第45回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2022(令和4)年3月11日(金)
場所: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
司会: 羽鳥慎一/長澤まさみ

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優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

最優秀作品賞 「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
本作に関わったすべての皆さん、支えてくださった皆さまのおかげで獲ることができた賞だと思います。[濱口竜介/監督] 
こうして作品を評価していただき、世界中の方に見ていただけているのも、世界の大きな波みたいなものなのかなと思っています。平和が訪れるように、人々がまた心の絆を取り戻せるように、心から祈っております。そのために耳を傾けるということを伝えている作品なのかなと思っています。[西島秀俊]
【作品紹介】
「寝ても覚めても」(18)の濱口竜介監督が、村上春樹の同名短編小説を原作に自ら脚本も共同執筆。愛妻を亡くした舞台演出家が、喪失感と向き合い、再生へのきっかけを掴むまでを、『ワーニャ伯父さん』や『ゴドーを待ちながら』などの戯曲もシンクロさせつつ描き、見る者の心を揺さぶった。第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を含む4つの賞を獲得したのを皮切りに、第87回ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、第42回ボストン映画批評家協会賞および第56回全米映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、主演男優賞(西島秀俊)、脚本賞、第47回ロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞、脚本賞、第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞を受賞。第94回米アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞ほか、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞とあわせて4部門でノミネートされ、国際長編映画賞を受賞。国内でも第34回日刊スポーツ映画大賞作品賞、主演男優賞(西島秀俊)、第76回毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、第95回キネマ旬報ベスト・テン日本映画作品賞、日本映画監督賞、日本映画脚本賞などを獲得。今回の日本アカデミー賞では8部門の優秀賞と新人俳優賞を受賞。

監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介/大江崇允
製作会社:カルチュア・エンタテインメント/ビターズ・エンド/ねこじゃらし/クオラス/日本出版販売/文藝春秋/レスパスビジョン/C&Iエンタテインメント/朝日新聞社

優秀作品賞 「キネマの神様」


【作品紹介】
山田洋次監督が原田マハの同名小説を原作に映画化した、松竹映画100周年記念作品。映画を愛してやまない主人公・円山郷直(ゴウ)と、彼が出会う人々が織りなす、笑いあり涙ありの人情ドラマで、ゴウの書いた脚本「キネマの神様」がある奇跡を起こすストーリー。現代パートで志村けんが演じるはずだったゴウを盟友・沢田研二が、映画監督を目指していた若き日のゴウを菅田将暉が、二人一役で演じるのも見どころ。また、ゴウが思いを寄せ、のちに妻となる淑子には、宮本信子と永野芽郁が扮し、作品を盛り立てる。撮影所の活気に満ちた日々に加え、コロナ禍でもなんとか経営を続ける映画館へのエールなども描かれた、まっすぐな映画愛にあふれる1本となった。第13回TAMA映画賞最優秀男優賞(菅田将暉)、第46回報知映画賞助演女優賞(寺島しのぶ)を受賞。今回の日本アカデミー賞では8部門で受賞。

監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝原雄三
製作会社:松竹/テレビ朝日/木下グループ/住友商事/松竹ブロードキャスティング/voque ting/博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ/読売新聞東京本社/朝日放送テレビ/日本出版販売/GYAO/文藝春秋/名古屋テレビ放送

優秀作品賞 「孤狼の血 LEVEL2」


【作品紹介】
柚月裕子の同名小説を映画化し、第42回日本アカデミー賞で12部門の優秀賞を受賞、うち主演男優賞(役所広司)、助演男優賞(松坂桃李)を含む4部門で最優秀に輝いた「孤狼の血」(18)の約3年ぶりの続編。前作の3年後を舞台に、原作にはないオリジナルのストーリーが展開する。白石和彌監督はじめ主要スタッフが再結集し、前作を凌ぐアクションとバイオレンス描写を盛り込んだ、衝撃のエンターテインメント作品となった。第46回報知映画賞助演男優賞(鈴木亮平)、第43回ヨコハマ映画祭主演男優賞(松坂桃李)、助演男優賞(鈴木亮平)、第34回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞(鈴木亮平)、第76回毎日映画コンクール録音賞(浦田和治)、第95回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞(鈴木亮平)などを受賞。今回の日本アカデミー賞では12部門、13賞の優秀賞(優秀助演男優賞は2名)と新人俳優賞を受賞。

