第20回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 1997(平成9)年3月29日(土)
場所: 東京国際フォーラム ホールA
司会: 西田敏行/いしだあゆみ

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)1996 角川大映 日本テレビ 博報堂 日本出版販売

最優秀作品賞 「Shall we ダンス?」


実直な中年サラリーマンが、ダンス教室の女性教師に憧れて始めた社交ダンス。次第にダンスそのものの魅力に気付いていく…。観客は意外性のある題材に驚き、上質のエンターテインメントを堪能し、ダンスの世界を大いに楽しんだ。中高年層を映画館に引き寄せたという点でも功績は大きい。(大映=日本テレビ放送網=博報堂=日本出版販売)

優秀作品賞 「学校Ⅱ」


夜間中学を描いた『学校』から3年。今回の物語は、北海道にある実在の高等養護学校をモデルに誕生した。知的障害をもつ生徒たちと、共に成長しようと懸命になる教師たちの交流を描きながら、同時に、学校という小さな社会を飛び越えて、他者との関わりの中で成長する人間の普遍的な問題をも考えさせられる。 (松竹=日本テレビ放送網=住友商事)

優秀作品賞 「スーパーの女」


スーパー大好きおばさんの花子が、主婦の立場からダメスーパー正直屋を理想のスーパーに徹底的に作り直していく痛快コメディー。毎日のように利用していても、知っているようで知らないスーパーの舞台裏で展開するドラマに、笑い、怒り、ハラハラしながら、最後にはちょっとしたスーパー通になった気分になれる。(伊丹プロダクション)

優秀作品賞 「スワロウテイル」


架空の無国籍都市イェンタウン。混乱と欲望が交差する都市で、強い円に自らの夢を重ねて追い求める人々の物語が浮き彫りになっていく。映像と音楽に類まれなセンスを発揮、若者の間で熱狂的に支持され、90年代を疾走する岩井俊二監督が脚本も手がけた意欲作。 (烏龍舎=ポニーキャニオン=日本ヘラルド映画=エースピクチャーズ=フジテレビジョン)

優秀作品賞 「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


自然と宇宙を愛し、人間の幸福を見つめ続けた宮沢賢治、その生誕100年を記念して37年の生涯を描いた伝記映画。アニメとCG合成を巧みに用いて、賢治童話のもつ豊かなイメージを美しい映像の中に描き出した。今もなお輝き続ける賢治の世界を映像で体感できるファンタジーあふれる作品。 (「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」製作委員会)
優秀監督賞
最優秀賞周防正行「Shall we ダンス?」


『ファンシィダンス』『シコふんじゃった。』そして『Shallwe ダンス?』、と観客の側に立った映画づくりで作品を発表するごとにファン層をふくらませている。スタッフからの信頼も厚く、絶妙のチームワークでヒット作を生み出している。誰もが持っているおかしみや悲しみのツボを、気持ちよく刺激し、なんだか元気が出てくる、そんなリフレッシュ効果抜群の映画づくりにこれからも期待したい。(1956年 東京都)
優秀賞伊丹十三「スーパーの女」


過去2度の最優秀賞(『お葬式』『マルサの女』)を含め、5度目の受賞となった。『お葬式』での鮮烈な監督デビュー以来、現代の社会問題に対する鋭いアンテナは鈍ることがない。今回『スーパーの女』では、どの街にでもありそうなスーパーを舞台に、笑いと怒りのパワーを交錯させながら、テンポのいいストーリー展開で「良いスーパー」の条件を小気味よく描き出した。 (1933年 京都府)
優秀賞大森一樹「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


1978年に『オレンジロード急行』で劇場映画監督としてスタートを切る。『恋する女たち』『シュート!』などの青春映画のうまさには定評がある。今回2度目の受賞となった『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』では、賢治童話の世界をアニメーション・CG合成など斬新な手法で描くと同時に、賢治の生涯を青春ドラマとしてとらえて、感動的な作品をつくりあげた。 (1952年 兵庫県)
優秀賞小栗康平「眠る男」


前作『死の棘』(カンヌ映画祭グランプリ受賞)から6年、待望の新作『眠る男』は映像美に満ちあふれ、日本映画の新たな地平を切り開く力を持った作品となった。「人間の身の丈に映画を閉じ込めないように」という意図を純粋に追及し、静かに心を打ち、余韻をもたらす。日本を代表する監督の一人として国内外で高い評価を集めている。監督第一作の『泥の河』では最優秀賞を受賞。(1945年 群馬県)
優秀賞山田洋次「学校Ⅱ」


一貫して日本人の心を描き続け、『男はつらいよ』シリーズをはじめ『幸福の黄色いハンカチ』『遥かなる山の呼び声』『息子』など確かな足跡を残している。『学校』に引き続き、今日の教育問題を丁寧に浮き彫りにした『学校Ⅱ』でも、人間にとって本当に大切なことは何かを問いかける。あたたかく、粘り強く、正面から問いを投げかけ続け、深い余韻を残す作品を撮り続けている。(1931年 大阪府)
優秀脚本賞
最優秀賞周防正行「Shall we ダンス?」


