雄/上田正治(八月の狂詩曲(ラプソディー))


いまや黒澤作品に欠かせない存在となったコンビで、「乱」「夢」に続く3度目の受賞を果たした。「七人の侍」から参加している斎藤氏、「影武者」以来の上田氏、ともに黒澤監督の精密な絵コンテをスクリーンに再現する芸術家だ。受賞作「八月の狂詩曲(ラプソディー)」では、日本の夏を美しく切り取ってみせた。(1929年 京都府)(1938年 千葉県)
優秀賞岡崎宏三(戦争と青春)


第1回と第3回に続く3度目の受賞作は、今井正監督の遺作「戦争と青春」。この作品が、実にカメラマン人生の70作目にあたる大ベテランだ。平和を願う映画人たちと市民の手によって製作された「戦争と青春」では、戦火の悲惨さを激しく燃えさかる炎に表現した。すでに各映画賞で、数々の栄誉を手にしている名手だが、日本映画を代表する撮影監督として一層の活躍が期待される。(1919年 東京都)
優秀賞岸本正広(大誘拐)


初めて岡本喜八監督と組んだ「大誘拐」で嬉しい初受賞となった。デビュー作は「幻の湖」(橋本忍監督)で、その後「逃れの街」(工藤栄一監督)などでキャリアを重ねてきた。今回の「大誘拐」では、1370カットすべてを、手持ち撮影した。“カメラマンの息づかいが画面に欲しい”という岡本監督の希望に応えての奮闘が、イキイキとしたテンポの良い作品を生む原動力となった。(1946年 東京都)
優秀賞高羽哲夫(息子)


山田洋次監督作品のほとんどを手がけてきた、キャリア30年余の大ベテラン。特に「男はつらいよ」はスタートから全作の撮影監督をつとめてきた。受賞作「息子」の撮影にあたっては、「東京という都会と出稼ぎの人々の故郷である農村を、“1990年の日本”をそのまま象徴するふたつの場所としてとりあげることに心を砕いた」と語る。その映像の対比が、作品に素晴らしい効果を与えている。(1926年 福島県)
優秀賞森田富士郎(陽炎)


五社英雄作品の多くに参加して、“女の情念”をスクリーンに焼きつけてきたベテラン。5 回目の受賞作となった「陽炎」では、昭和初期の花街にうずまく男と女の欲望を、巨大なオープンセットのなかに描いていった。ラストシーンの大立廻りと炎上シーンには、流れるようなカメラワークを披露し、あざやかな刺青と吹き出す血しぶきをとらえた映像が哀しいほどの美しさをみせた。(1927年 京都府)
優秀照明賞
最優秀賞佐野武治(八月の狂詩曲(ラプソディー))


第8回の「瀬戸内少年野球団」での最優秀賞を受賞して以来、今回で5度目の受賞となり、照明賞の常連的存在となった。「影武者」「乱」「夢」と黒澤作品に活躍する近年である。今回の受賞作「八月の狂詩曲(ラプソディー)」では、きらめく川辺や深い森の中、月明かりの縁台、夕暮れや雷といった“日本の夏”の風景を、あくまでも自然に照らしだすことに、心をくだいている。(1930年 京都府)
優秀賞下村一夫(戦争と青春)


市川崑監督作品などで過去4 回の受賞歴を誇り、今回の「戦争と青春」は5度目の受賞となる。照明一筋に歩んできた確かなキャリアで、故・今井正監督からも全幅の信頼を寄せられていた。昭和20年の東京・深川を再現する巨大なオープンセットで行なわれた、クライマックスの“東京大空襲”シーンの迫力は、40余年にわたる年月に培われてきた技術の成果だ。(1921年 神奈川県)
優秀賞佐藤幸次郎(大誘拐)