監督:白石和彌
脚本:池上純哉
製作会社:東映/木下グループ/テレビ東京/山陽鋼業/KADOKAWA/東映ビデオ/電通/朝日新聞社/ダイバーシティメディア/報知新聞社/GYAO/ニッポン放送/Filmarks

優秀作品賞 「すばらしき世界」


【作品紹介】
小説『復讐するは我にあり』で直木賞を受賞した作家・佐木隆三が、実在の殺人犯をモデルに描いた、90年刊行のノンフィクション小説『身分帳』を、西川美和監督が舞台を現代に置き換えて映画化。長年憧れの存在だったという役所広司を主演に迎え、社会になじめない男の生き方と彼を取り巻く世界を、ときにシビアに、ときに温かな目線で描き出す。これまで自身のオリジナル作品のみを手掛けてきた西川監督にとって初めて原案がクレジットされた作品となった。第56回シカゴ国際映画祭観客賞、および最優秀演技賞(役所広司)、第13回TAMA映画賞最優秀男優賞(役所広司)、第44回山路ふみ子映画賞(西川美和監督)、第76回毎日映画コンクール日本映画優秀賞、男優助演賞(仲野太賀)、撮影賞(笠松則通)、音楽賞(林正樹)、第95回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞(役所広司)などを受賞。今回の日本アカデミー賞では7部門で優秀賞を受賞。

監督・脚本:西川美和
製作会社:バンダイナムコアーツ/AOI Pro./ワーナー・ブラザース映画/ギャガ/講談社/Filmarks/U-NEXT

優秀作品賞 「護られなかった者たちへ」


【作品紹介】
東日本大震災から10年目の仙台で、被害者が餓死させられる殺人事件が連続発生。被害者は、かつて同じ福祉保健事務所で働いていたという共通点があった。その事件の真相を明らかにしながら、現代日本の格差社会の現実も映し出す、社会派ミステリー作品。中山七里による同名の原作を、「64-ロクヨン-前編/後編」(16)などの瀬々敬久監督が映画化。佐藤健と阿部寛が、容疑者・利根と彼を追う刑事・笘篠に扮し、立場は真逆ながらも、共に震災で心に傷を負った二人の男の生きざまを演じ切る。生活保護の実態も扱い、世に一石を投じる骨太なドラマに仕上がった。第46回報知映画賞作品賞、第34回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞(清原果耶)、第32回山路ふみ子新人女優賞(清原果耶)、第76回毎日映画コンクール男優主演賞(佐藤健)、女優助演賞(清原果耶)を受賞。今回の日本アカデミー賞では12部門で受賞。

監督:瀬々敬久 脚本:林 民夫/瀬々敬久
製作会社:松竹/アミューズ/木下グループ/トーハン/イオンエンターテイメント/NHK出版/松竹ブロードキャスティング
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)カラー

最優秀アニメーション作品賞 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」


【最優秀受賞コメント】
(制作した)カラーの皆さんが、長い時間と心血を注いで作り上げた作品です。(コロナにより)公開が2度延期になりましたので、一緒に配給のお仕事をさせていただいた僕ら東映と東宝さんとしては、(公開できて)本当にホッとしました。カラーの皆さんも今回の賞を喜んでいると思いますので、この最優秀賞ブロンズ像を持ち帰って、お伝えしようと思います。[紀伊宗之/配給]

【作品紹介】
95年のTVアニメ放送開始から社会現象を巻き起こしてきた『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ。07年に再起動し、これまでに「:序」(07)「:破」(09)「:Q」(12)の3作を公開してきた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの4作目。庵野秀明総監督が創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境によって描いてきた新シリーズの完結編であるとともに、約25年にわたるシリーズ全体を締め括る作品ともなった。シンジ、レイ、アスカ、マリという個性溢れるキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する中で、“人の本質とは何か?”“人は何のために生きるのか?”という深いテーマを描き出す。日本を代表する一流アニメスタッフが多数参加しているほか、最新のデジタル技術も駆使し、庵野総監督が細部まで徹底的にこだわり抜いて制作。21年度の日本での興行収入トップとなる102億8千万円をあげ、シリーズ最大のヒット作ともなった。