前作『シコふんじゃった。』は相撲がブームになる前から企画され、今回は社交ダンスブームに火をつけた。独創的な着眼点と、その題材を誰が見ても楽しめる映画にする力量のすごさ。感性だけに寄りかからずに徹底した取材と試行錯誤の労を惜しまない姿勢から、日本的ユーモア精神あふれる物語が生まれ、登場人物たちが生き生きとスクリーンの中で動き出す。(1956年 東京都)
優秀賞伊丹十三「スーパーの女」


これまでの作品にも見られた、詳細な事実調査に裏付けられた説得力のある語り口が、今回は身近なスーパーが舞台ということで、より一層際立った感がある。きわどさと、ユーモアを絶妙に取り込んで、映画ならではの表現で現代をスパッと切り取り、巧みに観客の関心を引き寄せる。『お葬式』以来、自身の監督作品の脚本をすべて手がけ、今回6度目の受賞となった。(1933年 京都府)
優秀賞那須真知子「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


第11回に『別れぬ理由』で初受賞し、今回『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』で2度目の受賞を果たした。『早春物語』や『ビー・バップ・ハイスクール』など、現代の若者を生き生きと描き出す青春映画を数多く手がけ、そのセンスの良さには定評がある。宮沢賢治の青春時代をゆたかな創造力で描き出し、伝記映画の新しいカタチに意欲的に取り組んだ。 (1952年 福島県)
優秀賞森田芳光「(ハル)」


これまでに3度の受賞歴があり、いずれも自身の監督作品である。監督第15作品目となった『(ハル)』でも監督・脚本を手がけた。パソコン通信という新しいメディアと映画のブレンド具合が絶妙で、スクリーンに登場するメールのやり取りから恋愛の微妙な心の変化を感じとれる。現代の若者の感覚をさりげなくとらえて、小説のように“読む”映画を完成させた。(1950年 東京都)
優秀賞山田洋次/朝間義隆「学校Ⅱ」


『男はつらいよ』シリーズをはじめ山田監督作品の脚本は二人の共同作業から生まれる。こまやかなセリフまで一緒に考え、人間への温かなまなざしと深い洞察力で心に届く言葉をつむぎ出す。今回もていねいな取材でテーマを深く掘り下げている。過去6度の受賞のうち最優秀賞が3度、完成度の高い仕事を続ける名コンビだ。(1931年 大阪府)(1940年 宮城県)
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞役所広司「Shall we ダンス?」


昨年は『Shall we ダンス?』のほかに、『眠る男』『シャブ極道』というまったく異なるタイプの映画に出演。96年、もっとも元気だった俳優の一人である。受賞作で演じた、さえない中年サラリーマンが社交ダンスの魅力に引き込まれていく姿。中年男性が輝きを取り戻す過程を、リアルな演技で見せてくれた。『オーロラの下で』に次ぐ2度目の受賞。(長崎県出身)
優秀賞緒形直人「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


デビュー作『優駿』で第12回新人賞ほか数々の賞を受賞し、以後、映画、テレビドラマで着実にキャリアを積んできた。今回は、生誕100年を経て今もなお愛され続ける宮沢賢治役に挑み、短い生涯を駆け抜けた魅力的な人間像に力強く迫った。賢治の自然や宇宙への真摯なまなざしが伝わってくる演技で、その持ち味を十分に発揮し、初受賞に輝いた。(神奈川県出身)
優秀賞豊川悦司「八つ墓村」


舞台からスタートし、その後映画、テレビへと活躍の場を広げ、常に新鮮な役柄で観客の目の前に登場してくれる。今回は『八つ墓村』で名匠・市川崑監督と組んで、徹底した役づくりでまったく新しい金田一耕助像をつくりあげ、初受賞を果たした。昨年は『Love Letter』で助演男優賞・話題賞を受賞。授賞式に金田一の衣装で登場したことも記憶に新しい。(大阪府出身)
優秀賞西田敏行「学校Ⅱ」


前作『学校』で第17回最優秀主演男優賞を受賞してから3年。今回は、障害をもつ生徒たちを温かく包み込む養護学校の教師、誰からも慕われる教師という難しい役柄を、人間味あふれる大きな演技で演じ、感動を与えてくれた。その演技の懐の深さには定評があり、幅広い層のファンをもつ。今回で主演男優賞は5回目の受賞、助演男優賞も過去3回受賞している。 (福島県出身)
優秀賞橋爪功「お日柄もよくご愁傷さま」


演劇集団「円」の中心メンバーとして活躍しながら、映画、テレビ、CMなどに多数出演し、名バイプレイヤーとして人気を博している。映画初主演となった『お日柄もよくご愁傷さま』で、家族に押し寄せる人生のさざ波大波を、かいくぐってゆく中年サラリーマンを演じ、みごと初受賞。『キッチン』『おいしい結婚』で助演男優賞を2度受賞している。(大阪府出身)
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞草刈民代「Shall we ダンス?」


『Shall we ダンス?』は映画初出演。主人公の中年サラリーマンが憧れるダンス教室の教師役という重要な役柄で、独特の透明感と、バレエで鍛えた美しい存在感を十分に発揮した。世界的に活躍する日本バレエ界のプリマドンナが、映画を通して大きな意味での表現者としての新境地を開いたといえる。今後の活動にもますます注目したい。同作品で新人俳優賞もダブル受賞。(東京都出身)
優秀賞いしだあゆみ「学校Ⅱ」