「ニュージーランドの若大将」でデビュー。「青春の門」などを手がけている。映像美を誇る市川崑作品の常連でもあり、1984年同監督の「細雪」で優秀賞を受賞している。「大誘拐-RAINBOW KIDS-」では、テンポの良さを信条とする岡本組の現場に臨機応変に対処し、自然な中にも緊張感あふれる映像を生み出して、ベテランとしての力を遺憾なく発揮している。(1924年 東京都)
優秀賞青木好文(息子)


照明一筋に歩んだキャリアが、44年目を迎えた大ベテラン。特に山田洋次監督とは、昭和39年以来のコンビで、「男はつらいよ」シリーズはもちろん、ほとんどすべての山田作品を照らし続けてきた。今回の「息子」では、岩手の農家の夏と冬の表情の変化や、東京の薄暗い倉庫に働きながらも清楚に輝く、和久井映見の浮かび上がらせ方に特に心を配ったという。今回が嬉しい初受賞だ。(1927年 神奈川県)
優秀賞中岡源権(陽炎)


「226」で第13回に初受賞して以来、再び五社英雄監督作品の「陽炎」で2度目の受賞を果たした。今回の作品は夜の世界に生きる男と女を描いているため、照明による効果がより期待されるところ。本木雅弘と荻野目慶子の逢瀬のシーンや、クライマックスの大立ちまわりで暗闇に浮かびあがる樋口可南子の白い肌など、女たちを美しく照らすライティングに、ベテランの貫禄をみせた。(1928年 奈良県)
優秀美術賞
最優秀賞村木与四郎(八月の狂詩曲(ラプソディー))


「生きものの記録」以来、黒澤明監督作品に携わり続け、今回の「八月の狂詩曲(ラプソディー)」が実に14作目となった。第9回には「乱」で、夫人の村木忍氏と最優秀美術賞を受賞し、続く「夢」とあわせて3度目の日本アカデミー賞となる。その前2作と趣を異にする「八月の狂詩曲(ラプソディー)」では、記憶に残る“日本の夏”を見事に再現して、郷愁と感動をもたらした。(1924年 東京都)
優秀賞井川徳道(江戸城 大乱/動天/福沢諭吉)


時代劇、任侠映画の美術の第一人者として活躍。代表作として「一心太助」「日本の首領」「空海」「最後の博徒」等、多くの作品がある。1991年は「江戸城大乱」「動天」「福沢諭吉」など、どれも時代のうねりを感じさせるスケールの大きな作品に参加している。「福沢諭吉」での慶応義塾の校舎の大セットや、松や杉の新材を使用した内部セットなどは大きな話題を呼び、その実力を発揮した。(1929年 京都府)
優秀賞出川三男(男はつらいよ 寅次郎の告白/息子)


山田洋次監督と組んで、長年美術畑一筋に歩んできたベテラン。今回も「息子」「男はつらいよ 寅次郎の告白」の山田作品で嬉しい2度目の受賞となった。東京という大都会に暮らす息子と岩手の農村にひっそりと住む父親を描いた「息子」では、現在の日本を象徴する風景を対照的に作り上げた。いつもながら、その自然な空間づくりには素晴らしい力量をみせている。(1936年 神奈川県)
優秀賞西岡善信(陽炎)


過去4回の最優秀賞を含めて、今回で8回の受賞という輝かしい実績を持つベテラン。芸術性の高い作品に生かされる才能は、今回の受賞作「陽炎」にも発揮されている。昭和初期、熊本の花街にある料亭“八雲”を再現した巨大なオープンセットは、出演者やスタッフが思わず息を飲むほどの素晴らしい出来ばえだったという。完成された世界を持つ、数少ない美術監督だ。(1921年 奈良県)
優秀賞春木章(戦争と青春)


“連続射殺魔事件”に材をとった「裸の十九才」を始め、「オーロラの下で」「イタズ」など、人間の根源をみつめ直した作品に多く参加、その誠実な仕事ぶりから高い評価を得ている。今回の 「戦争と青春」では、戦時下の東京の姿を見事に再現し、初の日本アカデミー賞受賞となった。御殿場市滝が原に再現した昭和20年の東京深川のオープンセットのリアルさは格別である。(1935年 東京都)
優秀録音賞
最優秀賞紅谷愃一(八月の狂詩曲(ラプソディー))