総監督・脚本:庵野秀明 
監督:鶴巻和哉/中山勝一/前田真宏
製作会社:カラー

優秀アニメーション作品賞 「アイの歌声を聴かせて」


【作品紹介】
劇場版も製作されたWebアニメ『イヴの時間』(08)や「サカサマのパテマ」(13) などで海外からも注目を集めるアニメーション作家・吉浦康裕が、自身の得意とする「AI」と「人間」の関係というテーマを描いた最新作。大企業・星間エレクトロニクスの実験都市の高校に、謎の美少女・シオンが転入。すぐに学校の人気者になった彼女は、クラスでいつもひとりぼっちのサトミの前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとしはじめる。実はシオンは、サトミの母親が開発したAIを搭載する実地試験中のアンドロイドだった。それを知ってしまったサトミら高校生の少年少女たちと、ちょっとポンコツなAI・シオンとの不思議な交流、そして、彼らが引き起こすことになる大騒動を軽快に綴ったハートフルな青春エンタテインメント。AIのシオン役の土屋太鳳が歌声を披露するほか、福原遥、工藤阿須加らも声優として参加している。

監督・脚本:吉浦康裕
製作:「アイの歌声を聴かせて」製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「漁港の肉子ちゃん」


【作品紹介】
直木賞作家・西加奈子の同名原作を明石家さんまの企画・プロデュースで映画化。「怪獣の子供」(19)でも組んだ渡辺歩が監督、STUDIO 4℃がアニメ制作をそれぞれ務めている。愛情深い性格ゆえにダメ男に何度もだまされてきた、豪快かつ子どものように純粋な母・肉子ちゃんと、しっかりもので大人びた性格の小学5年生の娘・キクコ。肉子ちゃんの恋が終わる度に各地を放浪してきた二人は、北の漁港の町へと流れ着く。漁港の船を住処に、肉子ちゃんは焼き肉屋で働き、キクコは地元の小学校に転入。思春期のキクコがこの漁港の町をどんどん好きになっていくなか、親子の大きな秘密が明らかとなる。訳アリ母娘の日常と絆を描いた、笑って泣けるハートフルコメディ。肉子ちゃんを大竹しのぶ、キクコを声優初挑戦のCocomiがそれぞれ演じている。第46回報知映画賞のアニメ作品賞を受賞したほか、アヌシー国際アニメーション映画祭などの海外の映画祭でも高い評価を受けている。

監督:渡辺歩 脚本:大島里美
製作:吉本興業/電通

優秀アニメーション作品賞 「劇場版 呪術廻戦 0」


【作品紹介】
18年3月から『週刊少年ジャンプ』に連載中で、単行本のシリーズ累計発行部数が6000万部を突破している芥見下々の大人気漫画『呪術廻戦』。20年10月~21年3月にTVアニメ化もされた同作の前日譚にあたる、『呪術廻戦0東京都立呪術高等専門学校』を、TVアニメと同じ主要スタッフで長編映画化。幼少の頃、幼馴染みの祈本里香を交通事故により目の前で失った乙骨憂太は、怨霊と化した里香の呪いに苦しみ、自身の死を望んでいたが、最強の呪術師・五条悟によって呪術高専に迎え入れられる。乙骨は個性的な同級生たちと過ごすなか、自信を持って生きることと、呪いを解くことを決意。しかし、そんな乙骨たちの前に、呪術師だけの楽園を標榜する最悪の呪詛師・夏油傑が現れる。人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描く同シリーズの原点の物語となるダークファンタジー。現在も公開中で、興行収入110億円を超えて数字を伸ばし続けている。