第1回に『青春の門・自立編』で助演女優賞、第10回には『火宅の人』で最優秀主演女優賞に輝き、うちに強さを秘めた存在感のある女優として活躍を続ける。今回の『学校Ⅱ』で演じた玲子先生役は、時には母親のように、時にはお姉さんのように生徒を導く養護学校の教師。優しさと逞しさを兼ね備えた教師像を自然に表現し、深い印象を残した。(大阪府出身)
優秀賞Chara「スワロウテイル」


若者から圧倒的な支持を得るボーカリスト。その人気は、音楽だけにとどまらず、自由で奔放な生き方そのものにも常に熱い視線が集まっている。96年最も若者が熱狂した映画『スワロウテイル』での初受賞となったが、娼婦出身の歌姫グリコ役はまさに適役といえる。劇中で歌った主題歌も、大ヒット。映画初主演は同じく岩井俊二監督の話題作『PiC-NiC』。(埼玉県出身)
優秀賞深津絵里「(ハル)」


1989年『満月のくちづけ』で第13回新人賞を受賞。映画、テレビ、CFなどで幅広く活躍し、個性的な魅力で人気を集めている。『(ハル)』では、恋人を事故で失い現実の恋愛には心を閉ざし、パソコン通信を通じて知り合った相手と次第に心を通わせてゆく女性の繊細な心の変化をみごとに表現、初めての主演女優賞の受賞となった。今後の活躍がますます楽しみな女優である。(大分県出身)
優秀賞宮本信子「スーパーの女」


すでに6度の主演女優賞を受賞しているが、作品ごとに新しい女になりきってスクリーンに登場してくれる。今回は、主婦が望む正しいスーパーのあり方を追求し、悪徳スーパーに闘いを挑むスーパーが大好きなおばさん・花子役を生き生きと演じた。口も回るし身体もくるくるよく動く、何事にもめげない、あきらめないエネルギッシュな女性を、文字どおり熱演した。 (北海道出身)
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞竹中直人「Shall we ダンス?」


第15回の『無能の人』、第18回の『119』など自らの監督作品を含めて、ここ数年は作品賞、監督賞、主演・助演男優賞などに毎回のように登場。周防作品にも欠かせない顔である。ラテンダンスに心酔するサラリーマンを演じた『Shall we ダンス?』では、さえないスーツ姿から官能的なダンス衣装に着替えた途端に人格が一変する。その変貌ぶりで大いに楽しませてくれた。(神奈川県出身)
優秀賞神戸浩「学校Ⅱ」


劇団プロジェクトナビを経て、『無能の人』で注目を浴びる。『学校』『男はつらいよ』シリーズなど山田洋次作品への出演が続き、今回『学校Ⅱ』では知的障害をもちながら人生に懸命に立ち向かっていく生徒・佑矢役を実に生き生きと演じ、スクリーンに強い印象を残し、初受賞を果たした。ユニークなキャラクターと演技力を併せもち、成長著しい頼もしい俳優である。(愛知県出身)
優秀賞永瀬正敏「学校Ⅱ」


1983年に『ションベンライダー』でデビュー。以後、『ミステリー・トレイン』『コールド・フィーバー』など海外作品への出演も含めて映画を中心に活躍し続け、出演作は常に話題を集めている。第15回に『息子』で最優秀助演男優賞・新人賞を受賞。今回の『学校Ⅱ』では、初めての教師役に挑み、生徒とともに成長する新任の教師像をしっかりと演じ切った。 (宮崎県出身)
優秀賞吉岡秀隆「学校Ⅱ」


テレビドラマ『北の国から』、映画『男はつらいよ』シリーズなどで幅広い年齢層から親しまれている若手実力派俳優。今回『学校Ⅱ』では、心に傷をもつナイーブな少年が学校、そして社会の中で大きく変わっていく様を熱演し、3度目の受賞となった。この映画を通して養護学校で体験したことは、役者としてはもちろん、一人の人間として貴重な体験となった、と振り返る。(埼玉県出身)
優秀賞渡哲也「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


4年ぶりの映画出演となった『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』で、賢治と対立しながらも誰よりも息子の身を案じ、理解しようとした父・政次郎を演じ、初の助演男優賞の受賞となった。映画づくりの現場はやっぱり最高、岩手の方言のニュアンスを残しながらのセリフに苦労した、と振り返る。すでに次回作『誘拐』の撮影も進み、スクリーンで再び出会えるのが楽しみである。(兵庫県出身)
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞渡辺えり子「Shall we ダンス?」


劇団3〇〇の主宰者、劇作家、演出家、女優として精力的に活動を続ける一方で、女優として映画、ドラマ、CFなどで多彩な演技を見せてくれる。第18回『忠臣蔵外伝 四谷怪談』に続き、『Shall we ダンス?』で2度目の受賞。社交ダンスをこよなく愛するあまり周囲を振り回すのだが、どこか憎めないしっかりものの未亡人・豊子さんを、楽しく、迫力たっぷりに演じた。(山形県出身)
優秀賞伊藤歩「スワロウテイル」


映画デビュー作の『水の旅人侍KIDS』や『女ざかり』など、大林宣彦作品での印象的な少女役が話題となり、独特の存在感ある若手女優として注目を浴びている。『スワロウテイル』で挑んだのは、静かで清らかな眼差しで混沌とした都市と人々を見つめる少女アゲハ。脆さのなかに強い透明感を放つ難しい役どころをみごとにとらえて、新人賞とのダブル受賞を果たした。 (東京都出身)
優秀賞草村礼子「Shall we ダンス?」