今回で10回目という、優秀録音賞の受賞歴は、第4回、6回、7回の最優秀賞とともに日本アカデミー賞の歴史に残る輝かしい実績だ。前回の「夢」に続く黒澤明監督作品の「八月の狂詩曲(ラプソディー)」では、懐かしく胸にせまる“日本の夏”の音を再現している。その鋭くリアルな音づくりには定評があり、今後も第一人者としての活躍が期待されている。(1931年 京都府)
優秀賞小野寺修(遊びの時間は終らない/グッバイ・ママ)


「マルサの女」で第11回の最優秀賞を受賞するなど、その技術には定評がある。今回の受賞作は、秋元康監督の「グッバイ・ママ」と萩庭貞明監督の「遊びの時間は終らない」の2作品だ。ともに監督初挑戦のふたりをサポートした仕事ぶりが評価された。特に、ラップミュージックのリズムにのせて、次々と場面が展開していく「遊びの時間は終らない」に若い感性を発揮している。(1949年 宮城県)
優秀賞鈴木功/松本隆司(男はつらいよ 寅次郎の告白/息子)


松竹録音部に籍を置くふたりのおもな仕事は、山田洋次監督の作品だ。今回の受賞作も山田組の「息子」と「男はつらいよ寅次郎の告白」である。ロケの多い作品では、臨場感が命となる。「息子」では都市と農村の違いを、丹念にひろいあげた音で表現している。コンビでの受賞は 3度目である。(1927年 神奈川県)(1928年 東京都)
優秀賞橋本文雄(おいしい結婚/王手/夢二)


単独での受賞は、第9 回の最優秀賞以来となる。すでに手がけた作品は、230本を超え、日本映画界をその“音”で支えてきた功労者である。今回の受賞作品は「おいしい結婚」「王手」「夢二」の3作。このバラエティに富んだ作品群でも、その確かな技術力を披露している。シンクロで録りする技術には、群を抜くものがあり、今後も若い技術者たちのリーダーとしての活躍が望まれる。(1928年 京都府)
優秀賞神保 小四郎(大誘拐)


今回「大誘拐-RAINBOW KIDS-」で初の優秀録音賞を受賞。台詞の量が多く、大阪弁が主体だっただけに、台詞の明瞭さと大阪弁の耳ざわりのよさを考えたという。同じく録音賞受賞の橋本氏、紅谷氏とは同時期に京都から3人で上京した仲間であり、その3人が今回、京都で受賞ということに改めて感激していると語る。監督の意図を的確に捉えた録音技術には定評がある。(1930年 京都府)
優秀編集賞
最優秀賞鈴木晄/川島章正(大誘拐)


1986年、特別賞として編集賞を受賞して以来5度目の受賞となる実力派の鈴木晄、「家族ゲーム」「オルゴール」などを手がけている川島章正。ふたりの編集による「大誘拐-RAINBOW KIDS-」は、岡本監督の信条であるテンポの良さを見事に画面に表し、第一級の娯楽作品を生み出した。(1928年 大阪府)(1950年 東京都)
優秀賞石井巌(男はつらいよ 寅次郎の告白/息子)


「家族」「故郷」「幸福の黄色いハンカチ」など、長年山田洋次監督作品を手がけてきたベテラン。「息子」では、話の流れにそって北国の美しい四季を織りこみ、また感動的なラストシーンを作り出している。今回の受賞に関して「人間の心の問題を促えた地味な作品ですが、高い評価を得られて嬉しい」と語っている。山田監督の信頼も厚く、その誠実な仕事ぶりには定評がある。(1933年 神奈川県)
優秀賞市田勇(江戸城 大乱/陽炎/動天/福沢諭吉)