監督:朴性厚 脚本:瀬古浩司
製作:東宝/集英社/MAPPA/サムザップ/MBS

優秀アニメーション作品賞 「竜とそばかすの姫」


【作品紹介】
世界的な注目を集めるアニメーション映画監督・細田守が、「サマーウォーズ」(09)で描いたインターネット世界を舞台に、「時をかける少女」(06)以来となる10代の女子高校生をヒロインにした最新作。母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公の内藤鈴は、もう一つの現実と呼ばれる50億人が集うネット上の仮想世界<U(ユー)>で、謎の歌姫ベルとして世界中の人気者となる。そんななか、彼女は<U>の秩序を乱す謎の存在・竜と出会い、竜を救いたいと願うようになっていく。仮想世界で大切な存在を見つけた少女が、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語。スタッフには世界各国から様々な分野の才能が結集した他、声優にも、ミュージシャンの中村佳穂や生田りらのほか、佐藤健、成田凌、玉城ティナ、役所広司らが参加。第74回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プルミエール部門に選出された。今回の日本アカデミー賞では、優秀音楽賞も受賞している。

監督・脚本:細田守
製作:日本テレビ放送網/NTTドコモ/KADOKAWA/スタジオ地図
優秀監督賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
3.11後に震災のドキュメンタリーを撮った時に感じたことが、今の自分の監督としての基盤になっています。まだ大変な時期が続きそうですが、自分にできることを今の現在地から一歩一歩やっていくことしかできないし、研鑽を積んで映画の世界でできることを探していきたいです。少しでも良い社会や良い世界にするというと大袈裟ですが、一個一個の仕事が未来を作っていくし、今この場所から進んでいくしかないと思っています。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第95回キネマ旬報ベスト・テン、第76回毎日映画コンクール、第56回全米映画批評家協会賞、第42回ボストン映画批評家協会賞などで監督賞受賞。第94回米アカデミー賞監督賞ノミネート
優秀賞白石和彌「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
シリーズ2作目で受賞するとは思いもよりませんでした。コロナ禍だからこそ暴れ倒して最高のエンタメを届けるんだ、と作った作品です。応援してくれた皆様、前作に引き続き惜しみなく協力してくれた広島市、呉市の皆様、ありがとうございました。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」で優秀監督賞、第37回「凶悪」で優秀監督賞と優秀脚本賞受賞
優秀賞瀬々敬久「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
初めてのコロナ禍での撮影であり、暗中模索の中、全員野球で取り組んで作り上げた作品です。それよりも増してそのような状況にも関わらず、震災という内容を含みながらも撮影を受け入れて頂いた宮城県の方々に本当に感謝です。そして「護られなかった者たちへ」、このタイトルが現実とは異なること、心から祈念します。

【受賞歴】第40回「64-ロクヨン-前編」で初受賞
優秀賞成島出「いのちの停車場」


【受賞コメント】
コロナ禍での撮影、製作総指揮である岡田裕介会長との突然のお別れ、いろいろな事がありましたが、皆で力を合わせ乗り越えることができました。この映画にかかわってくださった全ての人に心から感謝いたします。

【受賞歴】第35回「八日目の蟬」で最優秀賞、第38回「ふしぎな岬の物語」第34回「孤高のメス」で優秀賞受賞。他に第32回「クライマーズ・ハイ」で優秀脚本賞受賞
優秀賞西川美和「すばらしき世界」


【受賞コメント】
役所広司さんを主演に迎え、笠松さんに撮ってもらうんだから間違いないでしょう、と大船に乗った気分でしたが、最も憧れていた二人にキャメラと舞台から挟み撃ちにあって、デビュー作以上に緊張しっぱなしでした。でも、役所さんの周りには息もつかせない芝居が生まれ、笠松さんのフレームには《映画》が映っていて、それを支えるあらゆるスタッフが幸福そうに見つめていました。「すばらしき世界」という大仰なタイトルをつけることに私が踏み切れたのは、この現場だったからこそと思います。

【受賞歴】第33回「ディア・ドクター」で初受賞。他に第44回山路ふみ子映画賞受賞
優秀脚本賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞濱口竜介/大江崇允「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀賞受賞コメント】
この物語の世界を与えてくださった(原作者の)村上春樹さんに、まず感謝を申し上げます。そして、その物語世界を具現化するのは、役者の方たちにとって大変な仕事だったと思います。素晴らしい脚本のように見せてくださった役者の皆さんにも感謝申し上げます。[濱口] 
映画というのは、いまこの瞬間で価値が決まるわけではないので、これから先に変わっていく価値の中でも、ずっと愛される作品になればいいなと思っています。[大江]