劇団炎座、劇団国芸を経て、舞台を中心に映画、テレビドラマなど幅広く活躍しているベテランであるが、『Shall we ダンス?』のたま子先生役は、オーディションでつかんだ。役どころは、いつもあたたかな笑顔で教室に集まってくる人々とヒロインを見守るダンス教師役。ナチュラルな存在感、見る者の心を和らげる余韻のある演技で物語に深みを加え、みごとに初受賞となった。 (東京都出身)
優秀賞星由里子「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


『若大将シリーズ』で加山雄三の恋人役を演じて一世を風靡し、映画、舞台、テレビなどで幅広く活躍を続ける。今回初受賞となった『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』では、明るく人情味にあふれた思いやり深い女性であり、夫と子供たちの支えとなり深い愛情で家族を包み込んだ賢治の母親像をくっきりと印象づけ、賢治が生きた時代の空気を感じさせてくれた。 (東京都出身)
優秀賞水野真紀「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


個性的な若手が多い中、正統派の女優の雰囲気を漂わせる存在。テレビドラマ、映画、CFなど幅広く活躍しているが、新人賞とのダブル受賞となった『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』で、女優として大きく成長した感がある。賢治の良き理解者であり、兄に大きな影響を与えた妹という重要な役であったが、本人はゆったりとした自然な気持ちで演じることができたという。 (東京都出身)
優秀音楽賞
最優秀賞周防義和「Shall we ダンス?」


周防監督作品ほか、CM、舞台などでも活躍。初受賞の感想を「すごく嬉しいですね。まず社交ダンス的な音楽をつくるというレールがあったので、音楽も導かれたという感じでラッキーだったと思います。今回は撮影に入る前に音楽が必要だったので、取材や打ち合わせに参加するなど製作現場を体験できました。スタッフとして参加している実感があってとても楽しかったです」と語った。 (1953年 東京都)
優秀賞千住明「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


作曲家として国内外で活躍中。「映画音楽を始めて10年目を迎える節目の年に、賞をいただき大変嬉しく思います。『わが心の銀河鉄道』は新たな出発点ともいえる作品。一人の作曲家として映画に関わる責任の重みを感じると同時に、これからも日本映画を盛り立てていけるような仕事を残していきたい」と初受賞の喜びを語った。代表作は『226』『RAMPOインターナショナル版』など。 (1960年 東京都)
優秀賞谷川賢作「八つ墓村」


第11回に市川崑監督の『映画女優』『竹取物語』で初受賞し、第18回にも『四十七人の刺客』で受賞。今回が3度目の受賞となった。「賞をいただけるとは思っていなかったので、驚いています。市川組には強い結束があり、その技術スタッフの一員として認めていただいたということでしょうか」と谷川氏。ここ10年の間に7本の市川作品を手がける一方、ミュージシャンとしても活躍中である。 (1960年 東京都)
優秀賞久石譲「Kids Return」


第14回から17回まで4回連続受賞、うち最優秀に3度輝くなど、作品の持ち味をとらえるセンスは高く評価され、幅広い分野の作品を手がけている。今回受賞の『Kids Return』では、「独特の無情感のある作品だったので、特に意識したのは音楽全体のトーン。どこで音楽を抜くか、音楽を引いたものとしてとらえることで、映像の呼吸をクリアに感じてもらいたかった」と振り返った。 (1950年 長野県)
優秀賞本多俊之「スーパーの女」


伊丹十三監督作品での4度目の受賞。「『マルサの女』から10年。伊丹監督とも長いお付き合いになりますが、毎回新鮮な驚きがあり、今回の『スーパーの女』でも厳しい注文に“産みの苦しみ”を味わいました。映画音楽の作曲は、ジャズのライブでサックスを吹くのとは、まったく種類の違う楽しみがあるのですが、こうしてほめられるのは嬉しいものです。本当にありがとうございます。」(1957年 東京都)
優秀撮影賞
最優秀賞栢野直樹「Shall we ダンス?」


小さなダンス教室から華やかな英国ブラックプールまで、ダンスの魅力をあますところなくとらえて『Shall we ダンス?』でみごと初受賞。「台本の持っているあたたかさ、スタッフ、キャストの熱い思いを細大漏らさずにフィルムに定着することだけを思って撮影に臨みました。大勢の方々に見ていただけて、なおかつ賞までいただけて、本当に嬉しいです」と語ってくれた。(1955年 愛知県)
優秀賞五十畑幸勇「八つ墓村」


第8回『おはん』での初受賞を含めて4度目の受賞となるベテランで、市川崑監督からの信頼も厚い。今回も大規模なロケなど困難な撮影をこなし、その期待に応えた。「2年前に『四十七人の刺客』で優秀賞に選ばれたときも大変嬉しかったが、今回日本アカデミー賞の第20回という記念すべき節目の年に『八つ墓村』で受賞できたことを光栄に思っています」と嬉しい声を聞かせてくれた。 (1941年 東京都)
優秀賞木村大作「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