「鬼龍院花子の生涯」「肉体の門」「226」など、スケールの大きな話題作、大作を多く手がけている。その高度な映画的センスと確かな編集技術は高い評価を得ている。今回は「江戸城 大乱」「陽炎」「動天」「福沢諭吉」の4作品で受賞。いずれの作品においても、バランスのよい編集感覚で、迫力と緊張感のみなぎる作品に仕上げている。日本映画界を支える名手のひとりといえる。(1932年 京都府)
優秀賞奥原好幸(代打教師 秋葉、真剣です!/バカヤロー! 4 YOU! お前のことだよ/真夏の地球/無能の人)


注目の若手や新人監督との仕事が多く、個々人のカラーに合わせたバランスのよい編集技術は絶妙である。今回も「無能の人」「バカヤロー! 4 YOU!お前のことだよ」で、新人監督の持ち味をうまくつかみとっている。「苦しいと思うと、こんなに大変な仕事はない。毎回、楽しみながらやっている。楽しんで仕事をするとどんどんいい方向に向かうはず」と語る。その人柄に信頼も厚い。(1954年 長野県)
優秀賞北野武(あの夏、いちばん静かな海。)


オールロケで進められた「あの夏、いちばん静かな海。」の撮影は、ストーリーを追っての“順撮り”だった。現場の雰囲気で変えられていくセリフや展開も、北野武監督の頭のなかでは見事に編集されていたに違いない。監督3作目にして初めて手がけた編集作業にも、その感覚的な才能は生かされて、美しい青春の恋物語は一編の詩のような映像にまとまった。(1947年 東京都)
優秀外国作品賞
最優秀賞ダンス・ウイズ・ウルブズ


「アンタッチャブル」「フィールド・オブ・ドリームス」などでアメリカを代表する俳優となったケビン・コスナーが、私財を投じて製作・監督・主演をつとめた意欲作。南北戦争時代を背景に、ひとりの白人兵士とインディアンたちの出会いと友情を人間味豊かに描いている。バッファローの大群や雄大な大地を捉えた映像も感動的だ。(東宝東和)
優秀賞ターミネーター2


大ヒットした前作から10年後の地球という設定のもとで再び未来を救うための激しい戦いが繰り広げられるSFXアクション超大作。1億ドルという前代未聞の製作費の多くは、ジェームズ・キャメロン監督が望む精密な近未来のセットや特殊視覚効果のために費やされている。世界中のファンの期待を裏切らない出来で大きな話題を呼んだ。(東宝東和)
優秀賞ニキータ


「サブウェイ」「グレート・ブルー」で知られる、フフンス映画界を担う若手、リュック・ベッソンの凶暴なる純愛映画。粗暴な麻薬中毒の少女、ニキータが、政府のために働く魅力的な女性秘密工作員へと生まれ変わっていく。その過程で戸惑い、傷つき、そして愛を知る彼女の生きざまは、新しい女性像の誕生として話題を呼んだ。また、主演のアンヌ・パリローの新鮮な魅力も注目を集めた。(ヘラルド)
優秀賞羊たちの沈黙


トマス・ハリス原作のサスペンス・スリラーを映像化した話題作。美しく若きFBI捜査官と、みずからも9人を殺害した狂気の精神科医が、若い女性ばかりを狙った連続殺人事件の謎に迫る。ジュディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスのふたりが、緊迫感あふれる演技の応酬をみせる。監督は、新鋭ジョナサン・デミ。(ワーナー)
優秀賞レナードの朝


ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズ。演技派のふたりが主演した、ヒューマンな感動作。30年間という長い間、半昏睡状態にあった男が、新任ドクターの努力と誠意で奇跡的に“めざめの朝”を迎える。実話に基づいた細やかな演出は、「ビッグ」などで知られる、女流監督、ペニー・マーシャルによるもの。人間への優しいまなざしと賛歌が全編に貫かれている。(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
新人俳優賞
優秀賞唐沢寿明(おいしい結婚/ハロー張りネズミ)