【受賞歴】共に初受賞。他に本作で第95回キネマ旬報ベスト・テン、第74回カンヌ国際映画祭、第56回全米映画批評家協会賞、第42回ボストン映画批評家協会賞などで脚本賞受賞。第94回米アカデミー賞脚色賞ノミネート
優秀賞池上純哉「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
思いもよらぬ受賞に驚いています。本作にはほぼ悪い奴しか出てきません。悪い奴らを悪い奴らのまま描いて、それでも面白いエンターテインメント映画は出来るはずだと、その一念で必死に書きました。コロナ禍の厳しい状況の中、ド迫力の作品に仕上げてくれた白石監督、全キャスト、全スタッフに感謝です。

【受賞歴】第42回「狐狼の血」で優秀賞受賞
優秀賞西川美和「すばらしき世界」


【受賞コメント】
佐木隆三さんの『身分帳』という小説に出会い、「こんな傑作を絶版にしておくのはもったいない」と映画化を思い立ちましたが、他の人の小説を脚本にするのは初めてで四苦八苦しました。刑務所職員、極道の世界や服役を経験した人、また彼らを支援する人などに取材を重ねながら、三十余年前の話を現代に置き換えて書ききることができました。多くの取材協力者の方々にこの場を借りてお礼を申し上げます。

【受賞歴】第33回「ディア・ドクター」で最優秀賞受賞
優秀賞林民夫/瀬々敬久「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
林民夫
「護られなかった者たちへ」を優秀脚本賞に選出いただいて、ありがとうございました。忘れられない作品になりました。この作品に関わったすべての皆様に感謝します。(林民夫)
【受賞歴】第42回「空飛ぶタイヤ」第38回「永遠の0」で優秀賞受賞

瀬々敬久
【受賞歴】第40回「64-ロクヨン-前編」で初受賞
優秀賞山田洋次/朝原雄三「キネマの神様」


山田洋次
【受賞歴】最優秀賞は第1回「幸福の黄色いハンカチ」をはじめこれまでに4回受賞。他に優秀賞はこれまでに16回受賞

朝原雄三
【受賞コメント】
朝原:松竹映画100周年記念として始まった脚本作りは、日本映画の黄金時代への郷愁とリスペクトを強く打ち出す、ロマンティックかつ、ほろ苦いストーリーに膨らんでいきましたが、それでも現実に目を瞑らず、コロナ禍を作品中に描いて、まさに2021年の日本映画の証とした山田監督の決意に敬意を表します。

【受賞歴】第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」で初受賞
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞西島秀俊「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
相手の言葉に耳を澄ますことの大切さを改めて実感させてもらえた現場でした。世界が混乱していて、いろいろな繋がりが切れている中、今日で東日本大震災からも11年経ちました。この人との繋がり、魂の再生の物語が、今日こうやって賞をいただいたことは、大きな意味があると思っています。これからも人生や人に寄り添う、希望を持てるような素晴らしい作品に参加したいですし、日本映画のために身を捧げたいと思っています。

【受賞者紹介】
妻を亡くした喪失感を抱える舞台演出家であり俳優の家福悠介を演じた。常に穏やかで冷静に振る舞う家福だが、専属ドライバーの渡利みさきとの交流を通じ、無意識下にあった本心に気づき、すべての感情をさらけ出す。控えめながら揺れる心の機微を物悲しさを漂わせる圧巻の演技で魅せた。アジア人俳優として初めて、全米批評家協会賞主演男優賞に輝くなど、言葉の壁を越えて海外の観客の心も震わせた。

【受賞歴】優秀主演男優賞は初受賞。第42回「散り椿」で優秀助演男優賞受賞。他に本作で第56回全米映画批評家協会賞、第42回ボストン映画批評家協会賞、第34回日刊スポーツ映画大賞主演男優賞受賞
優秀賞佐藤健「護られなかった者たちへ」


【受賞者紹介】
「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17)以来となる瀬々敬久監督とのタッグとなった本作で、連続殺人事件の容疑者・利根泰久を演じた。孤独で、心を閉ざして生きてきた利根は、震災後の避難所で、後に家族のような関係となる少女と老婆に出会い、すべてを捧げて彼らを守ろうとするが……。一見ぶっきらぼうだが、熱さと優しさを内に秘め、傷つきながらも大切な存在のために怒り、悲しみ、抗う利根の姿が胸を打った。