撮影賞が正賞になる以前の第1回技術賞(『八甲田山』)を含めて、12回目の受賞となる。大作、話題作には欠かせない日本を代表するカメラマンの一人である。「今年は記念すべき20回目の授賞式ですね。いつも“飲みねー会”になっているのでたまには最優秀賞もいただきたいですね」と、賞への意欲もちょっぴりのぞかせながら、喜びの声を聞かせてくれた。 (1939年 東京都)
優秀賞篠田昇「スワロウテイル」


「岩井監督とはいろんなことをやってきましたが、『スワロウテイル』は16ミリと35ミリのフィルムを1シーンの中で使い分けるという新しい試みに挑戦したことが大きかった。フィルムの可能性が広がったという実感があるし、やりたいこともいっぱい出てきた。仕事として面白かったことはもちろん、多くの人がこの作品を見てくれたのも本当に嬉しい」初受賞の感想を一気に語ってくれた。(1952年 埼玉県)
優秀賞長沼六男「学校Ⅱ」


第16回『おろしや国酔夢譚』での最優秀賞を含み3度目の受賞。「今回は特に嬉しくてね、みんなで苦労しました。中でも気球は自然の力に左右される難物で、人間の力を超えたもの、撮影できない日が何日も続きました。非常に大切なシーンだと思っていたので、見た人から良かったと言われたときは嬉しかった。卒業前の若者の微妙な心の揺れを映したいと思って取り組みました」と振り返った。 (1945年 長野県)
優秀照明賞
最優秀賞長田達也「Shall we ダンス?」


「たくさんの人がこの映画を見てくれたことが一番嬉しい。僕自身は、賞をいただいてびっくりしています。何か人ごとのような感じです。監督のもっているものをわかりやすくどこまで伝えられるか、楽しさをどう伝えるか、と俳優さんやスタッフがみんな同じ思いで取り組んで、それがうまくいったんじゃないかと思います」と『Shall we ダンス?』での初受賞の声を寄せてくれた。(1952年 山梨県)
優秀賞下村一夫「八つ墓村」


第3回に『あゝ野麦峠』で初受賞し、今回『八つ墓村』で7度目の受賞となった。「嬉しい、の一言です。監督さんはじめ助手を務めてくれた皆さんにも感謝しています。撮影中は監督の意図を理解すること、健康に過ごすこと、それだけを考えていました」と喜びを語ってくれた。撮影中は節制を心がけ、現役で活躍し続けるベテランの健闘を心から讃えたい。 (1921年 神奈川県)
優秀賞安藤清人「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


今回初めての受賞であるが、『極道の妻たち』『悲しきヒットマン』『2代目はクリスチャン』など数多くの作品を手がけてきた。「こういう作品にめぐり会えて幸せなことやったと思うし、まわりの皆さんに感謝しています」と明るい声で受賞の感想を聞かせてくれた。撮影との息がぴったり合ったこともよかったのでは、と懐かしそうに振り返ってくれた。(1946年 岡山県)
優秀賞中村裕樹「スワロウテイル」


「脚本に映像喚起力があって、自分の中にこんなにアイデアがあったかと驚くような体験もありました。技術的に微妙なコントロールが必要だったり、ある意味ではとても難しい撮影で、助手のみんなにもきつい思いをさせたと思います。賞をいただいて、いろいろ苦労したことは全部ふっとんでしまいましたね」。第 17回に続き、『スワロウテイル』で2度目の受賞を果たした。 (1958年 熊本県)
優秀賞熊谷秀夫「学校Ⅱ」


第16回『おろしや国酔夢譚』での最優秀賞を含めて、今回4度目の受賞。「“学校”のテーマは大きくて、それに関わることができたのが嬉しい。養護学校の皆さんにも自然に接して、映画になったものが自然に受け止められることを常に考えていましたね。普通に、自然に、この映画を見てもらえたら、という気持ちです」と、作品への愛情にあふれた言葉を寄せてくれた。(1928年 京都府)
優秀美術賞
最優秀賞部谷京子「Shall we ダンス?」


「今回はスタッフも皆そろっての受賞で、そのことが何よりも嬉しいです。個性のきらきら光る俳優さんとスタッフに囲まれた、現場での楽しい日々がありありと思い出されます。この映画を愛してくださったすべての方々に感謝の言葉を捧げたいと思います」と喜びの声を寄せてくれた。第18回『RAMPO奥山監督版』での初受賞に続き、2度目の受賞を果たした。(1956年 広島県)
優秀賞櫻木晶「八つ墓村」


助手時代は数多くの黒澤明監督作品に付き、第14回に『夢』で初受賞を果たしている。今回『八つ墓村』で横溝文学のにおいをみごとに作り出し、2度目の受賞となった。「久し振りの映画の仕事で、セット数も多く、すっかりのめり込んでしまいました。充実した仕事ができて喜んでいます。チャンスをいただいた市川崑監督はじめ、関係者の皆様に感謝いたします」と、喜びを語った。(1937年 和歌山県)
優秀賞種田陽平「スワロウテイル」


映画、CF、ビデオなどで幅広く活躍中。「『スワロウテイル』の舞台である架空都市「円都(イェンタウン)」を作るに当たゆ「アジアの各都市、バンコク、クアラルンプール、シンガポール、台北、香港をロケハンし、イメージを組み立てました。見慣れた東京という都市の景色に、無国籍なアジアンテイストの街の表情を持たせることを意識しました」と初受賞となった作品を振り返った。(1960年 神奈川県)
優秀賞松宮敏之「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


