第41回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2018(平成30)年3月2日(金)
場所: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
司会: 西田敏行/宮沢りえ

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優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

最優秀作品賞 「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
ある意味そんなにメジャーな作品ではないと思っていたので、このようなメジャーな賞をいただけるとは思っていませんでした。ここに来られただけでも嬉しいです。
(松崎 薫プロデューサー)
まだまだ映画はよく分からないな、というのが撮り終わった後の正直な感想です。この受賞を糧にして、もう一歩先に進みたいと思います。(是枝裕和監督)

【解説】
「そして父になる」(13)「海街diary」(15)などで“家族”を描き、日本アカデミー賞はじめ国内外の賞を受賞してきた是枝裕和監督が、その舞台を“法廷”に移して臨む心理サスペンス。第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。殺人の前科のある男が、解雇された工場の社長を殺害。犯人の国選弁護士となった男は、死刑確実といわれるこの判決を無期懲役に持ち込もうと意気込む。だが、犯人は接見のたびに供述を変え、被害者の娘との接点も明らかになり、裁判は迷走していく。狭い接見室のガラス越しに展開される弁護士役の福山雅治と、犯人役の役所広司の攻防が圧巻。坦々としたやり取りに、手に汗握る緊迫感が加えられる。イタリアの作曲家ルドヴィコ・エイナウディが初めて日本映画の音楽を担当したことも話題に。第42回エランドール賞・プロデューサー賞(松崎薫)、第60回ブルーリボン賞・助演女優賞(斉藤由貴)を受賞。今回の日本アカデミー賞では10部門を受賞。
監督・脚本:是枝裕和
製作:フジテレビジョン/アミューズ/ギャガ

優秀作品賞 「君の膵臓をたべたい」


“泣ける小説”として口コミが広がり、10代からの熱烈な支持を得てベストセラーとなった住野よるの同名小説を映画化。「君と100回目の恋」(17)の月川翔監督と、「アオハライド」(14)を手掛けた脚本家・吉田智子という青春映画の名手がタッグを組んだ。重い膵臓の病を患う女子高生・桜良と彼女の病気を家族以外で唯一知ることになったクラスメイトの“僕”。言葉では言い表せない儚く美しい2人の距離感を、彼女の死から12年後の“現在”と高校時代の“過去”の2つの時間軸を交えて描く。映画では原作にはない12年後を描き、桜良が“僕”に残した想いの強さを深く印象づけた。刺激的なタイトルも話題になり、その意味が明らかになる終盤が胸に響く。今回の日本アカデミー賞では2部門と主演の浜辺美波と北村匠海が新人俳優賞を受賞した。
監督:月川 翔 脚本:吉田智子
製作:東宝/博報堂DYミュージック&ピクチャーズ/双葉社/ジェイアール東日本企画/博報堂/KDDI/日本出版販売/トライストーン・エンタテイメント/S・D・P/東急エージェンシー/GYAO/トーハン

優秀作品賞 「関ヶ原」


原作は司馬遼太郎の歴史小説『関ヶ原』。25年もの間、映画化を熱望し続けてきた原田眞人監督が遂に実現させた。石田三成を「正義を信じ、愛を貫く純粋すぎる武将」、徳川家康を「野望に燃え、天下取りを目論む武将」とする解釈のもと、豊臣秀吉の死から天下分け目の“関ヶ原の戦い”までに至る過程を追う。400年以上前の背景を成立させるべく、東本願寺や姫路城、龍潭寺、圓教寺といった各地の歴史的建造物でロケを敢行。繊細な照明と説得力のある美術も合わさり、歴史的重みを見事に表現した。岡田准一、役所広司、東出昌大、有村架純ら豪華俳優陣の共演もさることながら、エキストラ総勢3000人、延べ400頭にも及ぶ騎馬や鉄砲隊が入り乱れる合戦シーンなど、そのスケールは他に類を見ない。今回の日本アカデミー賞では10部門を受賞。
監督・脚本:原田眞人
製作:東宝/アスミック・エース/住友商事/電通/ジェイアール東日本企画/木下グループ/ジェイ・ストーム/朝日新聞社/毎日新聞社/時事通信社/WOWOW/阪急交通社/東急エージェンシー/時代劇専門チャンネル/GYAO/日本出版販売/中日新聞社/コーエーテクモゲームス

優秀作品賞 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


人気作家・東野圭吾原作による同名小説を廣木隆一監督が映画化。養護施設出身の幼なじみ3人は強盗を働いた後、廃屋となったナミヤ雑貨店に逃げ込み一夜を過ごすことに。深夜、シャッターの郵便口から舞い込んだ手紙をきっかけにして、雑貨店と自分たちを繋ぐ意外な秘密を知ることに……。過去と現在、人々の想いが複雑に絡み合いながらも一つになっていく感動的な物語に仕立て上げた。幼なじみを演じた山田涼介、村上虹郎、寛一郎と雑貨店の店主に扮した西田敏行は、共演シーンはなかったが、お互いの撮影現場に足を運んだという。国民的俳優である西田の芝居から多くを学んだという若手に対し、西田は「愛おしくてたまらない」と返す。山下達郎が提供した主題歌『REBORN』も人の想いを繋ぐ重要な要素を担った。今回の日本アカデミー賞では6部門を受賞。
監督:廣木隆一 脚本:斉藤ひろし
製作:KADOKAWA/松竹/ハピネット/ジェイ・ストーム/朝日新聞社

優秀作品賞 「花戦さ」


戦国時代末期、千利休や京の町衆など、自分に異を唱えるもの全てを武力で押さえつけようとした豊臣秀吉に、刃ではなく花で立ち向かった、初代池坊専好を描く歴史ドラマ。劇中のいけばなは、華道家元池坊が全面的にバックアップした。監督は「起終点駅 ターミナル」(15)の篠原哲雄。脚本は、昨年、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』を手掛けた森下佳子。池坊専好を狂言師・野村萬斎、天下人・豊臣秀吉を歌舞伎俳優・市川猿之助、千利休を佐藤浩市が演じ、文化、政治の頂点に立つ男たちの対立、友情、思惑を、胸高鳴らせるアンサンブルで見せた。また、安土桃山の世にタイムトリップしたかのような豪華な美術に、池坊監修のインパクトのある立花や、掛け軸と合わせた荘厳な松の大砂物が映える。今回の日本アカデミー賞では8部門を受賞。
監督:篠原哲雄  脚本:森下佳子
製作:東映/木下グループ/東映ビデオ/竹田本社 /エネット/たねやグループ/エスカワゴエ/全日本空輸/朝日新聞社/日本出版販売/デスティニー
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

最優秀アニメーション作品賞 「夜は短し歩けよ乙女」


【最優秀受賞コメント】
森見登美彦先生の楽しくて可愛いらしい作品を映画化できて、とても楽しく現場で作っていました。アニメーションは本当にたくさんの人が作品に携わっていて、いろんな方が頑張っています。声を出す方も、映らないところで一生懸命演技をしたり、歌に説得力を持たせたりと大変なことです。スタッフ、キャストのみなさん、おめでとうございます。そしてどうもありがとうございました。(湯浅政明監督)

【解説】
森見登美彦の同名小説をアニメ映画化。昨年、本作と「夜明け告げるルーのうた」の2作品が劇場公開されるなど、近年勢いを増す湯浅政明が監督を務めた。本作で第41回オタワ国際アニメーション映画祭長編部門で日本作品初のグランプリを受賞。「夜明け告げるルーのうた」ではアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門最高賞となるクリスタル賞に輝くなど、その作品は海外でも高く評価されている。“黒髪の乙女”に焦がれる“先輩”は「なるべく かのじょの めにとまる」の頭文字を取ったナカメ作戦を実行し、春の先斗町、夏の古本市、秋の文化祭と、外堀を埋めることに全精力を注いできた。しかし、やがて冬が来て……。森見作品独特のありそうで実際にはありえない世界を、湯浅監督ならではの躍動感あふれる演出でポップに描いた。声優として星野源、花澤香菜らが参加。
監督:湯浅政明 脚本:上田 誠
製作:フジテレビジョン/東宝/サイエンスSARU/KADOKAWA/BSフジ

優秀アニメーション作品賞 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」


岩井俊二が手掛けた“伝説的ドラマ”を、TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(11/MBS)の新房昭之を総監督に迎えて劇場用アニメとしてリメイク。脚本には自身も映画監督であり、原作ドラマのパロディ作品を作るほど影響を受けたという大根仁が参加した。花火大会を前に盛り上がる典道、祐介ら中学生男子。そんな中、典道が思いを寄せるなずなは親の都合で転校が決まる。転校に抵抗するなずなは典道を“かけおち”に誘うが親に連れ戻されて失敗。悔やむ典道だったが、気がつくとかけおち前の時間に戻っていた……。アニメーションならではのイマジネーション豊かな表現で未成熟な10代の心の揺れを表現。作品世界を叙情的に歌ったDAOKO×米津玄師による主題歌『打上花火』は、若者の共感を呼びヒットを記録した。なずなの声を広瀬すず、典道を菅田将暉、祐介を宮野真守が演じている。
総監督:新房昭之 監督:武内宣之 脚本:大根仁
製作:東宝/アニプレックス/シャフト/KADOKAWA/トイズファクトリー/ジェイアール東日本企画/ローソンHMVエンタテイメント/LINE

優秀アニメーション作品賞 「ひるね姫~知らないワタシの物語~」


これまで『攻殻機動隊 S.A.C.』(02~11/NTV)『東のエデン』(09/CX)などSFアクションやハイファンタジーを手掛けてきた神山健治監督が、平凡な女子高生を主人公にオリジナル作品として作り上げた。岡山県倉敷市で暮らす女子高生の森川ココネは、最近何度も同じ夢を見ていた。ある日、ココネの父親が逮捕されてしまう。逮捕の真相が分からず焦るココネだったが、不思議な夢が事件と関係していることに気付く。夢と現実の世界の出来事が干渉しあうなか、ココネは家族の秘密へと迫っていく。2020年の東京オリンピック開催3日前という“ほんの少し先の未来”を描いた本作だが、「インターネット」や「AI」といった神山監督ならではのキーワードは健在。主人公の森川ココネの声を演じた高畑充希が、主題歌『デイ・ドリーム・ビリーバー』も歌った。
監督・脚本:神山健治
製作:日本テレビ放送網/プロダクションI.G/ワーナー・ブラザース映画/博報堂DYメディアパートナーズ/ホリプロ/Hulu/バンダイ/KADOKAWA/バップ/読売テレビ放送/KDDI/ローソンHMVエンタテイメント/STV、MMT、SDT、CTV、HTV、FBS、RNC

優秀アニメーション作品賞 「メアリと魔女の花」


日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した「借りぐらしのアリエッティ」(10)の米林宏昌監督が、プロデューサーの西村義明とともに設立したスタジオポノックで初製作した長編アニメーション映画。原作は、イギリスの女性作家メアリー・スチュアートの児童小説。田舎にある大叔母さんの家に引っ越してきた少女メアリが、村の少年ピーターらと友情を育みながら、悪い魔女に立ち向かうファンタジー・アニメ。メアリは森できれいな花を見つけ、持ち帰る。それは数十年前に魔女の国から持ち去られた、魔力を増幅させる花“夜間飛行”だった。そして、この花こそ、魔女の大学の校長らが、危険な実験を完成させるために探し求めていたものだった。魔法のほうきに乗って、メアリが空に舞い上がる飛行シーンは、美しくファンタスティック。メアリの声を杉咲花、ピーターを神木隆之介、大学校長を天海祐希が演じている。
監督:米林宏昌 脚本:坂口理子/米林宏昌
製作:日本テレビ放送網/東宝/電通/博報堂DYメディアパートナーズ/ウォルト・ディズニー・ジャパン/ローソン/カドカワ/カラー/読売テレビ/研音/アミューズ/D.N.ドリームパートナーズ/LINE/読売新聞/札幌テレビ/ミヤギテレビ/静岡第一テレビ/中京テレビ/広島テレビ/福岡放送