【受賞歴】第41回「8年越しの花嫁 奇跡の実話」で優秀主演男優賞受賞。他に本作で第76回毎日映画コンクール男優主演賞受賞
優秀賞菅田将暉「花束みたいな恋をした」


【受賞者紹介】
20代のうちにラブストーリーをやりたいという菅田の思いを受けて、数々の名作ドラマを生み出してきた脚本家・坂元裕二がオリジナル脚本を執筆した本作で、有村架純演じる八谷絹と恋に落ちる、カルチャー好きの青年・山音麦を演じた。運命を感じる出会いから、切ない別れまで誰もが共感するような、恋の喜びも苦しみも詰まった5年間を、リアルに、感情豊かに演じ、記憶に残るシーンの数々を生み出した。

【受賞歴】第41回「あゝ、荒野 前篇」で最優秀主演男優賞と話題賞、第44回と第43回で優秀主演男優賞、第37回で新人俳優賞受賞。他に本作などで第13回TAMA映画賞最優秀男優賞受賞
優秀賞松坂桃李「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞者紹介】
自身に第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をもたらした日岡秀一役に再び扮した。エリートの新人刑事だった前作とは打って変わり、前作で殉職した、役所広司演じるベテラン刑事・大上章吾の後を継ぎ、マル暴の刑事として裏社会の治安維持に努める日岡を熱演。舞台となる広島の呉地方の方言も使いこなし、獰猛なヤクザたちを相手に、堂々と渡り合う、凄みのある演技で作品を牽引した。

【受賞歴】第43回「新聞記者」で最優秀主演男優賞、第42回「孤狼の血」で最優秀助演男優賞、第36回「ツナグ」などで新人俳優賞受賞。他に本作などで第43回ヨコハマ映画祭主演男優賞受賞
優秀賞役所広司「すばらしき世界」


【受賞者紹介】
西川美和監督との初タッグ作品で演じたのは、社会復帰のきっかけが掴めない前科者・三上正夫。根は優しく実直だが、一度怒りが沸点に達すると歯止めが効かず、人生の大半を刑務所で過ごしてきた。どこか目が離せない、憎めない、一本筋が通った愛すべきはみ出し者を圧倒的存在感で表現。他人のトラブルさえも見て見ぬ振りができない不器用な男をこの上なく魅力的に演じ、作品を成功に導いた。

【受賞歴】最優秀主演男優賞を3回、最優秀助演男優賞を1回、他に優秀主演男優賞を15回、優秀助演男優賞を1回受賞。他に本作で第95回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞などを受賞
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞有村架純「花束みたいな恋をした」


【最優秀受賞コメント】
私が作品に対してできることは少なくて、自分が作品にどんな影響を与えられるのかと、常々不安な部分もありますが、幾度となく背中を押してくれたのは、これまで出会った方々の言葉たちでした。その方々がいたからこそ、好きな芝居を続けることができたと思っています。これからも独りよがりな芝居をせず、思いやりを持ち、芝居、現場、人に対して誠実に向き合い続け、一緒に闘ってくれる仲間たちを大切に、精進していきたいです。

【受賞者紹介】
「映画ビリギャル」(15)の土井裕泰監督との再タッグとなった本作で、ヒロインの八谷絹を演じた。菅田将暉扮する山音麦と、終電を逃したことをきっかけに出会い、好きなものが一緒で、瞬く間に恋に落ちる。脚本家・坂元裕二が執筆段階から主演に有村と菅田を想定していたというだけあり、二人で過ごした5年間の、何気ない、けれどかけがえのない日常をナチュラルに体現。見る者の共感を呼ぶラブストーリーの立役者となった。

【受賞歴】第39回「映画 ビリギャル」で優秀主演女優賞と新人俳優賞受賞。他に本作と「映画 太陽の子」「るろうに剣心 最終章 TheBeginning」などで第13回TAMA映画賞最優秀女優賞などを受賞
優秀賞天海祐希「老後の資金がありません!」