これまでに手がけた代表作は『新・極道の妻たち惚れたら地獄』『瀬降り物語』など。今回初受賞となった作品を振り返りながら、「主人公である宮沢賢治が当時感じたことを僕なりに理解しようとつとめましたが、これだという手応えをつかむまでに時間がかかった作品でした。この作品に出会えたことがラッキーだったと思いますし、受賞できて嬉しいです」と語ってくれた。 (1959年 和歌山県)
優秀賞横尾嘉良「眠る男」


第14回の『死の棘』を含めて今回が5度目の受賞。「小栗監督の『眠る男』という映画づくりにめぐりあって、これまでに一度はやりたいと思っていた「光」と「音」が醸し出すものに耐える空間をつくるという仕事を実現することができました。そして、まったく新しい日本映画になりました。その仕事が日本アカデミー賞で評価されたことが何より嬉しく思います。」(1930年 東京都)
優秀録音賞
最優秀賞米山靖「Shall we ダンス?」


『Shall we ダンス?』の世界へ観客を引き込む音づくりが評価されての初受賞となった。「全スタッフ、キャストの皆さんに助けてもらって、すばらしい作品になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。現場ではわがままを言わせてもらったりしましたし、納得できる仕上がりになったのもスタッフの力があったからこそ。本当に皆さんにありがとうと言いたい」と、喜びを語った。(1955年 長野県)
優秀賞斉藤禎一/大橋鉄矢「八つ墓村」


第18回の最優秀賞コンビが『八つ墓村』で 4度目の受賞。「監督はじめスタッフ、キャストの皆さんのおかげです。スケールの大きな作品でしたから、やりがいもあったし、それだけに満足感も大きく、砧の仲間とも喜びを分かち合っています」と斉藤氏。時代の雰囲気を醸し出す音へのこだわりが、作品に深みを出した。 (1941年 千葉県)(1927年 群馬県)
優秀賞鈴木功/松本隆司「学校Ⅱ」


「熱気球チーム、クリーニング工場の方々など、音を通して、そしてこの作品を通して出会えた皆さんに感謝しお礼を申し上げます。」と鈴木氏。「鈴木さんが現場で丹念に音を録ってきてくれるので、こちらも一所懸命でした。すぐれた作品に出会えて嬉しい」と松本氏。『学校Ⅱ』でコンビとしては5度目の受賞を飾った。(1927年 神奈川県)(1928年 東京都)
優秀賞滝澤修「スワロウテイル」


「岩井監督との初めての仕事は刺激的でした。この作品では、最初からDAWコンピュータを使ったサウンド編集を前提にしていましたから、現場では結構大変でした。だから、それが評価してもらえたというのは嬉しいですね。助手の人たちにも大いにがんばってもらって感謝しています」と初受賞の感想を語ってくれた。映像とのバランスがとれた仕事が高く評価された。(1956年 岩手県)
優秀賞堀池美夫「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


第17回・18回に連続受賞。今回『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』で3度目の受賞となった。「以前から一度仕事をしてみたいと思っていた監督さんの作品で受賞できて、本当にありがたいと思います。暑いシーズンの撮影で虫の声などに苦労したことや、俳優の皆さんのがんばりなどいろいろな思い出がある作品です」。一言一言をていねいに語りながら、作品を振り返った。 (1953年 京都府)
優秀編集賞
最優秀賞菊池純一「Shall we ダンス?」


「周防監督は観客を楽しませる映画づくりに徹する人。そんな監督とずっと一緒に仕事をしてこれたことに感謝したい。たくさんの人が映画を見てくれて万々歳なんだけれど、これが最高ってことじゃなくて、次も、そのまた次も、また喜んでもらえる作品を作れたらと思います」と、スタッフのチームワークの良さが伺えるコメント、第16回に続き、みごと2度目の受賞を果たした。(1950年 北海道)
優秀賞荒木建夫「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


「まず、皆さんに感謝したい。そして、この作品と出会えた人生に乾杯したいですね。アニメとの合成も含めて試行錯誤を繰り返し、監督ともしょっちゅうディスカッションしながらで、それがまた楽しかった。映画は総合芸術だという面が出た作品になったのでは」と話す。『遺産相続』『極道の妻たち赤い絆』など数多くの作品を手がけてきたが今回が初受賞。(1942年 京都府)
優秀賞石井巌「学校Ⅱ」


『男はつらいよ』シリーズ、『息子』『学校』で受賞歴があり、山田作品の持つ味わいを生み出す重要な鍵を握る一人である。「教育の問題を扱った映画で賞をいただいたことが一番嬉しい。映画的には難しい題材ですが、作家の叫びが聞こえてくる、いつまで経っても伝わってくる強さを持った映画だと思う。来世紀に残していく映画が生まれたと感じます」と力強く語ってくれた。(1933年 神奈川県)
優秀賞長田千鶴子「八つ墓村」


すでに4度の受賞歴があり、『四十七人の刺客』では最優秀賞に輝いている。「今回の話は戦後という設定でしたから、脱色して過去の色をつくりあげて時代色を出すという仕事が、とても楽しかったですね。これからは新しい編集機器にも挑戦してみたいですし、常にフィルムの仕事を続けていけたらと思います」と、弾んだ声で受賞の喜び、映画への情熱を語ってくれた。 (1942年 福岡県)
優秀賞鈴木晄「スーパーの女」