優秀アニメーション作品賞 「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」


青山剛昌原作の人気コミック『名探偵コナン』の劇場版21作目。監督は「名探偵コナン 沈黙の15分」(11)以降7作連続で静野孔文が手がけている。脚本は青山より直接指名を受けた推理作家の大倉崇裕が務め、ミステリーに奥深さを与えた。大阪の日売テレビで爆破事件が発生。当時局内では、競技かるた界を牽引する「皐月会」が開催する会見が行われていた。また時を同じく、京都の嵐山にて皐月杯の優勝者が殺害される。偶然日売テレビに居合わせた江戸川コナンは、西の高校生探偵・服部平次とともに事件解決に奔走する。定評のあるアクションシーンや謎解きに加え、「百人一首」をテーマにすれ違いの恋を描き、子どもだけでなく、大人の女性層を取り込み、17年邦画興行収入1位の68.9億円を記録。シリーズ最大のヒットとなった。第30回から設けられた優秀アニメーション作品賞は今回で9度目の受賞となる。
監督:静野孔文 脚本:大倉崇裕
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
優秀監督賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞是枝裕和「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
現場で脚本が度々変更となり、監督なら1度は経験したことのあるヒリヒリするような時間がありました。僕が悩んで先が見えなくなったときに、福山雅治さんが「大丈夫ですよ。音楽もそういうときに一番良いものが生まれたりします」と、常に僕を信頼してくれました。そのことに本当に感謝しています。彼の元にも届けたいと思います。
【受賞歴】第39回「海街diary」で最優秀賞、第37回「そして父になる」で優秀賞受賞。
優秀賞黒沢清「散歩する侵略者」


【受賞コメント】
これは羽目が外れるぎりぎりのところで作った実験的娯楽映画なのですが、華やかな賞をいただき驚いています。スタッフ、キャスト、そして原作、全部が合わさって映画は時に予想もしない力を発揮するんですね。
初受賞
優秀賞篠原哲雄「花戦さ」


【受賞コメント】
監督人生25年で初めてこの場に立つ事が出来、本当に光栄であります。京都の時代劇の伝統の中で、池坊さんはじめ多くの方々のお力を借りながら、世の中の理不尽な圧力に対し一矢報いる映画を作ることが出来ました。大きな松の前、専好(野村萬斎)、秀吉(市川猿之助)、信長(中井貴一)、利家(佐々木蔵之介)、利休(佐藤浩市)らが集うシーンの撮影はスリリングで緊張感あふれ忘れられないものとなりました。一度ならず何度か見て新たな発見をして頂けたら幸いです。
初受賞
優秀賞原田眞人「関ヶ原」


【受賞コメント】
何度も諦めた企画でした。実現してみると、予想以上にしんどい現場でした。乗り切れたのは体力知力を兼ね備えた最高のキャストとスタッフ、さらには幾多の戦闘名場面を残してくれた名匠闘匠たちのおかげです。とはいえ、私の労苦は司馬先生のそれと比べたら、ひと粒の柿の種の重みです。授賞式で、再び歴戦の同志が集合できるゼイタクを与えてくださった日本アカデミー賞会員の皆さんに心から感謝いたします。
【受賞歴】第23回「金融腐蝕列島 呪縛」第26回「突入せよ!『あさま山荘』事件」第32回「クライマーズ・ハイ」第36回「わが母の記」第39回「日本のいちばん長い日」で優秀賞受賞。
優秀賞廣木隆一「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


【受賞コメント】
ありがとうございます。自分とは縁がないと想っていた賞なので驚いています。ただただ、ピンク映画でデビューしてから今まで付き合ってくれた多数のスタッフ達やキャスト達に感謝を込めてありがとうと言いたいです。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は群像劇です。前々から群像劇を描きたいと思っていたので今作で受賞出来た事、また、長年一緒にやってきた脚本家の斉藤さんと一緒に受賞出来たことも嬉しい事です。これからも節操無くいろんな分野の映画に挑戦していく励みとなりました。推していただいた皆様に感謝します。
初受賞
優秀脚本賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞是枝裕和「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
今回は本当に悩みに悩みました。この脚本に関しては、今日も会場に来られている7人の弁護士さんに加わっていただきました。模擬接見、模擬裁判を繰り返し行い、それを撮影したものを文字に起こして脚本にしています。ですから、自分が書いたというよりも、裁判の裏まで知り尽くした弁護士さんたちのおかげでいただけた賞だと思っております。
【受賞歴】第37回「そして父になる」第39回「海街Diary」で優秀賞受賞。
優秀賞斉藤ひろし「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


【受賞コメント】
初稿を書き上げる度に「このホンは一行たりとも直さない」と心に決めるのですが、現実はそうなったためしがありません。当たり前ですね。作品を少しでも良いものに仕上げる為に誰もが命を削っているんですから。今まで仕事をご一緒してきたみなさん、今回選んでくださったみなさんに、ただただ感謝しております。
【受賞歴】第27回「黄泉〈よみ〉がえり」で優秀賞受賞。
優秀賞森下佳子「花戦さ」


【受賞コメント】
「花戦さ」は世に対し『花を刀に戦った』一人の花僧の物語です。彼の生き方には芸術やエンタメが何の為に世にあるのか、何を負うべきなのか、何をその矜恃とするのか、その答えが詰まっていました。初代専好さんその人、原作者の鬼塚先生、そして芸を持って体現してくれた野村萬斎さん、皆さまのおかげでいただいたような賞かと存じます。ありがとうございました。
初受賞
優秀賞山田洋次/平松恵美子「家族はつらいよ2」


山田:【受賞歴】今回で19度目となる最多受賞者。第1回の「幸せの黄色いハンカチ」をはじめ、第4回、第17回、第26回で最優秀賞を受賞。また、第6回特別賞、第36回協会栄誉賞を受賞。
【受賞コメント】
平松:『喜劇』で『シリーズもの』である「家族はつらいよ2」で脚本賞をいただけたことが何よりも嬉しい。しかも今回は「貧困老人」「無縁社会」という社会の難問に向き合った作品である。山田監督のたゆまぬ挑戦になんとか伴走できたのかと、ホッとしたような気持ちです。
【受賞歴】第24回「十五才 学校Ⅳ」で初受賞。第30回「武士の一分」第32回「母べぇ」など、第40回「家族はつらいよ」に続き5年連続9度目の優秀賞受賞。
優秀賞吉田智子「君の膵臓をたべたい」


【受賞コメント】
昨年の正月、母が急に倒れ余命宣告され、「君の膵臓をたべたい」公
開直前の7月に亡くなりました。ある日突然、予告もなく、人はいなくなる……これはそれを教えてくれる作品であり、劇中に出てくるサン=テグジュペリの『星の王子さま』は、幼い頃、母が読み聞かせてくれた沢山の本の中で最も想い出深い小説で、私も「僕」同様、記憶の糸を辿りながら執筆しました。母と、スタッフ一同への感謝を込めて。
初受賞
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞菅田将暉「あゝ、荒野 前篇」


【最優秀受賞コメント】
今年いろいろと他にも賞をいただいたりし、だんだん自分がどこにいるのか、人格的になんなのか、何を大事にしているのかということを実感する機会を自分で作らないとないのですが、今日はちゃんと菅田将暉としてすごく嬉しいです。月並みですが、「あゝ、荒野」に関わったみなさま、そして映画が大好きなみなさま、本当にありがとうございました。
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寺山修司の同名小説を岸善幸監督が舞台を近未来に変え甦らせた本作で、自分を捨てた母を憎み、もがきながら、プロボクサーを目指して都会の片隅で生きる“新宿”新次を演じた。プロボクサーの役作りのため、チアノーゼを起こすまでハードなトレーニングを重ねたという。狂気と孤独の間でくるくると変わる表情と、その鍛え上げた肉体は、多くの観客を魅了した。
【受賞歴】第37回「共喰い」で新人俳優賞を受賞。※本作で第72回毎日映画コンクール男優主演賞、第42回報知映画賞、第30回日刊スポーツ映画大賞、第91回キネマ旬報ベスト・テンの主演男優賞など受賞。
優秀賞大泉洋「探偵はBARにいる3」


札幌ススキノを舞台に探偵とその相棒が活躍する人気シリーズ3作目。ススキノのすべてを知るプライベート・アイ=探偵役に三度扮した。気が向けばどんな依頼も引き受けるが、美女にはめっぽう弱い。情に流されてしまう“ハーフボイルド”な探偵を愛嬌と哀愁をたっぷりに演じた。3作目を迎え、自身の代表作とも言えるシリーズへの熱意は相当なもの。撮影には「死なない程度になんでもやる」という覚悟で臨んだという。
【受賞歴】第35回「探偵はBARにいる」第39回「駆込み女と駆出し男」で優秀主演男優賞を受賞。
優秀賞岡田准一「関ヶ原」


“正義を信じ、愛を貫く純粋すぎる武将”という解釈のもとで描かれた三成を、ぶれることなく実直に演じた。豊臣秀吉に忠義を誓うものの、天下の治め方に疑問を感じ、真の“正義”とは何かに苦悩するなど、これまでとは一味違う新たな三成像を表現。「演技はもちろん、アクションや乗馬にも通じ不安要素はなかった」と原田眞人監督も認めるほどの演技を見せた。
【受賞歴】第38回「永遠の0」で最優秀主演男優賞、「蜩ノ記」で最優秀助演男優賞をダブル受賞。「永遠の0」では話題賞[俳優部門]も受賞。第40回「海賊とよばれた男」では優秀主演男優賞を受賞。
優秀賞佐藤健「8年越しの花嫁 奇跡の実話」


瀬々敬久監督が実話を元に描いた本作品で、結婚式直前に病に倒れ、昏睡状態となった恋人の回復を献身的に支える主人公・尚志を演じた。モデルとなったご夫婦のドキュメンタリー映像に感銘を受け、出演依頼を快諾。お二人に取材するなど丁寧に役を作った。恋人を見つめる視線など、繊細な演技で愛情や不安、葛藤を表現。長きにわたり目覚めを待つという事実にリアリティをもたらした。
初受賞
優秀賞藤原竜也「22年目の告白-私が殺人犯です-」


韓国映画「殺人の告白」(12)を入江悠監督でリメイク。かつて5人の命を奪い、未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件の犯人・曾根崎雅人を演じた。冒頭から圧倒的な存在感で観客を一気に物語へと引き込ませるその演技は圧巻。もはや独擅場ともいえる。隠された真実が明らかになるにつれ、冷酷と思われた殺人犯の中にある本当の姿を説得力のある演技でみせた。
【受賞歴】第24回「バトル・ロワイアル」第27回「バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌」で優秀主演男優賞受賞。「バトル・ロワイアル」では新人俳優賞も受賞。
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞蒼井優「彼女がその名を知らない鳥たち」


【最優秀受賞コメント】
この映画を撮っている時に、本当に映画界に入れて良かったなって思ったんです。これから新学期が始まりますけど、学校がつらいとか、新しい生活どうしようって思っている方がいたら、ぜひ映画界に来ていただきたいです。映画界って良くないですか? 私、本当に好きなんです。今日、優秀賞を受賞された方、本当に尊敬しています。みんなで一緒に映画界を盛り上げていけたらなと思います。
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沼田まほかるの同名原作を、「日本で一番悪い奴ら」(16)の白石和彌監督が映画化。わずかな給料を貢ぐ粗野な男と同棲しながら、日々を怠惰に暮らし、若い男と情事を繰り返す女・十和子を、だらしなささえ魅力的だと感じさせる、希有な演技力で表現。また最低な女像を躊躇なく演じ切ることで、人間の本質に迫り、強い印象を残した。
【受賞歴】優秀主演女優賞は今回が初受賞。優秀助演女優賞は3度受賞。うち第30回「フラガール」で最優秀助演女優賞と新人俳優賞受賞。※本作で第42回報知映画賞、第39回ヨコハマ映画祭、第30回日刊スポーツ映画大賞、第91回キネマ旬報ベスト・テンの主演女優賞を受賞。
優秀賞新垣結衣「ミックス。」


