第45回 日本アカデミー賞授賞式
ドライブ・マイ・カー

　コロナ禍で迎えた3回目の日本アカデミー賞授賞式。今回も万全の感染症対策を講じたうえで、できる限り従来の形式に回帰。観客の皆様と共にグランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで、3月11日に開催された。

司会者
　今年の司会は、3回目の羽鳥慎一さんと、昨年の最優秀主演女優賞を受賞した長澤まさみさん。羽鳥さんが「コロナとの戦いが続くなか、いまこそエンターテインメントの力を信じ、人々に感動と元気を届けることを願い、開催を決定しました。この授賞式を通じて、今の映画界が持つ、熱量と勢いをお届けできれば」という協会からのメッセージを読み上げ、開幕となった。長澤さんは初めての司会に戸惑いながらも持ち前の愛嬌で明るく進行。壇上インタビューでは共演経験があるからこその受賞者それぞれの印象と受賞者から気の置けない言葉を引き出した。そんな受賞者たちの知られざる個々の関係性なども垣間見られるのもこの授賞式ならではの醍醐味。また、俳優部門の受賞対象作の紹介映像では、昨年の最優秀主演男優賞受賞者である草彅剛さんがナレーションを務めた。


新人俳優賞
新人俳優賞では、今田美桜さん、西野七瀬さん、三浦透子さん、吉川 愛さん、磯村勇斗さん、尾上右近さん、宮沢氷魚さん、Fukaseさんが受賞された。プレゼンターの草彅剛さんが「今日は3.11ということで、日本中の皆さんそれぞれに思うことがあると思います。皆さんの出演された作品を通して一人でも多くの方の心に元気が湧くことを願っております。そして、皆さんも今の自分を大切にして、これからもっと活躍されること、一緒にお芝居できる日がくることを期待しております」と、後輩たちにエールを贈った。



話題賞
ニッポン放送リスナーの投票で決まる話題賞には、優秀主演男優賞も受賞した「花束みたいな恋をした」の菅田将暉さんが俳優部門に、最優秀アニメーション作品賞も受賞した「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が作品部門にそれぞれ選出された。昨年の俳優部門を「罪の声」で受賞した小栗旬さんがプレゼンターとして登壇したが、その姿には会場中が騒然。小栗さんが当時放送中のテレビドラマで菅田さんが演じていた主人公のコスプレ姿で現れたため、菅田さんは驚きを見せつつ登壇。菅田さんは、作品関係者や観客の皆さんに感謝の言葉を述べたうえで、「この世界に入る前からずっと話題の中心だった小栗旬という人が、いまだにこんな最前線でエンターテインメントと闘っていることに感動しています」と、親交の深い先輩に敬意を表した。会場中が驚きと笑いに包まれる、まさに話題賞にふさわしい一幕だった。


会長功労賞
　特別賞部門では、協会特別賞のプレゼンターとして登壇した黒木華さんが「作品は一人ではできず、皆様のような方々が集まることにより、さらにいいものが私たちやお客様に届くので本当に感謝しています」と述べたように日本映画界に多大な貢献を果たしてきた映画人が受賞された。 　協会特別賞は大林恭子さん（プロデューサー）、笹竹利行さん（映画美術文字デザイン）、月岡貞夫さん（アニメーター）に、岡田茂賞は京都アニメーション、東映アニメーションに贈られた。また、会長功労賞では、草笛光子さん、戸田奈津子さん、野上照代さん、野沢雅子さんをはじめ錚々たる特別賞の方々が登壇されると、一同がスタンディングオベーションで迎え、会場は深い敬意と祝福の歓喜に包まれた。

　今年の台風の目となったのは「ドライブ・マイ・カー」。作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、照明賞、録音賞、編集賞の8部門で最優秀賞を獲得。3度にわたって最優秀賞受賞スピーチをすることになった濱口竜介監督は、「こんなことが自分の人生で起きるとは思っていなかったので、本当に驚いています」と感激の様子を見せた。また初の最優秀賞を獲得した西島秀俊さんは2度にわたるスピーチで日本映画への想いと世界平和を願った。最優秀アニメーション作品賞は、昨年の興行収入第1位を記録した人気シリーズの完結編「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、最優秀外国作品賞は、シリーズの節目を迎えた「007／ノー・タイム・トゥ・ダイ」がそれぞれ獲得した。 　俳優部門は、「花束みたいな恋をした」で有村架純さんが最優秀主演女優賞に輝いた。また、共に初受賞者の「孤狼の血 LEVEL2」の鈴木亮平さんと「護られなかった者たちへ」の清原果耶さんが、それぞれ男女各助演賞の最優秀賞を獲得。技術部門の最優秀美術賞は「燃えよ剣」の原田哲男さん、最優秀音楽賞は「竜とそばかすの姫」の岩崎太整さん、Ludvig Forssell（ルドウィグ・フォシェル）さん、坂東祐大さんがそれぞれ受賞した。

　 今年はコロナ禍だけでなく、開催日が東日本大震災から11年目の3月11日。ロシアによるウクライナ侵攻という不穏な世界情勢も重なった。そのため各受賞者のスピーチでは、哀悼の意を表する言葉、復興と平和への願いが込められた言葉も多く、改めてエンターテインメントが果たす役割をそれぞれが見つめ直す場となる祭典となった。

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☆ぴあ特別会員による、授賞式に出席した感想

佐々木悠衣さん

授賞式当日、私は職場の方々に背中を押してもらって会場に向かいました。ロビーに着くと受賞者と映画の関係者の方々が、久しぶりの再会を喜び合い、楽しんでいるように感じました。私は生で見る授賞式の会場がとても眩しく緊張しましたが、開式前に会場内を歩いたり、レッドカーペットを見たりして、今この瞬間の幸せを噛み締めていたと思います。
　授賞式は想像よりも長く、濃いお話をたくさん聞くことができて、本当に貴重で充実した時間を過ごさせていただきました。また、憧れの俳優さんがレッドカーペットを歩いている姿を生で見られたことは、一生忘れられない思い出となりました。
人生を変える一本、誰かの心の支えとなるような一本が、今年また誕生することを私は心から願います。そして、協会特別賞を受賞された大林恭子さんのお言葉をお借りして、映画の力で未来の平和を作れることを信じたいと思います。今年たくさん映画を観て、また来年の授賞式を今からとても楽しみにしています。一年間ありがとうございました。


  

齋藤 睦さん

ぴあ特別会員としての集大成、日本アカデミー賞の授賞式に参加させていただきました。
授賞式会場はとても豪華で、いつも画面の向こう側にいる役者さんや監督など映画関係者の方々がほんの数メートル先で同じ空気を吸っているのが信じられなくて、全員実在したのか！と確認出来た経験でした(笑)
経験として貴重でありながら、集大成としてこの１年間を振り返る機会にもなりました。
受賞したほとんどの作品が、この１年間の思い出の作品でもあるので、自分の一年を映画というマイルストーンで振り返れる、一生に一度の感覚でした。
また優秀賞、最優秀賞の投票も、あの時に感じた作品や役者さんの魅力を信じて選んだ結果が反映されているような感覚もあり、日本アカデミー賞に関われたことに感無量でした。
もちろん自分が投票した作品全部が選ばれたわけではなく、受賞した作品もそうでなかった作品も、今年の映画をもう一度観直そうと思いました。同時に、このぴあ特別会員という一生に一度の経験をもう一度したいという名残惜しさも感じます。
今後選ばれるぴあ特別会員の方も是非満喫してください！