過去6度の受賞のうち4度の最優秀に輝くベテラン編集マン。伊丹監督作品での仕事も高い評価を得ている。「『スーパーの女』はアクション映画ですから、皆さんにわかりやすく気持ち良く見てもらえるように努力しましたし、楽しく見られるリズムで編集しました。監督をはじめ、スタッフの皆さまに感謝しています。受賞できて感謝しております」と喜びのコメントを寄せてくれた。(1928年 大阪府)
優秀外国作品賞
最優秀賞イル・ポスティーノ


祖国を追われて南イタリアの美しい島にやってきた世界的な詩人と、貧しいが純朴な心をもつ島の青年が出会い、静かに友情が育まれていく。みずみずしい言葉を豊かな自然に巧みにおりこみ、深い感動を残す作品。青年を演じたマッシモ・トロイージは、映画のクランクアップ直後に41歳の若さで亡くなり、本作品が遺作となった。(ブエナ ビスタ)
優秀賞インデペンデンス・デイ


異星人の巨大空母が地球の大気圏内に突入し、攻撃を仕掛けてくる。世界各国でオープニング記録を樹立したスーパー・エンターテインメント・ムービー。特殊効果技術の粋を結集した90年代最高のSF映画としてだけではなく、名脇役として活躍してきた俳優陣を配し、極限状態に陥った群衆の人間ドラマを描き出した点も評価された。(FOX)
優秀賞セブン


『エイリアン3』のデビッド・フィンチャー監督によるサイコ・サスペンス。キリスト教の七つの大罪に基づいて冷酷な殺戮が展開する衝撃的なストーリー、若手人気俳優ブラッド・ピットと風格ある演技派のモーガン・フリーマンという顔合わせの妙、すぐれた撮影・美術など、映画としての完成度を極限まで追求した。 (ギャガ=ヒューマックス)
優秀賞12モンキーズ


『未来世紀ブラジル』での圧倒的な映像構成力で映画ファンの心をわしづかみにしたテリー・ギリアム監督による、狂気と愛に満ちたサスペンス大作。ブルース・ウィリス、ブラッド・ピットらスター俳優を巧みに起用。近未来と現代をつなぐ時間軸に、人類を滅亡寸前に追いやったウイルスの謎を交錯させ、観客をその映像世界に引き込んだ。 (松竹富士)
優秀賞ミッション・インポッシブル


60~70年代の人気TVシリーズ『スパイ大作戦』をもとにした超娯楽大作。トム・クルーズが製作・主演、共演にジャン・レノ、監督は“映像の魔術師”ブライアン・デ・パルマ、という豪華な顔ぶれ。最先端のCGを使ったアクションシーンなど、見せ場満載で観客を熱狂させた。あの懐かしいテーマ曲もU2のメンバーのアレンジでみごとに復活。 (UIP)
新人俳優賞
優秀賞安藤政信「Kids Return」


高校卒業と同時に芸能プロダクションに入り、初めてのオーディション『Kids Return』で大抜擢。この作品を通して俳優への決意を固めたという彼は、スクリーンの中で確実に成長。ボクシングを通して変化していったシンジの姿にぴったりと重なる。彼を選んだ北野武監督の期待に十分に応え、各映画祭でも新人賞を総なめにして、デビュー作で一気にスクリーンの世界に飛び出した。(神奈川県出身)
優秀賞内野聖陽「(ハル)」


1991年、早稲田大学在学中に文学座研究所に入所し、翌年には初舞台をふむ。昨年はNHK朝の連続テレビ小説のレギュラーにも抜擢されるなど、いまや期待の大型新人へと成長してきた。パソコン通信で出会った男女の新しい恋愛を描いた話題作『(ハル)』で、現代の若者の等身大の姿を好演し、映画初出演での受賞となった。これからの演技がますます楽しみな存在である。 (神奈川県出身)
優秀賞金子賢「Kids Return」


16歳で芸能界に入り、TVドラマにレギュラー出演するなど着実に成長。映画デビューは94年の『イルカに逢える日』。映画出演第3作目の『Kids Return』で、迷いながら自分の道を手探りし、ヤクザの世界に飛び込んで行くマサル役を好演。演技の幅を大きく広げた。スポーツ全般が得意という伸びやかな身体、演技への意欲さを隠さないストレートさ、大きな可能性を感じさせる俳優だ。(東京都出身)
優秀賞鳥羽潤「僕は勉強ができない」


母親が応募した第1回才能の祭典で、約3万4千人の中からグランプリにえらばれたというラッキーボーイ。山田詠美原作の『ぼくは勉強ができない』で演じた、世間の良識に収まりきれない高校生・秀美役は、本人の天性のキャラクターとも相まって、高い評価を得た。豊かな感性と不思議な個性が同居する、その魅力を映画初主演で最大限に発揮。注目の大型新人の登場だ。(和歌山県出身)
優秀賞天海祐希「クリスマス黙示録」


宝塚のトップスターから女優に転身して、映画出演第一作目に選んだのが『クリスマス黙示録』。単身アメリカに乗り込み、特命任務を遂行する女刑事というこれまでにない役柄への挑戦、そして全篇英語の台詞という高いハードルをみごとに乗り越え、世界に通用するスケールの大きな女優への第一歩をしるした。舞台、テレビ、映画へと世界を広げ、着実に新たなファン層を獲得している。(東京都出身)
優秀賞伊藤歩「スワロウテイル」