石川淳一監督、古沢良太脚本と、TVドラマ『リーガルハイ』シリーズ(12、13/CX)のチームと再び手を組んだロマンティックコメディ。失恋したうえに無職となった元天才卓球少女・多満子を熱演した。本作ではコメディエンヌとしての一面を遺憾なく発揮するとともに、卓球シーンでは本格的な動きを披露。一度は卓球を捨てた多満子が、過去と向き合い自分を取り戻していく様も魅力的に演じた。
【受賞歴】第31回「恋空」で新人俳優賞と話題賞[俳優部門]受賞。※本作で第60回ブルーリボン賞主演女優賞受賞。
優秀賞土屋太鳳「8年越しの花嫁 奇跡の実話」


結婚を前に昏睡状態に陥り、目覚めるも婚約者との記憶をなくしてしまった実在の女性・麻衣を演じた。難病ゆえの病状や過酷なリハビリなどをリアルに体現し強烈な印象を残した。前半での天真爛漫で魅力的な笑顔から一転、愛していたはずの人を思い出せない苦しい心の内を切実な演技で表現し、観客を魅了した。17年は本作も含め4本の映画に出演。
【受賞歴】第39回「orange-オレンジ-」で新人俳優賞受賞。
優秀賞長澤まさみ「散歩する侵略者」


前川知大氏率いる劇団イキウメの同名舞台を黒沢清監督が映画化。夫の異変に戸惑いながらも夫婦の再生のために奔走する主人公・加瀬鳴海を演じた。たとえ夫が別人のようになったとしても、守り続けようとする強さと、世界が混乱に陥ったことへの怒りを内包した演技で、作品の鍵ともなる“愛”を強く印象付けた。さらにその表現を通じ、“人間とは”への気づきも与えている。
【受賞歴】3度目の優秀主演女優賞受賞。第27回「ロボコン」で新人俳優賞、第28回「世界の中心で、愛をさけぶ」で最優秀助演女優賞と話題賞[俳優部門]受賞。優秀助演女優賞は2度受賞。※本作で第72回毎日映画コンクール女優主演賞受賞。
優秀賞吉高由里子「ユリゴコロ」


沼田まほかる原作の同名ミステリ小説を熊澤尚人監督が映画化。生きることの苦しみと悦びに翻弄される美沙子を熱演。初の殺人者役に挑んだ。生きていくうえで欠かせない心の拠りどころ=“ユリゴコロ”を人の「死」でしか埋められない美沙子の狂気と、出会いを通じて「愛」で満たされていく彼女の安らぎ。紙一重で切り替わる人間の感情の危うさを渾身の演技で表現した。
【受賞歴】第32回「蛇にピアス」で新人俳優賞受賞。
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞役所広司「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
日本アカデミー賞の会場には、日本映画を支えてきた人たちと会うのが楽しみで来ています。そういう人たちの影響を受けたり、教えられたり、真似をして、こうして日本映画のなかで働かせてもらっています。今回は福山雅治さんと二人で作り上げたような芝居だったので感謝したいと思います。高齢のほうに入ってきましたが、この賞をきっかけにもうしばらく頑張っていこうと思います。
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是枝組初参加となった本作で、殺人の前科があり、解雇された工場の社長を殺害したとされる容疑者・三隅を演じた。7回にわたる接見室でのシーンでは、文字通り七変化を見せた。その都度、真実だと思って演技したという。空洞のような眼をして、時に微笑みながら、供述を膨張させていく演技は、狭い接見室を緊張で満たし、事件の闇の深さを体感させた。
【受賞歴】優秀助演男優賞は今回が初受賞。第14回「オーロラの下で」以来、優秀主演男優賞を17回受賞。うち第20回「Shall we ダンス?」第21回「うなぎ」で最優秀主演男優賞受賞。※本作で第72回毎日映画コンクール男優助演賞、第42回報知映画賞、第30回日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞受賞。
優秀賞西田敏行「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


気軽な質問から真剣な悩み相談まで真摯に答え続けて、街の人々に愛された「ナミヤ雑貨店」の店主、浪矢雄治を演じた。熟練の演技で、相談相手を後々まで気遣う慈愛に満ちた表情と、自らの歩んだ人生を受け入れていく様を見せ、観客を圧倒。時代や相談者が交錯していく本作のなかで揺るぎない主軸となった。
【受賞歴】7度の優秀主演男優賞受賞。うち第12回、第17回で最優秀賞受賞。今回4度目の優秀助演男優賞受賞。第33回会長功労賞受賞。本年は第41回山路ふみ子映画賞文化財団特別賞、第39回ヨコハマ映画祭特別大賞受賞。
優秀賞西村雅彦「家族はつらいよ2」


引き続き平田家の長男・幸之助を務めた。本作では、高齢になった父の危険な運転を心配し、なんとか免許証を返上してもらおうと躍起になる演技が印象。父に似て頑固で気難しい面を持ちながら、いざという時には長男として家族会議を開く責任感を持つなど、憎みきれない幸之助を愛嬌を持って表現した。
【受賞歴】第21回「ラヂオの時間」で最優秀助演男優賞と話題賞[俳優部門]受賞。同回「マルタイの女」第23回「黒い家」で優秀助演男優賞受賞。
優秀賞松田龍平「探偵はBARにいる3」


演じたのは探偵の相棒兼運転手の高田。事件に巻き込まれてもひとり無傷でいるなど、飄々としたキャラクターが肝となる役柄だが、それも納得できるほどの独特な存在感を放った。脚本の古沢良太から「超ベテランの漫才師」と称されるほど秀逸な、大泉洋との息の合ったコンビネーションも見もの。本シリーズでは1作目、2作目でも優秀助演男優賞に輝いており、シリーズを通じて3作連続受賞を成し遂げた。
【受賞歴】第23回「御法度」で新人俳優賞受賞。第37回「舟を編む」で最優秀主演男優賞受賞。3度目の優秀助演男優賞受賞。
優秀賞村上虹郎「武曲 MUKOKU」


藤沢周原作の『武曲』をベースに、熊切和嘉監督が本格的な剣の映画に挑んだ。道を見失った剣道の師範と剣を交えることになる、ラップ好きな高校生・融を演じた。舞台となった鎌倉に泊まり込んで役作りをした。学生時代に剣道をやっていた村上は、むしろ竹刀を手にしたことのない様を演じるのに苦労したという。村上の色気、剣を持つ動きのシャープさが、現代の剣戟映画にテンポと生命力をもたらした。
初受賞
優秀賞役所広司「関ヶ原」


太閤秀吉の死から関ヶ原の戦いまでの過程を描いた本作で、東軍を率いて天下を勝ち取る徳川家康に扮した。“野望に燃え、天下取りを目論む武将”として描かれた家康像を十二分に表現。知略をめぐらし、秀吉恩顧の武将たちに取り入る際に狡猾な表情をみせる一方、圧倒的な存在感で周囲を畏怖させる貫禄もみせるなど、説得力ある演技で観客をうならせた。
【受賞歴】第42回報知映画賞、第30回日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞受賞。
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞広瀬すず「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
何を喋ればいいか分からないんですけれど、やっぱり一番込み上がってくるのは嬉しい気持ちです。監督にはいつも見たことのない景色をたくさん見せていただいているので、これから少しずつでも恩返しができるように、そして自分が参加させていただいた作品に少しでも何か力になる役者さんになれるよう、これからも頑張ります。
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是枝裕和監督と2度目のタッグとなる本作で、被害者の娘で事件のカギを握る、脚の不自由な高校生を演じた。是枝監督との前作「海街dairy」(15)や近作で魅せる透明感ある少女から一転して、心に闇を抱えた難しい年ごろの少女を静かに力強く演じた。既に堂々としていて、いっさいブレない演技に是枝監督も絶対の信頼を寄せている。
【受賞歴】第39回「海街diary」で新人俳優賞を獲得。第40回「ちはやふる‐上の句‐」で優秀主演女優賞、「怒り」で優秀助演女優賞を受賞。
優秀賞尾野真千子「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


ナミヤ雑貨店に悩み相談の手紙を投函したことで、人生が大きく変わった田村晴美を好演。育ての親である大叔母への恩返しのためにお金を工面しようと悩む19歳から、手紙のアドバイスにより女性起業家として成功を収める51歳までを、特殊メイクを使わず声のトーンや立ち居振る舞いの変化で見事に演じた。一人の女性の成長を通して、深い愛情を持ち続ける大切さを説くことにも成功している。
【受賞歴】第37回「そして父になる」で優秀主演女優賞、「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」で優秀助演女優賞受賞。※本作で第30回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞受賞。
優秀賞北川景子「探偵はBARにいる3」


ススキノの探偵を描いた人気シリーズ3作目のヒロインに抜擢。表の顔はモデルエージェンシーのオーナー、しかし裏の顔は若い女性を男たちに斡旋する風俗店を仕切る岬マリを熱演した。威圧感さえある気高い美しさで部下に指図する一方で、子どものような無邪気で儚い笑顔を時折みせるなど、謎多き女性を毅然と表現。3作目の作品カラーを色付ける役として強い印象を残した。
初受賞
優秀賞夏川結衣「家族はつらいよ2」


家族の騒動を描いて人気を博した「家族はつらいよ」(16)の続編。前作に引き続き三世代同居の平田家を支える長男の嫁・史枝を演じた。わがままな義父と理屈っぽい旦那に挟まれる嫁の苦労を滲ませつつ、平田家の心の拠り所としての優しさが垣間見える演技で観客を魅了。これまではシリアスな役どころが多いが、山田洋次監督作品におけるコメディエンヌとしての一面も秀逸。
【受賞歴】第34回「孤高のメス」で優秀助演女優賞を受賞。今回2度目の受賞。
優秀賞薬師丸ひろ子「8年越しの花嫁 奇跡の実話」


結婚式直前に病で倒れた娘と、彼女に付き添い続ける婚約者を見守る母親・初美を演じた。演じるにあたり、専門家から話を聞き、実際のリハビリ映像を見るなどして役と真摯に向き合った。娘の回復を信じながらも、その婚約者の未来を気遣わざるを得ないという芝居には、母親の強い愛があふれ、感動を与えた。また、役柄と同様に若手主演二人を支え作品を温かく包むかのような存在を醸し出す。
【受賞歴】第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀助演女優賞受賞。優秀主演女優賞を2度、優秀助演女優賞は今回3度目の受賞。第4回の他、話題賞[俳優部門]を3度受賞。
優秀音楽賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞鈴木慶一「アウトレイジ 最終章」


【最優秀受賞コメント】
非常にアヴァンギャルドな音楽で賞をいただき、とても嬉しいです。その方向に向かえと後押ししてくれたのは北野武監督です。このポップとアヴァンギャルドの隙間産業ならぬ狭間音楽を作って灰になるまで走っていきたいと思います。音楽の道にことあるごとにチャンスを作ってくれたお袋に感謝します。ありがとう!
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音楽とサウンドエフェクトとの境界地点を志した「音楽」を評価いただき大変光栄です。今後、私が向かっていくであろう重要なスタイルを、このアウトレイジシリーズで確認したとも言え、とても嬉しい限りです。このような方向、音をマイナスする前衛俳句の様な抽象的な音楽へ引っ張って下さった北野武監督に心から感謝いたします。
【受賞歴】第27回「座頭市」で初受賞にして最優秀賞受賞。2度目の受賞。
優秀賞富貴晴美「関ヶ原」