ミュージカル出身だけあって、ダンスや歌も得意とする若手実力派だ。「おいしい結婚」でスクリーンデビューを飾った後に、「ハロー張りネズミ」では熱血探偵役で主演と大活躍だった1991年。爽やかな好青年ぶりと、内に秘めた男くささで若い女性の圧倒的な支持を受けている。テレビドラマやCFにも引っぱりだこの人気をみせ、今後の活躍が期待されている。(東京都出身)
優秀賞佐野圭亮(戦争と青春)


二世俳優の活躍が目立つなか、またひとり、期待の二世が現われた。時代劇スター、里見浩太朗のひとり息子として高校時代から俳優になることを決意。俳優座に席を置いてテレビドラマや舞台でキャリアを積んでいたが、今井正監督の「戦争と青春」で幸運な映画初出演を果たした。今後は、父を越える役者を目指して、一層の研鑽を積んでいく、と意欲十分だ。(京都府出身)
優秀賞永瀬正敏(アジアンビート アイ・ラブ・ニッポン/息子/喪の仕事)


相米慎二監督の「ションべンライダー」でデビューした少年が、国際的な活躍が期待される演技派に成長した。山田洋次監督の「息子」では、都会に生きる若者を等身大に演じ、君塚匠監督の「喪の仕事」では、若い監督とディスカッションを重ねて映画づくりに意欲的に参加した。助演男優賞とのダブル受賞となった2 作の他に、「アジアンビート アイ・ラブ・ニッポン」も注目を集めた。(宮崎県出身)
優秀賞別所哲也(新・同棲時代/波の数だけ抱きしめて)


スケールの大きなミュージカル俳優として、話題の舞台で活躍していたが、1990年の日米合作映画「クライシス2050」でスクリーンデビューを飾った。特技は英会話という国際派で、「波の数だけ抱きしめて」「新・同棲時代」の受賞2作では、現代の若者像を爽やかに演じている。久々に大器の誕生を予感させる存在として、今後とも注目を集めそうだ。(静岡県出身)
優秀賞松山千春(極道戦争 武闘派)


ニューミュージック界のスーパースターとして、長年君臨し続けた彼の映画デビューは、1991年の大きな話題でもあった。受賞作の「極道戦争武闘派」では、沈着冷静な理論派の中井貴一に対抗する、血気盛んなケンカヤクザに扮して大活躍。情を重んじる男気にあふれた役柄は、本人のキャラクターとオーバーラップして人気を集めた。今後の俳優活動が楽しみな存在である。(北海道出身)
優秀賞石田ひかり(あいつ/咬みつきたい/ふたり)


アイドル歌手として、CMやテレビドラマに活躍する人気者だったが、1991年は「ふたり」「あいつ」「咬みつきたい」と映画にも進出。自然な演技のなかに、キラリと光る非凡な才能を感じさせた。特に初めての映画「ふたり」では、優等生だった姉の突然の死を乗り越えて、少女から女へと成長をとげていくヒロインを好演し、高い評価をうけた。大林宣彦監督の主演次回作も待機中だ。(東京都出身)
優秀賞大島弘子(あの夏、いちばん静かな海。)


テレビバラエティでデビューし、演技の経験はなかったが、「あの夏、いちばん静かな海。」でヒロイン役の女優を探していた北野武監督に抜てきされ、幸運なスクリーン初登場となった。ひと目見て彼女の出演を決めた北野監督は、現代っ子には珍らしい古風な雰囲気と芯の強さにひかれたという。その期待に応えて、聴覚障害者という難役も見事にこなしている。(東京都出身)
優秀賞具志堅ティナ(ぼくらの七日間戦争 2)


アメリカ人の父を持ち、アメリカと沖縄で育った国際派で、日本語よりも英語が得意という彼女。大型アイドルとして、テレビやCMで活躍するかたわら、「ぼくらの七日間戦争 2」でヒロイン・デビューした。ヒットした前作の宮沢りえに続いて、のびのびとした個性が注目を集めている。1992年には、主演映画も待機中というラッキー・ガールだ。(沖縄県出身)
優秀賞観月ありさ(超少女REIKO)