6歳の頃から雑誌などのモデルとして活躍。93年の『水の旅人侍KIDS』のオーディションで準主役に選ばれて映画デビュー。『スワロウテイル』では、無国籍で不思議な透明感をもつ少女アゲハを演じ、独特の存在感ある演技に加え、初めて挑戦した外国語でのセリフの発音の良さでも周囲を驚かせた。今回は助演女優賞にも輝いた弱冠16歳の彼女にこれからも期待したい。(東京都出身)
優秀賞草刈民代「Shall we ダンス?」


日本バレエ界の国際的トッププリマとして国内外で活躍中。『Shall we ダンス?』のヒロイン、主人公が憧れる社交ダンスの教師役で映画に初挑戦。閉ざしていた心を開き、ダンスの楽しさを取り戻していく演技が評価され、主演女優賞とのダブル受賞となった。一人の表現者として、映画での経験を今後の活動に生かしたいという。バレエダンサー、女優という枠を軽やかに飛び越えた感がある。(東京都出身)
優秀賞水野真紀「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」


第2回東宝シンデレラコンテストで審査員特別賞を受賞し、89年の『冬物語』でデビュー。以来、テレビドラマやCMでも活躍。可憐な容貌と清楚な印象で、男女を問わず幅広い年代から人気を集めている。『わが心の銀河鉄道宮沢賢治物語』では、賢治に大きな影響を与えた母性豊かな妹・トシ役を熱演し、優秀助演女優賞をダブル受賞。女優としての新たな魅力を開花させた。(東京都出身)
協会栄誉賞
優秀賞渥美清


戦後の混乱期、その卓越した才能を発揮して浅草軽演劇の黄金時代を築き、その後テレビ界、映画界に身を投じ、演技を通して笑いと、生きる希望を国民に与えてくれました。そして昭和44年(1969年)、山田洋次監督とのコンビで『男はつらいよ』が公開されて以来、第48作までの27年間、世界最長の映画シリーズとして、自らの偉大な記録を更新して来られました。永年のこれらの業績により受賞された国民栄誉賞をはじめとする幾多の名誉は、わたくしたち映画人の誇りとするところであります。
また、日本アカデミー賞においては、第1回を含め計6回の優秀主演男優賞、第4回には特別賞も受賞され、当協会の歩を語る上でも忘れることのできない貴重な俳優です。平成8年8月4日逝去。その報は日本中の人々に大きな悲しみをもたらしました。
会長特別賞
優秀賞小林正樹


早大文学部を経て、1941年松竹に入社。復員後、木下惠介監督に師事し『息子の青春』(1952年)で監督デビュー。『人間の条件』(6部作)『切腹』『上意討ち-拝領妻始末-』『化石』など数多くの名作・話題作を手がけ、1971年カンヌ国際映画祭監督功労賞を受賞。また、1984年紫綬褒章、 1990年勲四等旭日小綬章を受章するなど、日本映画界の発展に多大な足跡を残した。
優秀賞佐藤正之


満州映画協会脚本部を経て、 1948年劇団俳優座に入団。68年に俳優座映画放送を設立し、『若者たち』(3部作)『忍ぶ川』『サンダカン八番娼館・望郷』『砂の器』などをプロデュース。その後、社名を「仕事」に変更して独立し、数多くの映画・演劇のプロデュースに専念。遺作となった『深い河』(1995年)までその映画にかける情熱は衰えることがなかった。
優秀賞沢村貞子


父は役者にして狂言作者、兄が沢村国太郎、弟が加東大介という役者一家に生まれ、1929年、新劇女優をめざし、新築地劇団で初舞台を踏む。その後、映画女優に転じ、溝口健二、小津安二郎、内田吐夢などの名監督に次々と起用され名脇役として活躍し続け、日本映画界に大きな功績を残した。晩年は名エッセイストとしてもその魅力を発揮し続けた。
優秀賞藤子・F・不二雄


1951年漫画家デビュー。『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『パーマン』『21エモン』など多数の国民的ヒーローを誕生させる。映画『ドラえもん』は、1978年より18年間の長期にわたり原作・脚本そして製作総指揮にあたる。劇場の大画面にあったスケール感を出すためにと全作映画用に書き下ろし、子供も大人も楽しめるアニメーション映画を発表し続けた。
優秀賞フランキー堺


慶應大学在学中からジャズプレイヤーとして名声を獲得、1953年に『青春ジャズ娘』で映画界に本格進出。ブルーリボン主演男優賞を受賞した『幕末太陽伝』(57年)、TVドラマ『私は貝になりたい』(1958年)などで高い評価を得る。1995年には念願の『写楽』をプロデュース、俳優としても迫力ある演技を見せ、同年2月紫綬褒章を受けるなど、その映画への情熱は多くのファンを魅了した。
協会特別賞
優秀賞群馬県人口200万人記念映画「眠る男」製作委員会


映画の文化的意義のもとに、群馬県の人口200万人到達を記念して製作を決断、優れた芸術性にあふれた作品を完成。自治体の積極的参画等、今後の多様化する映画製作の可能性をも充分に示唆した功績による。
話題賞

作品部門:「スワロウテイル」


俳優部門:浅野忠信