【受賞コメント】
「あのとき、私は戦国武将となった」このメインテーマ曲では甘い、優しすぎる! と監督のだめ出し、突き出しに土俵際まで追い込まれ、一時退散。単なる男同士のガチガチ合戦の戦国音楽というより。魂と魂のぶつかり合い、“魂の叫び”のような大きくて。特定の人物、性別、時代に依存しない広がりのある大きな世界観。オリジナル性のあるテーマ曲を! この曲いいねえ。監督の一言で私の鎧は溶けた。これぞ、我が正義!
【受賞歴】第36回「わが母の記」で初受賞。第39回「日本のいちばん長い日」以来、3度目の受賞。
優秀賞村松崇継「8年越しの花嫁 奇跡の実話」


【受賞コメント】
この「8年越しの花嫁」という作品に出逢い参加させて頂けたこと、そして、優秀音楽賞を頂けたこと、本当に嬉しく思います。監督を始めスタッフ皆様のご意見、キャストの方々の素晴らしい演技により、8年越しの花嫁の音楽が生み出されました。瀬々監督、そして、この音楽の世界を生み出させてくれた全ての関係者に感謝しています。
【受賞歴】第40回「64-ロクヨン-前編」で初受賞。2年連続2度目の受賞。
優秀賞ルドヴィコ・エイナウディ「三度目の殺人」


【受賞コメント】
「三度目の殺人」プロジェクトに参加でき、大変光栄でした。この映画の音楽を手掛けることは非常に美しく魅力的な経験でした。この経験を通して是枝監督のことをより知ることができただけでなく、彼の偉大な芸術的才能や彼の豊かな感受性を知ることもできました。彼は映画のストーリーの道筋にそって上手に私の想像力を導いてくださいましたが、その反面、新たな音楽の探求や、挑戦ができる「自由」も与えてくださいました。私は、日本人と日本文化を非常に愛し、常に私のインスピレーションの源としてきております。今回の受賞によって日本との絆が少しでも深くなることを祈っております。
初受賞
優秀賞JIN「キセキ -あの日のソビト-」


【受賞コメント】
日本アカデミー賞を頂けるなんて思ってもなく、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。ストーリーを紡いできた家族や仲間、その他多くの思い出や感情が今回の作品には詰まっています。こんな自分になれるとは。無責任に上京したあの頃の私からすると想像も出来ません。映画を観てくださった皆様。これからも自分に出来るエンタテインメントで少しでも多くの人の役に立てたらと思っています。
壁は必ず越えていくぞー!
初受賞
優秀撮影賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞柴主高秀「関ヶ原」


【最優秀受賞コメント】
今日は我々に映画の神様が微笑んでくださり、最高の賞をいただけました。そしてこの賞は、昨年亡くなられた中嶋しゅうさんをはじめ、苦労をともにしたみんなに感謝したいと思います。
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「時代を撮る!」を思い入れ、挑んだこの作品を多くの方に観て頂いた結果ならば大変嬉しい想いです。撮影現場では大勢のスタッフ、キャストで膨大なシーンを人馬ともに駆け抜けた作品でもあり数々の貴重な体験は財産として残せました。監督をはじめ苦楽を共にしたすべての方々に感謝する作品ですね。
【受賞歴】第33回「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」第39回「日本のいちばん長い日」以来、3度目の受賞。
優秀賞喜久村徳章「花戦さ」


【受賞コメント】
思いもかけない報せでしたので、ただ、ただ驚いています。スタッフ、キャストの皆さんが頑張ったおかげだと思います。
初受賞
優秀賞柴崎幸三「DESTINY 鎌倉ものがたり」


【受賞コメント】
黄泉の国のヒントをつかむために、中国の武陵源、鳳凰古城、西塘等を訪れる事から準備が始まりました。その約1年後、出来上がった「鎌倉ものがたり」の黄泉は、とても個性豊かな世界になったと思います。
【受賞歴】第22回「愛を乞うひと」で初受賞にして最優秀賞受賞。第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」第38回「永遠の0」で最優秀賞を受賞。6度目の受賞。
優秀賞瀧本幹也「三度目の殺人」


【受賞コメント】
画が単調になりがちな接見室や弁護士三人の撮り方を立体的に描こうと思い、アナモフィックレンズに初めて挑戦しました。緊迫感のある迫真の演技を間近で見られただけでも幸せでしたが、今回の賞を頂き大変嬉しく思います。
【受賞歴】第39回「海街diary」で最優秀賞、第37回「そして父になる」で優秀賞受賞。
優秀賞近森眞史「家族はつらいよ2」


【受賞コメント】
潜在化していた格差が一気に表面化してきた今日の日本人が抱える問題を描いた作品です。裕福に人生を送るはずだった老人が突然死んでしまいます。大真面目な社会派の映画なのか、悲劇なのか? いえいえ大真面目なドタバタ喜劇なのでありました。日々の監督との打ち合わせで難航することが多々あり、撮影現場の皆様には迷惑をかけましたが、図らずも今作も受賞と相成りました。観ていただいた方々に感謝です。
【受賞歴】第34回「おとうと」で初受賞。第37回「東京家族」より5年連続6度目の受賞。
優秀照明賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞宮西孝明「関ヶ原」


【最優秀受賞コメント】
最高の喜びです。そして原田監督、ありがとうございます。こんなに大勢のみなさまの前で喋るのは大の苦手とする分野でございまして……。今日はありがとうございました。
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優秀賞を頂き誠にありがとうございます。今回はロケセットが多く、中には重要文化財や国宝といった建物もあり、機材搬入やライティング等で色々と気を使った撮影となりました。ロケ先でお世話になった方々、スタッフ、そして素晴らしいキャストの皆様と一緒にこの作品に携われた事に感謝いたします。ありがとうございました。
【受賞歴】第35回「最後の忠臣蔵」で初受賞。第39回「日本のいちばん長い日」以来、4度目の受賞。
優秀賞長田達也「花戦さ」


【受賞コメント】
「花戦さ」2016年3月京都撮影所にてクランクインしました。それはタイトル通り「花と戦った」一ヶ月でした。いろんな「いけばな」を如何に美しく見せるか特にラストの池坊一代出来物と称賛された「大砂物」。従来の「いけばな」という存在を遥かに超えた「大砂物」と如何に調和出来るか五里霧中の日々でした。その作品がこの様な評価を頂き感謝です。
【受賞歴】第20回「Shall we ダンス?」で初受賞にして最優秀賞受賞。第37回「舟を編む」以来、7度目の受賞。
優秀賞上田なりゆき「DESTINY 鎌倉ものがたり」


【受賞コメント】
山崎監督とは5本の映画で仕事をしていますが、いつも笑いのある楽しい現場ですね。優しい気持ちになれるステキな映画になっていると思います。
【受賞歴】第22回「愛を乞うひと」第38回「永遠の0」で最優秀賞を受賞。第40回「海賊とよばれた男」に続き4度目の優秀賞受賞。
優秀賞藤井稔恭「三度目の殺人」


【受賞コメント】
「三度目の殺人」という物語に寄り添いながら緊張感のある映像が作れたと思っています。画を撮るヒントをたくさん教えられた作品です。「そして父になる」「海街diary」に続き受賞できたこと、是枝監督、素晴らしい俳優陣、仲間達に感謝いたします。
【受賞歴】第37回「そして父になる」で初受賞。第39回「海街diary」で最優秀賞受賞。3度目の受賞。
優秀賞渡邊孝一「家族はつらいよ2」


【受賞コメント】
この度は、素晴らしい賞を頂き光栄に思います。気心知れた仲間達と、前作の教訓をふまえ切磋琢磨して作り上げた作品が、評価されて大変うれしいです。又、この組で得た貴重な経験を、今後の仕事にいかして行きたいと思います。関係各位の皆様ありがとうございました。
【受賞歴】第26回「ピンポン」で初受賞。第37回「許されざる者」で最優秀賞受賞。第40回「家族はつらいよ」に続き5年連続8度目の受賞。
優秀美術賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞倉田智子「花戦さ」


【最優秀受賞コメント】
京都の伝統文化を取り扱った作品だったのでプレッシャーを感じましたが、少しでも作品のイメージに沿えるように細かくやってきたつもりです。そして、池坊さんのお力があってできた作品です。京都のスタッフが頑張ってくれたので、素晴らしいセットを建てることができました。京都の全美術スタッフを代表していただきたいと思います。
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「花戦さ」で優秀賞を頂けて、大変嬉しいです。この作品は、華道、茶道という日本伝統文化を扱った、全てが初めて尽くしの作品でした。分からない事だらけでしたので、一から勉強し、模索し、悩みながら少しずつ築き上げ仕上がった作品です。池坊の先生方はもちろん、表千家、裏千家、武者小路千家の方々、東映京都そして松竹撮影所の美術スタッフがいなければ、到底作り上げる事は出来ませんでした。心より感謝しております。
【受賞歴】第40回「家族はつらいよ」で初受賞。2年連続2度目の受賞。
優秀賞倉田智子/小林久之「家族はつらいよ2」


【受賞コメント】
倉田:今回は、山田組も2度目という事もあり、少しゆとりを持って作品に参加出来ました。とは言え、前回よりもっと良い作品をと頑張ってくれた全ての美術スタッフは大変だったと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。
小林:この度は、この権威ある賞に選出され、大変光栄に思います。本作品は、装飾・装置・塗装・デザインスタッフ他多くの方々に支えられました。また、“山田組”のスタッフ・キャストの方々にも御礼を申し上げます 。
初受賞
優秀賞上條安里「DESTINY 鎌倉ものがたり」


【受賞コメント】
選んで頂いてありがとうございます。主人公の家を丸ごと一軒作ったり、黄泉の国や江の電を作ることも滅多にないことなので楽しい仕事でした。VFXの成果もこの賞に含まれていると思うので、スタッフ代表としてこの評価を受けたいと思います。
【受賞歴】第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」第38回「永遠の0」で最優秀賞を受賞。4度目の受賞。
優秀賞原田哲男「関ヶ原」


【受賞コメント】
今回の受賞は、雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモ負ケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ怒ラズ イツモシヅカニワラッテイル、そんな全ての関係者の皆さん一人一人の努力の賜物です。二年前の酷暑の中、よくもやり遂げてくれました。脱帽です。
【受賞歴】第35回「最後の忠臣蔵」で初受賞にして最優秀賞受賞。第39回「日本のいちばん長い日」以来、3度目の受賞。
優秀賞丸尾知行/中川理仁「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


【受賞コメント】
丸尾:廣木監督の作品で中川との受賞、大変嬉しく思います。複雑な3つの時代経過を表現してくれた、美術、装飾、小道具の全員で頂いた賞だと思っています。スタッフ、キャストは勿論のこと、ロケ地である豊後高田市の皆様の応援が大変力になりました。ありがとうございました。
初受賞
中川:豊後高田のオープンセットでは地元の建材店さんをはじめ、大工さん、鳶職人さん、塗装職人さん、建具屋さん、看板やさん、庭師さん、ご近所のお店のご主人など、多くの人々にお世話になりました。完成した映画をみたあと、いろいろな人の顔と思い出が浮かんできました。 
初受賞
優秀録音賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞矢野正人「関ヶ原」


【最優秀受賞コメント】
緊張してびっくりしております。大変しんどい現場だったんですけれども、また逆に楽しい現場でもありました。本当にありがとうございました。
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この度は、優秀録音賞に選出され、大変うれしく思います。監督をはじめスタッフ・キャストの皆様に感謝いたします。京都の暑い夏の日にクランクインをして、少し肌寒くなった頃にクランクアップを迎えた事思い出しました。大変な撮影だった事も。仕上げ作業も大変でしたね。ただたくさんの皆さんに観ていただき(色々)な意見もありましたが、今はこの作品に参加出来た事光栄に思います。
【受賞歴】第32回「クライマーズ・ハイ」で初受賞。第39回「日本のいちばん長い日」以来、6度目の受賞。
優秀賞尾崎聡「花戦さ」