4歳からモデルの仕事を始めて、10年以上のキャリアを持つ彼女は、日本人離れしたプロポーションで1991年の話題をさらったひとりだ。その美少女ぶりで人気を集め、歌手デビュー、そして「超少女 REIKO」で映画デビュー、とトントン拍子にスーパーアイドルへの道を歩んでいる。映画では、不思議な力を持った少女に扮して、その神秘的な魅力をアピールした。(東京都出身)
優秀賞和久井映見(就職戦線異状なし/息子)


「息子」「就職戦線異状なし」の2作品で、助演女優賞とのダブル受賞を果たした期待の実力派。正統派の美女として、CMやテレビドラマではおなじみの顔だったが、今回の映画では、山田洋次監督からも「愛くるしさと品の良さが兼ね備わった数少ない女優」と絶賛されるなど、女優としての評価を高めた。清楚な印象からは想像できないが、趣味はスポーツという意外な一面も。(神奈川県出身)
会長特別賞
優秀賞今井正


昭和14年、27歳にして「沼津兵学校」を監督されて以来、53年にわたり社会と人間の真実を追求するリアリズムの精神を貫かれ、遺作となった「戦争と青春」まで46作もの名作を生み出されました。特に37歳から独立プロ活動を続け、自由な精神をもって芸術家の良心を追求された生涯は、全映画人の範として永く心に焼きつくものであります。
優秀賞上原謙


昭和10年、立教大学卒業と同時に松竹の二枚目俳優として起用されて以来、その日本人離れしたデリケートな容姿を以って大衆の憧れのスターの座を獲得されました。戦後は、美男スターから演技派へと役柄をひろげ、還暦を過ぎても衰えることのない容貌と気品で、82年の生涯を日本映画界に捧げぬかれた功績は輝き続けるものであります。
優秀賞依田義賢


昭和11年、26歳の時に名匠溝口健二監督と出会って以来、「浪華悲歌」「祇園の姉妹」という不朽の名作のシナリオライターとして脚光を浴びられました。遺作「本覺坊遺文千利休」に至るまで約130本の脚本を残して82年の生涯を全うされましたが、晩年は大阪芸術大学名誉教授として後進の指導育成にあたられ、京都の文化活動にも貢献をされました。
協会特別賞
優秀賞谷明憲(殺陣師)


本名、中島俊行。昭和30年、東映俳優部より殺陣師に転向現在に至る。「博徒」シリーズ他、映画、テレビ、舞台と幅広く活躍。(1933年 京都府)
優秀賞沼田和子(結髪)


昭和10年、㈱ピー・シー・エルに見習いとして勤務。その後東宝を経てフリーとなる。代表作に「細雪」「竹取物語」他多数。(1914年 茨城県)
優秀賞毛利清二(刺青師)


本名、森清二。東映にて俳優としても活躍。昭和40年に刺青師としてデビュー。代表作に「博奕打ち一匹竜」「緋牡丹博徒」他。(1930年 京都府)
優秀賞山崎華瑞(背景)


昭和24年大映撮影所に入社。にっかつを経て「山崎背景」として独立、現在に至る。日活全作品他、手がけた作品は多数。(1923年 神奈川県)
優秀賞吉野桂子(結髪)


昭和30年松竹京都撮影所にメイク係として入社。40年に大船に移り、松竹作品の殆どのメイクを担当。代表作「砂の器」他。(1934年 京都府)
特別賞
優秀賞企画賞早乙女勝元(戦争と青春)


自ら「東京大空襲を記録する会」を結成、この映画の製作のために、10数年来の情熱を燃やしつづけ遂に私財を投入して映画化に着手。市民プロデューサー・システムを組織し、今井監督を説得して実現を果たした。
優秀賞特殊技術賞特技監督・川北紘一をはじめとする「ゴジラVSキングギドラ」特殊技術スタッフ


話題賞

作品部門:「おもひでぽろぽろ」


俳優部門:中山美穂(「波の数だけ抱きしめて」)