【受賞コメント】
この度は、日本アカデミー賞優秀録音賞を頂き大変嬉しく思います。監督はじめスタッフやキャストの皆さまのお陰です。「花戦さ」は私にとっては初の時代劇作品でしたのでこの様な評価を協会員の皆さまに頂き、ちょっとホッとしております。この賞に恥じぬ様、今後も精進して参ります。ありがとうございます。
【受賞歴】第32回「おくりびと」で初受賞にして最優秀賞受賞。2度目の受賞。
優秀賞岸田和美「家族はつらいよ2」


【受賞コメント】
今回「家族はつらいよ2」において優秀録音賞をいただき有難うございます。山田監督、素敵なキャスト、スタッフと一緒に楽しく仕事が出来ました。映画はチームワークと信じています。台詞を中心に自然な感じのMixを心がけました。楽しいMixでした。家族を通して大きな共感の笑いと涙を届けてくれる作品です。
【受賞歴】第24回「十五才 学校Ⅳ」で初受賞。第26回「たそがれ清兵衛」で最優秀賞受賞。第40回「家族はつらいよ」に続き5年連続11度目の受賞。
優秀賞久連石由文「アウトレイジ 最終章」


【受賞コメント】
「座頭市」より北野監督の作品に関わらせて頂き、今作で初めて整音まで担当させていただきました。その作品で、この様な賞を頂けた事を大変嬉しく思います。監督を始め、キャスト、スタッフ、関係者の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
初受賞
優秀賞冨田和彦「三度目の殺人」


【受賞コメント】
ミステリアスな脚本と素晴らしいスタッフ・キャストとご一緒でき大変光栄でした。北海道の美しい雪原でのシーンが印象的ですが、物語は室内のお芝居が中心でした。録音的には、密室での緊張感と閉塞感、そして外へ出た時の開放感にこだわったつもりです。監督の描くリアリティーな世界に馴染む音作りを心がけました。
初受賞
優秀編集賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞是枝裕和「三度目の殺人」


【最優秀受賞コメント】
監督と脚本と編集を一緒にやっていくというスタイルで映画を撮っており、トータルとして監督の仕事として捉えています。ですから、このように編集賞をいただけることにびっくりしました。今回、すごく悩んだ時に、みんなの意見にとにかく耳を傾けて作りました。そのスタッフワークを評価していただいたのだと思います。
【受賞歴】第37回「そして父になる」で初受賞。第39回「海街diary」以来、3度目の受賞。
優秀賞阿部亙英「花戦さ」


【受賞コメント】
優れた俳優達の多彩で確かな演技、伝統文化の持つ奥深さ、撮影現場のスタッフから届けられた映像美を受けとめながらその重さを感じつつ、一つのドラマにまとめる編集の難しさと責任をひしと感じました。実に貴重な経験を得たと思っております。
【受賞歴】第19回「写楽」第24回「バトル・ロワイヤル」で最優秀賞受賞。第21回「ラジオの時間」で優秀賞受賞。
優秀賞石井巌「家族はつらいよ2」


【受賞コメント】
「家族はつらいよ2」で名誉ある優秀編集賞を頂き、大変嬉しく思っております。監督を始めスタッフ、キャストがすばらしいチームワークを発揮されて集中力のある楽しい撮影現場でした。編集の仕事も丁寧に集中して出来ました事がとても喜びであり大変な満足でした。そして特に編集スタッフの協力が強力でしたのでとても感謝しております。ありがとうございました。
【受賞歴】第15回「男はつらいよ 寅次郎の告白」「息子」で初受賞。第26回「たそがれ清兵衛」で最優秀賞受賞。第40回「家族はつらいよ」に続き5年連続13度目の受賞。
優秀賞北野武/太田義則「アウトレイジ 最終章」


【受賞コメント】
北野:太田さん、おめでとう。編集を一緒に組んでもう約27年ですね。思い返すと一緒に長くやってきましたね。色々ありました。ありがとうございます。私は諸事情により今回は出席できませんが、ぜひ授賞式を満喫してください。
【受賞歴】第15回「あの夏、いちばん静かな海。」で初受賞。第22回「HANA-BI」第27回「座頭市」で受賞。4度目の受賞。
太田:優秀編集賞を頂き、大変嬉しく思います。北野監督と今作で16本の編集に関わらせてもらっていますが、毎作品違う監督と作業しているようで、今作も混乱と新鮮な驚きの編集作業の日々でした。
【受賞歴】第22回「HANA-BI」で初受賞。第27回「座頭市」以来、3度目の受賞。
優秀賞原田遊人「関ヶ原」


【受賞コメント】
渾身の想いを込めて編集した「関ヶ原」が優秀編集賞をいただけましたこと、大変光栄に思い、心から喜んでおります。今後も様々な作品を編集するとは思いますが、賞の名に恥じぬよう、成長を重ねてまいります。日本アカデミー賞協会会員のみなさま、この作品を応援してくださった方々、「関ヶ原」に関わる全ての人、そして、父であり監督に感謝致します。
【受賞歴】第32回「クライマーズ・ハイ」で初受賞。第39回「日本のいちばん長い日」以来、4度目の受賞。
優秀外国作品賞
EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.
最優秀賞ラ・ラ・ランド


【最優秀受賞コメント】
「ラ・ラ・ランド」の製作に関わったすべての方々を代表して感謝いたします。昨年、ライアン・ゴズリング氏と一緒に訪日して、日本のみなさんの温かさに触れ、とても楽しく過ごしました。この度の日本アカデミー賞を受賞できたことを感謝するとともに、この作品を今もなお見続けてくださるみなさんに感謝いたします。(優秀賞受賞に際して寄せられたデイミアン・チャゼル監督のメッセージより)
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「セッション」(15)で高い評価を得たデイミアン・チャゼルが監督・脚本を手掛けたロマンティック・ミュージカル。夢を求めて世界から人々が集まってくる街L.A.で出会った売れないジャズピアニストのセブと女優志望のミアの恋の行方を描く。ダンスや歌はもちろん、それをひきたてる色鮮やかな衣裳やセットも魅力的。監督のミュージカル愛に満ちた作品となった。ミアを演じたのはブロードウェイ・ミュージカルにも数多く出演しているエマ・ストーン。レベルの高い歌とダンスで観客を魅了した。セブを演じたライアン・ゴズリングは類まれなるセンスでジャズピアノを習得。全編吹き替えなしで演奏シーンに臨んだ。第73回ヴェネツィア国際映画祭でヴォルピ杯(女優賞)、第89回米アカデミー賞で6部門、第74回ゴールデン・グローブ賞では7部門を獲得。
原題:LA LA LAND 
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
配給:ギャガ/ポニーキャニオン
優秀賞ダンケルク


「ダークナイト」(08)のクリストファー・ノーラン監督が実話をもとに作りあげた戦争映画。第二次世界大戦時、フランス最北端の港町ダンケルクにて行われた史上最大の撤退劇“ダイナモ作戦”を描く。実際にダンケルクで撮影し、さらに防波堤を復元して1940年当時を再現するなど、CGを極力使用せず“本物”による説得力で臨場感を映し出した。また、全編IMAXと65ミリフィルムの組み合わせで撮影したことで圧倒的な没入感を与えている。音楽を担当したのはハンス・ジマー。監督の腕時計の音を録音して、音楽に組み込むことで緊迫感を作り上げた。第75回ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)、監督賞、作曲賞にノミネート。第90回米アカデミー賞で作品賞、監督賞、作曲賞を含む8部門にノミネートされている。
原題:Dunkirk
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
配給:ワーナー・ブラザース映画
優秀賞ドリーム


1960年代、ソ連と宇宙開発競争に明け暮れていたアメリカで、有人宇宙飛行を目指すマーキュリー計画を成功させるために、それぞれ優れた能力で国家的一大プロジェクトに貢献した3人の黒人女性の姿を描いた伝記的映画。NASA最古の研究施設ラングレー研究所に勤める天才数学者キャサリンにタラジ・P・ヘンソン、黒人女性初の管理職への昇進を願うドロシーにオクタヴィア・スペンサー、エンジニアに転身するため白人専用学校への入学を切望するメアリーにジャネール・モネイ。人種差別や女性蔑視など様々な困難を乗り越え、互いの友情、家族や恋人の愛に支えられ、仕事に打ち込み、夢を成し遂げた姿を実話を基に感動的に描いた作品。キャサリンの上司にはケヴィン・コスナーが扮した。第60回ブルーリボン賞で外国作品賞受賞した。
原題:HIDDEN FIGURES
監督:セオドア・メルフィ 脚本:アリソン・シュローダー、セオドア・メルフィ
配給:20世紀フォックス映画
優秀賞美女と野獣


アニメーションで初めて米アカデミー賞作品賞にノミネートされたディズニーアニメ「美女と野獣」(92)の実写版。日本では約124億円、世界でも12億6350万ドルで、2017年の国内興行収入1位に輝いた。監督は「ドリームガールズ」(07)のビル・コンドン。音楽のアラン・メンケンは実写版用に音楽を一部書き下ろした。ティーカップや家具に姿を変えられた家臣たちが歌い踊るアニメの名シーンは、実写でも忠実に再現されている。封建的な中でも、自分を見失なわない女性ベルと、国連で男女平等を訴えるスピーチを行ったエマ・ワトソンには意志を貫く女性としての多くの共通点があり、それこそがこのファンタジーの核となっている。日本語吹替は、ベル役は昆夏美、野獣役に山崎育三郎、ポット夫人役に岩崎宏美と、実力派ミュージカル俳優が担当し話題になり、多くのファンが吹替と字幕の両方を楽しんだ。
原題:BEAUTY AND THE BEAST
監督:ビル・コンドン 脚本:ステファン・チボスキー、エヴァン・スピリオトプロス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
優秀賞女神の見えざる手


政治家の心や世論をも動かすロビイストの驚愕の活動を、「恋におちたシェイクスピア」(99)で第71回米アカデミー賞作品賞に輝いたジョン・マッデン監督が予測不能なサスペンスに仕上げた。「ロビー活動は予見すること。敵が切り札を使った後、自分の札を出す」をモットーに掲げる戦略の天才エリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。新たな銃規制法案の成立を目指し活動する彼女は、仲間さえも欺く奇策で形勢を有利にしていく。しかし、銃擁護派団体の権力により、彼女自身のスキャンダルが暴かれることに。ロビイストの女神こと、スローンが最後に出す切り札=見えざる手とは……。仲間を“道具”と考えることも厭わない冷酷なロビイストを演じたチャステインの演技は圧巻。派手なアクションはないが、相手を出し抜くロビイストの行動は驚きに満ち、その緊迫感のある展開に引き込まれる。
原題:MISS SLOANE
監督:ジョン・マッデン 脚本:ジョナサン・ペレラ 
配給:キノフィルムズ
新人俳優賞
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞中条あやみ「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」


【受賞コメント】
このような素敵な賞をいただいて本当に嬉しく思います。この賞は「チア☆ダン」のみんなで取った賞だと思っているので、すごく嬉しいです。「チア☆ダン」は熱い気持ちと汗と涙で作り上げた作品なので、携われたことは一生の宝物です。本当に幸せな時間でした。ずっとこの気持ちを忘れないで頑張っていきたいです。
・・・・・
11年、女性ファッション誌『Seventeen』の“ミスセブンティーン”グランプリに輝き、同誌専属モデルとして活動開始。『黒の女教師』(12/TBS)で女優デビューを果たす。モデルとしての活動と平行し、「ライチ☆光クラブ」(16)「セトウツミ」(16)「覆面系ノイズ」(17)などの映画出演や、TV番組『another sky-アナザースカイ-』(16~/NTV)のMCとして活躍するほか、多数のCMにも出演中。本作では、知性、美貌、ダンスのすべてを備える優等生・彩乃を凛とした姿で好演。いかにして全米大会へ部員を連れていくか苦悩するチアダンス部の部長の気持ちの揺れを見事に表現。また、撮影にあたり基礎から学んだという見事なチアダンスも披露した。
優秀賞浜辺美波「君の膵臓をたべたい」


【受賞コメント】
何も分からず、とにかく周りの人についていっただけなので、賞をいただけることが信じられません。出演した作品を通じて、演じることの楽しさを学び、この仕事は私の生きがいだと改めて感じました。ずっと続けていって、またこの作品のスタッフや俳優のみなさんとご一緒できるように頑張っていきたいと心から思いました。
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11年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞に輝き芸能界入り。TVドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(15/CX)の本間芽衣子役やNHK連続テレビ小説『まれ』(15)の桶作麻美役で注目を浴びる。その後、映画「映画 妖怪ウォッチ空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」(16)「咲-Saki-」(17)「亜人」(17)へと出演。本作では、重い膵臓の病を患う女子高生・山内桜良を熱演。迫る死と向き合いながらも、弱みを見せず懸命に生きようとする姿を身体全体で表現し、観客の心を揺さぶった。本作の演技で、第42回報知映画賞新人賞、第30回日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞。
優秀賞北村匠海「君の膵臓をたべたい」


【受賞コメント】
小学校3年生の頃に芸能界というものに所属してお芝居をはじめて、親から「小さいかもしれないけれども、いずれその役は10年後、20年後につながる」と言われ続けて12年が経ち、やっと今、ここに立てていることが本当に夢のようです。今回演じた“僕”という役は、中学時代の自分に似ていたので自然体で演じられました。
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08年に「ダイブ!!」で映画初出演。13年にはダンスロックバンドDISH//のメンバー(Vo.&Gt)としてメジャーデビュー。近年ではTVドラマ『仰げば尊し』(16/TBS)『隣の家族は青く見える』(18/CX)、映画「ディストラクション・ベイビーズ」(16)「恋と嘘」(17)「勝手にふるえてろ」(17)に出演するなど、音楽、TVドラマ、映画とマルチな活動を続けている。本作では、クラスメイトの闘病と死に向き合う男子高校生“僕”を演じきった。他人との関わりを避け、感情を表に出さない僕のわずかな気持ちの変化を繊細に紡ぎ、終盤、堪えきれなくなった想いが表出するシーンで観客の涙を誘った。本作の演技で、第42回報知映画賞新人賞を受賞。
優秀賞竹内涼真「帝一の國」


【受賞コメント】
素晴らしい方々が僕を見ているので、舞台からの光景はものすごく気持ちいいです。「帝一の國」では、同世代の俳優が皆、素晴らしいので、自分の存在感を出したくて頑張ったので、こういう素敵な賞をいただけてうれしいです。いつか役所さんや広瀬さんみたいにかっこいいブロンズをここでいただきたいなという気持ちになりました。
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13年、女性ファッション誌『mina』初の男性専属モデルオーディションでグランプリを獲得。翌年『仮面ライダードライブ』(14-15/EX)で主演を務める。その後、映画「青空エール」(16)「ラストコップ THE MOVIE」(17)に出演。昨年は連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)『過保護のカホコ』(NTV)『陸王』(TBS)と立て続けにTVドラマに出演し、一躍お茶の間に知れ渡る。本作で演じたのは、公明正大、文武両道と、まるで少年漫画の主人公のような正義の男・大鷹弾。謀略うずまく生徒会長選挙。そこで唯一正義を信念に動く清廉潔白な大鷹を、嫌味なく、説得力をもって力演した。本作で第30回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。
会長功労賞
優秀賞香川京子【俳優】


【映画人生を振り返ってのコメント】
幼い頃から人見知りだった私が、女優の道を選び、しかも永い間続けることが出来たのは、本当に沢山の優れた方たちに出逢い、育てていただいたお陰です。今回、この様な大きな賞をいただき、大変光栄に存じますと同時に、お世話になった方々に心より感謝申し上げます。最近は若い頃に出演した作品が上映される折に、当時の現場のこと等をお話する機会が多くなりました。これが少しでもご恩返しになれば、と願っております。
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【解説】
黒澤明、小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男ら日本映画の黄金時代を支えた名監督たちの作品に次々と起用され、見事な演技を見せていずれも高く評価された香川氏は、49年東京新聞主催の「ニューフェイス・ノミネーション」に合格し、新東宝に入社。50年「窓から飛び出せ」でデビュー。大手映画会社の五社協定※ができる前の53年にフリーになったおかげで、各映画会社の巨匠たちの作品に出演するという幸運に恵まれる。今井正監督「ひめゆりの塔」(53)への出演が女優としての転機になったと自身は語り、その清潔で素直な持ち味が愛された。以後「東京物語」(53)「近松物語」(54)「猫と庄造と二人のをんな」(56)「 女殺し油地獄」(57)「杏っ子」(58)「早乙女家の娘たち」(62)「華麗なる一族」(74)「男はつらいよ 寅次郎春の夢」(79)「深い河」(95)など数々の名作に出演。近作「天使のいる図書館」(17)まで出演作は210本を超える。ことに黒澤作品では「どん底」(57)「悪い奴ほどよく眠る」(60)「天国と地獄」(63)「赤ひげ」(65)「まあだだよ」(93)などに出演し、三船敏郎との共演は女優としては最多の9作品を誇る。98年紫綬褒章、04年旭日小綬章を受章。11年には映画遺産の保存活動に貢献した人物を表彰するFIAF賞(国際フィルム・アーカイヴ連盟賞)を日本人として初めて受賞した。また、東京国立近代美術館フィルムセンターでは「映画女優・香川京子」と題して46作品が特集上映された。
(※)五社協定・・・映画会社5社(松竹・東宝・大映・新東宝・東映)が1953年に調印した専属監督・俳優らに関する協定
【日本アカデミー賞受賞歴】第17回「まあだだよ」で最優秀助演女優賞、第2回「翼は心につけて」で助演女優賞ノミネート。第14回「式部物語」で優秀助演女優賞を受賞。
優秀賞川又昻【撮影】


【映画人生を振り返ってのコメント】
恩師・小津安二郎監督から常に言われた言葉は「自分の絵を作れ」でした。その後「青春残酷物語」(大島渚監督)、「砂の器」(野村芳太郎監督)、「黒い雨」(今村昌平監督)等の撮影監督として仕事のできた映画人生に感謝します。
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【解説】
あくまで妥協を許さぬ撮影技術の名手として、日本映画の質的向上に多大な貢献をされた川又氏は、45年に日本映画学校を卒業後、松竹大船撮影所に入社し、小津安二郎作品のカメラマン厚田雄春に師事。59年「明日の太陽」で33才の若さで撮影監督となる。松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手として脚光を浴びた大島渚監督の「青春残酷物語」(60)「太陽の墓場」(60/三浦賞受賞)「日本の夜と霧」(60)などの撮影を手がけ、その大胆な手法が注目を浴びる。以後、野村芳太郎監督とのコンビで「ゼロの焦点」(61)「左ききの狙撃者・東京湾」(62)「拝啓天皇陛下様」(63)「五瓣の椿」(64)「暖流」(66)「白昼堂々」(68)「影の車」(70)「砂の器」(74)「昭和枯れすすき」(75)「八つ墓村」(77)「事件」(78)「鬼畜」(78)「疑惑」(82)「迷走地図」(83)などを担当。フリーになってからは、今村昌平監督「黒い雨」(89)の撮影も高く評価された。近年は撮影助手として携わった「東京物語」(53)「早春」(56)「彼岸花」(58)「秋刀魚の味」(62)など小津安二郎監督作品のデジタル修復作業にも心血を注ぐ。名作を新しい形で蘇らせ、カンヌやベルリン国際映画祭で上映し、世界に日本映画の存在をアピールする一方、その作業を通して後進の指導にもあたる。創作した監督、スタッフ、出演者の意図を可能な限り当時のままに再現しようとする姿勢は、映画製作現場のパイオニアとしての気概が貫かれている。
【日本アカデミー賞受賞歴】第2回「事件」「鬼畜」で最優秀技術賞、第13回「黒い雨」で最優秀撮影賞を受賞。第3回「配達されない三通の手紙」で優秀撮影賞ノミネート。第4回「震える舌」「わるいやつら」、第6回「疑惑」「道頓堀川」で優秀撮影賞受賞。
優秀賞篠田正浩【監督】


【映画人生を振り返ってのコメント】
1960年代の映画界はテレビの登場で斜陽産業とされていたが、映画が二十世紀を体現する芸術だとする人々は健在でした。今は亡き寺山修司、武満徹、大島渚らから私が学んだことは計り知れません。この度の受賞の光栄も彼らと分かち合いたい。
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【解説】
53年松竹入社。「恋の片道切符」(60)で監督デビュー当時は、松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手のひとりであったが、以後「涙を、獅子のたて髪に」(62)「乾いた花」(64)「暗殺」(64)「美しさと哀しみと」(65)と技巧と美意識、日本的様式美と前衛芸術的実験性とを結びつけた独特の作風で、日本映画界を代表する監督としての地位を確立する。66年にフリーとなり、67年に独立プロダクション表現社を設立。「心中天網島」(69)や「無頼漢」(70)などの先鋭的な作品を放ち、70年代後半以降は「はなれ瞽女おりん」(77)「夜叉ヶ池」(79)「瀬戸内少年野球団」(84)「舞姫」(89)「少年時代」(90)「梟の城」(99)など、大手映画配給会社からの大作も精力的に手がける。86年「鑓の権三」が第36回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。「沈黙 SILENCE」(71)「卑弥呼」(74)「写楽」(95)では、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど、国際的にも高く評価される。大作「スパイ・ゾルゲ」(03)を最後に映画監督からの引退を発表するが、早稲田大学や城西国際大学で教鞭を執り、後進の育成に務め、『闇の中の安息』(79)や『私が生きたふたつの「日本」』(03)『路上の義経』(13)などの著書を発表し、中でも『河原者ノススメ 死穢を修羅の記憶』(09)は第38回泉鏡花文学賞を受賞するなど、その旺盛な活動は多岐にわたっている。
【日本アカデミー賞受賞歴】第14回「少年時代」で最優秀監督賞と最優秀作品賞を受賞。第1回「はなれ瞽女おりん」で優秀監督賞、優秀脚本賞ノミネート。第8回「瀬戸内少年野球団」、第19回「写楽」、第23回「梟の城」、第27回「スパイ・ゾルゲ」で優秀監督賞受賞。「写楽」では最優秀編集賞、「スパイ・ゾルゲ」で優秀脚本賞を受賞。
優秀賞紅谷愃一【録音】


【映画人生を振り返ってのコメント】
1949年、大映京都撮影所録音課に入社。助手時代「羅生門」につく。54年、日活撮影所に移籍、65年技師昇進、神々の深き欲望」(今村昌平監督)、「復活の日」(深作欣二監督)、「南極物語」(蔵原惟繕監督)、「夢」(黒澤明監督)、「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)等を担当、素晴らしい監督、スタッフ等にめぐり会えた映画人生に深く感謝しています。今回の会長功労賞の受賞大変光栄です。ありがとうございました。
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【解説】
「音作りは想像力とリアリティーの追求」と紅谷氏はその著書『日本映画のサウンドデザイン』の中で語っている。「苦労して録った音、または作った音に執着したり、未練を残さないで、時にはその音を捨てる勇気も大切だ。その結果、思わぬ効果を生むこともある。ミキサーは技術者であるとともにクリエーターでなくてはならない」とも。その成果は録音技師としてのデビュー作「三匹の野良犬」(65)から「育子からの手紙」(10)まで70本を超える担当作品の中に思う存分結実している。49年大映京都撮影所に入社。54年日活に移籍。「愛の渇き」(67)「人間蒸発」(67)「神々の深き欲望」(68)「黒部の太陽」(68)「私が棄てた女」(69)「栄光への5000キロ」(69)などの秀作に貢献し、「太陽を盗んだ男」(79)を経て、80年からフリーに。「復活の日」(80)「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」(81)「楢山節考」(83)「南極物語」(83)「夜叉」(85)「黒い雨」(89)「夢」(90)「八月の狂詩曲」(91)「うなぎ」(97)「鉄道員(ぽっぽや)」(99)「阿弥陀堂だより」(02)など雑踏の音、演奏音、足音や人の声などを見事に調整しつつ、細心かつ大胆に映像に重ねていく手腕は、今村昌平、黒澤明、熊井啓、降旗康男、小泉堯史ら名だたる巨匠たちの作品を支えた。08年より日本映画・テレビ録音協会の理事長を6年間務め、録音界の技術継承とデジタル時代への新たな取り組みに道筋を開き、後進の育成に尽力。10年に旭日小綬章を受章。
【日本アカデミー賞受賞歴】優秀録音賞を17回受賞。うち第4回「復活の日」、第6回「海峡」「セーラー服と機関銃」、第7回「楢山節考」「居酒屋兆治」、第15回「八月の狂詩曲(ラプソディー)」、第23回「鉄道員(ぽっぽや)」の5回で最優秀録音賞を受賞。
優秀賞舛田利雄【監督】


【映画人生を振り返ってのコメント】
僕のような
潰しの効かない人間が
映画に出会えて、没頭し、報われた。
幸せな人生だ。
感謝。
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【解説】
豪快な作風で日活アクション映画全盛期には「日活の舛田天皇」とも呼ばれたヒットメーカーは、50年新東宝に入社。井上梅次監督について助監督時代を過ごし、54年の日活移籍後も、井上、市川崑、久松静児監督に師事。29才の若さで「心と肉体の旅」(58)で監督デビューする。以後「錆びたナイフ」(58)「赤い波止場」(58)「今日に生きる」(59)「赤いハンカチ」(64)など石原裕次郎主演作品を最も多く(計25作品)演出し、日活アクション映画を牽引する。裕次郎作品以外でも「やくざの詩」(60)「狼の王子」(63)「紅の流れ星」(67)「わが命の唄 艶歌」(68)など数々の秀作を手がけ、映画ファンからの支持を集める。68年に日活退社後はフリーとなり、以後「人間革命」(73)では宗教団体製作映画の限界を越える第一級の娯楽大作を成立させ、戦争大作「トラ・トラ・トラ!」(70)「二百三高地」(80)や「大日本帝国」(82)、アイドル映画「ハイティーン・ブギ」(82)、恋愛映画「片翼だけの天使」(86)など様々なジャンルの作品を手がけた。社会派活劇「社葬」(89)では第44回毎日映画コンクール、第32回ブルーリボン賞、第14回報知映画賞で監督賞を受賞。全82作品のうち、16作品が邦画年間興行ランキングのベストテン入りを果たした。プログラムピクチャーの制約の内にあっても、自身のロマンを表現する演出力と腕力で職人中の職人と呼ばれている。91年牧野省三賞、93年紫綬褒章、99年旭日小綬章を受章。
【日本アカデミー賞受賞歴】第4回「二百三高地」、第13回「社葬」で優秀監督賞を受賞。
優秀賞山本富士子【俳優】


【映画人生を振り返ってのコメント】
映画を離れて半世紀。この度は思いがけず会長功労賞をいただくことになり大変嬉しく光栄に存じております。十年間の映画生活は言葉では言い表せないほどの凝縮した年月であり、映画は私の芸能生活の原点でもあり女優として人間としてたくさんのことを学ばせていただきました。又、素晴らしい監督、俳優、スタッフの皆様方との出会いがあり、多くの皆様のご支援をいただいて現在がございます。有難うございました。
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【解説】
決して大袈裟でも何でもなく彼女は“日本の美人女優”の代名詞として広く知られてきたが、銀幕の中に刻みこまれたその美貌は、今でもファンを魅了してやまない。幼少時から茶目っ気があり、モダンでお洒落な女学生として青春時代をすごした彼女は、50年第一回ミス日本に選ばれる。その3年後、映画各社争奪戦の末に大映に入社。「近世名勝負物語 花の講道館」(53)で長谷川一夫の相手役としてデビュー。「関の弥太っぺ」(53)や「人肌孔雀」(58)の時代劇や「婦系図 湯島の白梅」(55)「日本橋」(56)などの明治もので着物姿が似合う日本美人の典型としての美しさを見せ、吉村公三郎監督「夜の河」(56)で恋に燃えながら自立した強さを持つヒロインを情感豊かに演じ、その魅力を全面的に開花させた。「白鷺」(58)「美貌に罪あり」(59)「女経」(60)「千姫御殿」(60)「白子屋駒子」(60)「みだれ髪」(61)「私は二歳」(62)「雪之丞変化」(63)など代表作は枚挙にいとまがないが、市川崑や小津安二郎、豊田四郎など錚々たる監督から、映画会社の垣根を越えて出演依頼が相次ぎ、「彼岸花」(58)「暗夜行路」(59)「濹東綺譚」(60)「黒い十人の女」(61)など数々の名作に出演。63年「憂愁平野」への出演を契機にフリーを宣言し、大映を退社。その後、活躍の場をテレビ、舞台へと移したが10年間の映画出演作は100本を超える。01年に紫綬褒章を受章。
会長特別賞
優秀賞松方弘樹【俳優】1月21日 没 享年74


父は時代劇スターの近衛十四郎、母は女優水川八重子。17才で「十七才の逆襲 暴力をぶっ潰せ」(60)で主演デビューしながら、スターへの道は平坦ではなかった。「赤穂浪士」(61)や「瞼の母」(62)など時代劇への助演を経て、「股旅 三人やくざ」(65)や「893愚連隊」(66)など東映作品での好演が注目されながら、69年には亡き市川雷蔵の穴埋めを期待されて大映に移籍。「眠狂四郎卍斬り」(69)「秘剣破り」(69)などの意欲作に主演するも大映は倒産。71年春には東映に復帰し「仁義なき戦い」シリーズ(73~74)「脱獄広島殺人囚」(74)「沖縄やくざ戦争」(76)「北陸代理戦争」(77)など実録やくざ映画の傑作に数多く主演し、水を得た魚のように快進撃を続ける。父親譲りの本格的殺陣の才能は「柳生一族の陰謀」(78)や「真田幸村の謀略」(79)「将軍家光の乱心 激突」(89)「江戸城大乱」(91)などの時代劇で開花した。テレビドラマでは大河ドラマ『勝海舟』(74/NHK)や『大江戸捜査網』(79~84/現テレビ東京)で主役を務め、その芸域を広げる。「藏」(95)以降はプロデューサー業にも進出し、「やくざの詩 OKITE 掟」(03)では初監督にも挑戦する。バラエティ番組にも積極的に出演し、お茶の間の人気を集めると同時に「十三人の刺客」(10)や「太秦ライムライト」(14)、ドキュメンタリー映画「時代劇は死なず ちゃんばら美学考」(16)など近年も精力的に映画出演を続けていた。
【日本アカデミー賞受賞歴】第15回「江戸城大乱」「首領〈ドン〉になった男」、第19回「藏」で優秀主演男優賞を受賞。製作総指揮を務めた「藏」は同回企画賞を受賞。
優秀賞渡瀬恒彦【俳優】3月14日 没 享年72


映画俳優としてのプロ意識の高さ、そして何よりも侠気の強さは、監督をはじめとするスタッフや多くの共演者、ファンにも最後まで愛されていた。69年東映に入社。「殺し屋人別帳」(70)で主演デビュー。「現代やくざ 血桜三兄弟」(71)「仁義なき戦い」(73)「鉄砲玉の美学」(73)「実録・私設銀座警察」(73)「新仁義なき戦い」シリーズ(74,75)「暴走パニック 大激突」(76)「狂った野獣」(76)などで体当たりのアクションを見せ、東映娯楽アクション映画でスターの地位を確立する。その後「事件」(78)「赤穂城断絶」(78)で日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、キネマ旬報助演男優賞、「神様のくれた赤ん坊」(79 )「震える舌」(80)でキネマ旬報主演男優賞を受賞。多彩な役柄を味わい深く演じ、独特の存在感を放つ。「南極物語」(83)出演時に共演した犬のタロとジロを自宅に引き取ったほどの無類の犬好きとしても知られている。「セーラー服と機関銃」(81)「時代屋の女房」(83)や「首都消失」(87)「敦煌」(88)「226」(89)「天と地と」(90)「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(94)などの映画出演の他にテレビドラマにも出演。『十津川警部』シリーズ(92~15/TBS)や『おみやさん』シリーズ(02~16/EX)『警視庁捜査一課9係』シリーズ(06~16/EX)など息の長いヒット作で人気を集めた。遺作となったドラマ『そして誰もいなくなった』(17/EX)の犯人役では、ラストの告白のセリフに自らの病を重ね合わせて演じ、その役者魂が大きな反響を呼んだ。
【日本アカデミー賞受賞歴】第2回「事件」で最優秀助演男優賞、同回「皇帝のいない八月」で主演男優賞ノミネート、第4回「震える舌」、第7回「泪橋」「時代屋の女房」で優秀主演男優賞、第14回「 激動の1750日」「天と地と」で優秀助演男優賞を受賞。
優秀賞大谷巌【録音】8月3日 没 享年98


日本映画黎明期からの映画人のひとりであり、録音という技術パートの基礎作りをした映画界の恩人である。その軌跡はそのまま日本映画史といえ、華麗に彩ったといって過言ではないだろう。35年に日活京都撮影所に入社。41年、第二次世界大戦の開戦による戦時統制で、日活の製作部門である大都映画、新興キネマが合併して設立された大日本映画製作(のちの大映)に所属し、落合吉人監督「風雪の春」(43)で技師に昇進した。その後、戦後の大映京都撮影所の中心的な録音技師として活躍し、50年、黒澤明監督「羅生門」を手がける。51年に松竹京都撮影所から移籍をした溝口健二監督「お遊さま」の録音を担当し、「雨月物語」(53)「山椒大夫」(54)「近松物語」(54)「新・平家物語」(55)など数多くの溝口作品を担当した。溝口監督の没後も、渡辺邦男監督「日蓮と蒙古大襲来」(58)といった大作や三隅研次監督「四谷怪談」(59)「座頭市物語」(62)「とむらい師たち」(68)、森一生監督「不知火検校」(60)、田中徳三監督「悪名」(61)「続 悪名」(61)などのヒット作を手がける。大映が倒産する71年まで在籍し、その後は勝プロダクションの「座頭市御用旅」(72)や「新兵隊やくざ 火線」(72)、映像京都の「226」(89)「陽炎」(91)などで録音技師を続けた。市川崑監督「どら平太」(00)まで、生涯に担当した作品は130本に及び、晩年も京都の映画館に通っていたことをスタッフに証言されるほど、映画を愛した人生だった。
優秀賞早坂暁【脚本家】12月16日 没 享年88


旧制松山中学を経て海軍兵学校在学中に終戦を迎え、山口から帰郷の途中、原爆投下直後の広島で惨状を目撃した。これが作家としての原体験となる。吉永小百合主演のドラマ『夢千代日記』(81~84/NHK、映画公開は85)は、広島で胎内被爆した芸者、夢千代が主役だが、当時の記憶が反戦への強い思いとして貫かれ、骨太な人間ドラマとして高く評価された。雑誌編集長を経て脚本家に転身。『七人の刑事』(63~78/TBS)で注目され『天下御免』(71~72/NHK)『天下堂々』(73~74/NHK)『花へんろ』(85~88/NHK)などのテレビドラマがヒットし、「日本一の裏切り男」(68)で映画脚本家としてデビュー。以後「青春の門」(75)「青春の門 自立編」(77)「空海」(84)「天国の駅 HEAVEN STATION」(84)などを手がけた。他に映画では「超能力者 未知への旅人」(94)「きけ、わだつみの声 Last Friends」(95)「北京原人 Who are you ?」(97)「千年の恋 ひかる源氏物語」(01)など幅広い題材をこなし、ドラマ『必殺』シリーズ(72~78/ABC)では脚本をはじめ、オープニングナレーションも担当した。著書も多く、映画化された自伝的小説『ダウンタウンヒーローズ』(映画公開は88)では直木賞候補に挙げられ、『華日記 昭和いけ花戦国史』(90)では新田次郎文学賞、『公園通りの猫たち』(映画公開は89)では講談社エッセイ賞を受賞する。06年からは長編小説『戦艦大和日記』を含む『早坂暁コレクション』を刊行中だった。94年紫綬褒章、00年旭日小綬章を受賞。
【日本アカデミー賞受賞歴】第8回「空海」「天国の駅 HEAVEN STATION」 、第19回「きけ、わだつみの声 Last Friends」、第25回「千年の恋 ひかる源氏物語」で優秀脚本賞を3度受賞。

瀬川昌治【監督/脚本】
2016年6月20日没 享年90
神山繁【俳優】
1月3日没 享年87
中村州志【美術】
1月21日没 享年89
土屋嘉男【俳優】
2月8日没 享年89
松本俊夫【監督】
4月12日没 享年85
月丘夢路【俳優】
5月3日没 享年94
長谷川元吉【撮影】
6月25日没 享年77
横尾嘉良【美術監督】
7月18日没 享年87
増尾昭一【特技監督・アニメーター】
7月24日没 享年57
西村昭五郎【監督/演出家】
8月1日没 享年87
中島春雄【スーツアクター】
8月7日没 享年88
橋本 力【俳優】
10月11日没 享年83
鈴木清順【監督】
2月13日没 享年93
第40回 会長功労賞受賞

(※前年没日順)

協会特別賞
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞江川悦子【特殊メイク・特殊造形】


【受賞コメント】
35、6年続けてきたんですが、こんなに長く続けられるとは思っていませんでした。、こうなったら、妖怪ババアって言われるくらい長く続けるのもありかななんて、ちょっと思ったりしてます……。ここは笑っていただいたほうがありがたかったんですけど(笑)
・・・・・
事実を通して人間の真実に近づく試みがドキュメンタリーならば、虚構を通して、より人間の真実に肉迫するのが劇映画といえるだろう。CGの急速な発達で表現の可能性は飛躍的に拡大したが、ともすれば、それは劇映画自体がフルCGのアニメーション化することになりかねない。リアリティを保ちながら、現実にはあり得ない空想上の造形を創り出す特殊メイクの役割は、映画製作の過程で今後ますます重要なものになるにちがいない。その特殊メイクの第一人者江川氏は、アメリカ映画「狼男アメリカン」(82)で「人間が狼に変身していく」メイクに魅せられ、ロサンゼルス在住中に、Joe Blasco Make-up Centerに入学し特殊メイクを学ぶ。アメリカ映画「ゴーストバスターズ」(84)「 デューン/砂の惑星」(85)のプロジェクトに参加。帰国後、86年に特殊メイクと造形の工房(株)メイクアップディメンションズを設立。以来、日本映画における特殊メイクのパイオニアとして、「帝都物語」(88)「ZIPANG」(90)「 血と骨」(04)「 ゲゲゲの鬼太郎」(07)「 おくりびと」(08)「 清須会議」(13)「 小さいおうち」(14)「 忍びの国」(17)「 ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」(17)など、数々の作品に参加し、多くの監督、現場スタッフから厚い信頼を寄せられている。高品質時代に対応した創意工夫と、さらなる技術革新、人材の育成にも取り組む姿勢も高く評価されている。17年には文化庁映画賞・映画功労部門を受賞。
優秀賞大澤克俊【美術・鉄道具】


【受賞コメント】
非常に感動して嬉しい限りでございます。鉄道具という聞きなれないジャンルだとは思いますが、鉄で零戦だとか、美術セット・装飾では刀や小物を鉄で作るので鉄道具と名乗っております。大道具、小道具に並ぶよう頑張っていきたいと思います。美術パートが映画製作に占める割合は、部外者が想像する以上に大きい。中でも大澤氏が代表を務める(有)大澤製作所では、大がかりなセットや背景、美術品、大道具など、観客が目にするあらゆるものを製作している。「困った時には大澤に頼む」が撮影現場では合言葉になっているほど。父親の代から続く美術製作会社では長年にわたり、東映や東宝、日活の各撮影所で鉄材造形加工、オープンセット鉄骨施工で映画美術に貢献してきたが、07年に先代が亡くなり、長年修業をしてきた息子の克俊氏が社長に就任。先代の事業を引き継ぐと共に、鉄材、鋼材以外の特殊素材造形の製作業務を事業開拓。当時はまだ珍しかった「3Dプリンター」「レーザー加工機」を各社に先駆けて導入する。零戦や隼に代表される旧日本軍戦闘飛行機や戦車、近未来のヘリコプターや特殊車両、時代劇の大砲や銃器などの設計製作など多岐にわたって進め「仮面ライダー」シリーズ(71~) 「海猿」シリーズ(04~12)「252 生存者あり」(08)「永遠の0」(13)「 るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」(14)「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前/後篇」(15)「トリガール!」(17)「DESTINY 鎌倉ものがたり」(17)など多くの作品を手がける。若手美術デザイナーやスタッフを積極的に受け入れ、常に技術の革新と継承に意欲的に取り組み、自らの仕事を“鉄道具”と呼ぶ。進化する映画には欠かすことのできない重要な力だ。
優秀賞小沼みどり【ヘアメイク】


この度は思いもかけずご褒美をいただきましてありがとうございました。今まで私のアシスタントをしてくれた人、ご指導いただいた方々に心からお礼を申し上げます。皆さまの助けがあってのことと思っております。これを励みに今少し頑張ります。(授賞式欠席の為、後日コメントを頂きました)
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ひとりの人間が物語の中でどう描かれるのか。その人間の性格も環境も生い立ちも。最も理解しやすい形で表されるのが髪型であるとすれば、個性の表現という点でヘアメイクは映画の中で魅力的な要素のひとつであるといえる。原田眞人監督「さらば映画の友よ インディアンサマー」(79)でメイキャップとして撮影現場に参加して以来、小沼氏は「遠雷」(81)「水のないプール」(82)「お葬式」(84)「マルサの女」(87)「ストロベリーロード」(91)「傷だらけの天使」(97)「顔」(00)「青い春」(02)「解夏」(04)「それでもボクはやってない」(07)「クライマーズ・ハイ」(08)「春との旅」(10)「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(10)「パーマネント野ばら」(10)「ゲゲゲの女房」(10)など120本を超える作品でヘアメイクを担当する。スタッフとの一体感を大切にしつつ、キャストの心身のコンディションを撮影に向けて高めていく。その仕事ぶりに加えて、製作現場での誠実かつ情熱を込めたぶれない姿勢は、伊丹十三、若松孝二、東陽一、阪本順治をはじめ多くの監督、スタッフ、キャストから高い信頼を得てきた。ベテランのみならず新進監督たちの撮影現場にも積極的に参加する探究心も旺盛で、多くの秀作、話題作に貢献している。近作に「デンデラ」(11)「千年の愉楽」(13)「団地」(16)「だれかの木琴」(16)「あゝ、荒野 前/後篇」(17)などがある。
優秀賞古藤博【衣裳】


【受賞コメント】
半世紀にわたってこの仕事を頑張ってきました。その集大成として本日はこのような素敵な賞をいただきありがとうございました。
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和服であれ、洋服であれ、その衣裳がいかに美しくても映画の中でそれだけが浮き上がってしまっては逆効果になってしまう。東京衣裳(株)に68年に入社。藤圭子主演の「涙の流し唄 命預けます」(70)以来、約半世紀の間、撮影現場の第一線で活躍してきた古藤氏の仕事に限っては、そうしたことはありえないと言える。何しろ台本を読むだけで衣裳のイメージが湧き、年代を言うだけで衣裳が出てくる。特に戦争映画の軍服や階級章など、クレームがつきやすい衣裳に抜群の知識を持つ。また闇市のシーンでは多くのエキストラひとりひとりの衣裳に個性を出し、画面全体で当時の空気を再現した。日本を舞台にしたハリウッド映画などの海外作品では、自ら海外ロケ地に赴き、日本の衣裳を誤った形で捉えられないよう、当時の衣裳を忠実に再現し、外国人スタッフに提案してきた。また、東映作品の経験から、ヤクザ映画におけるスーツの形、色、生地などに登場人物の個性を出し、観客に人物設定を分かりやすく伝えてきた。「CURE キュア」(97)「リング」シリーズ(98~00)「鉄道員(ぽっぽや)」(99)「Chaosカオス」(00)「明日への遺言」(08)「私は貝になりたい」(08)「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ」(09)「アウトレイジ」シリーズ(10~17)「許されざる者」(13)などで卓越した能力を遺憾なく発揮し、黒澤和子やワダエミなど衣裳デザイナーからの信頼も厚い。
優秀賞吉川威史【キャスティングディレクター】


【受賞コメント】
ひとつ心配なことがありまして、こんな素晴らしい賞をいただくと「吉川、仕事が減るよ」って言われております。それはとても困ります。監督、プロデューサーのみなさま、吉川は何も変わりませんので、ぜひ気軽に電話をしてください。よろしくお願いします。
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主役から脇役まで、一本の映画の中で、他でもない誰がその役柄を演じるのか、それが映画の成否を大きく左右することを思えば、キャスティングこそが映画の生命線ともいえる。俳優のスケジュールを映画の撮影日程に合わせて調整し、滞りなく製作を進行させる“演技事務”という職種が存在するが、“キャスティングディレクター”は、より映画の深部に踏みこみ、クリエイティブな作業に大きく関わる仕事である。熊井啓監督「お吟さま」(78)の助監督として現場に参加し、北野武監督のデビュー作「その男、凶暴につき」(89)で初めて“キャスティング担当”というタイトルロールを使用した吉川氏は、主役から脇役に至るまで、台本のイメージや製作予算に合う俳優を監督、プロデューサーに提案し、作品世界を成立させてきた。97年には日本初のキャスティング専門会社として吉川事務所を設立し、映画、テレビドラマ、CM、ミュージッククリップなど幅広いジャンルを手がける。「いつかギラギラする日」(92)「カンゾー先生」(98)「壬生義士伝」(03)「DEATH NOTE デスノート the Last name」(06)「それでもボクはやってない」(07)「おくりびと」(08)「ハッピーフライト」(08)「アウトレイジ」シリーズ(10~17)「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」(10)「愚行録」(17)など数多くの作品で、キャスティングディレクターという職種を確立し、後進の人材育成にもあたっている。
話題賞
(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C)住野よる/双葉社

作品部門:「君の膵臓をたべたい」


監督:月川 翔 脚本:吉田智子
製作:東宝/博報堂DYミュージック&ピクチャーズ/双葉社/ジェイアール東日本企画/博報堂/KDDI/日本出版販売/トライストーン・エンタテイメント/S・D・P/東急エージェンシー/GYAO/トーハン
(C)2017 フジテレビジョン 集英社 東宝 (C)古屋兎丸/集英社

俳優部門:菅田将暉


監督:永井 聡 脚本:いずみ吉紘
製作:フジテレビジョン/集英社/東宝