【受賞者紹介】
垣谷美雨のベストセラー小説を前田哲監督が映画化したコメディで、約19年ぶりに映画単独主演。老後資金をコツコツと貯めていた節約家の主婦・後藤篤子は、様々なライフイベントが重なったうえ、夫も自らも職を失い、さらに浪費家の姑を引き取って同居する羽目になり、貯金が底をつくことに……。ピンチの連続で追い込まれる篤子の姿をコミカルに、表情豊かに演じ、作品を牽引。コメディエンヌとしての魅力を改めて印象付けた。

【受賞歴】優秀主演女優賞は初受賞。第43回「最高の人生の見つけ方」第25回「千年の恋 ひかる源氏物語」で優秀助演女優賞、第20回「クリスマス黙示録」で新人俳優賞受賞。他に本作などで第34回日刊スポーツ映画大賞主演女優賞受賞
優秀賞永野芽郁「そして、バトンは渡された」


【受賞者紹介】
19年に本屋大賞を受賞した同名小説の映画化で、原作を読み「絶対に自分が演じたいと思っていた」という優子役に扮した。義理の母と、何人もの義理の父の愛情をたっぷりと受けて、その名の通り優しく、おおらかに、すくすくと育った優子。嫌なことがあっても笑顔を絶やさず周りを幸せにする、ピュアで透明感のあるヒロインの姿をのびやかに演じ、爽やかな感動をもたらした。

【受賞歴】初受賞。他に本作と「地獄の花園」で第46回報知映画賞主演女優賞受賞
優秀賞松岡茉優「騙し絵の牙」


【受賞者紹介】
『罪の声』の著者・塩田武士による同名小説の映画化で、「桐島、部活やめるってよ」(12)以来、約8年ぶりに吉田大八監督作品に出演。本屋の娘で文学を愛する、大手出版社の新人編集者・高野恵に扮した。老舗文芸誌の編集部から左遷されそうになるが、廃刊危機にあるカルチャー誌に引き抜かれ、若さと熱意と実力で雑誌の立て直しに貢献していく。肝の据わったヒロインの成長を確かな演技で体現し、強い印象を残した。

【受賞歴】第43回「蜜蜂と遠雷」第42回「勝手にふるえてろ」で優秀主演女優賞、第42回「万引き家族」で優秀助演女優賞受賞
優秀賞吉永小百合「いのちの停車場」


【受賞者紹介】
現役医師・南杏子の同名小説を、「ふしぎな岬の物語」(14)でもタッグを組んだ成島出監督が映画化。東京の救命救急の現場を訳あって退き、故郷・金沢の小さな診療所で訪問診療医として働き始めた白石咲和子役で、自身初となる医師役に臨み、新境地を開いた。患者とその家族を温かく包み込み、最期まで真摯に寄り添っていく一方で、自身の父親をどう看取るか苦悩する。その心の揺れと咲和子の誠実な人となりを丁寧に表現した。

【受賞歴】第29回「北の零年」第24回「長崎ぶらぶら節」第12回「つる-鶴-」「華の乱」第8回「おはん」「天国の駅」で最優秀主演女優賞受賞。他に優秀主演女優賞を15回受賞
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞鈴木亮平「孤狼の血 LEVEL2」


【最優秀受賞コメント】
この現場は、1作目の主演を務めた役所広司さんがいないというプレッシャーとの闘いでした。思い返すと映画を見るのが好きで、スクリーンの世界の中に入りたいと思っていた子どもの頃から、18歳で芝居を始め、これまでたくさんの人に迷惑をかけつつ、助けていただいて、今日一つの評価をいただけました。今日はその方たち、一人一人の顔を思い出しながら、この最優秀賞のブロンズ像を眺めて、夜を過ごしたいと思います。

【受賞者紹介】
白石和彌監督から、「日本映画史に残る悪役にしてほしい」とオファーされたという、上林組の組長・上林成浩役。刑務所でも手に負えず出所が早まるほどの凶悪者で、出所後は、ぎりぎりのところで保たれていた裏社会の均衡をいとも簡単にぶち壊し、日岡と対峙する。極悪非道な外
道を、監督の期待に応え怪演。不気味な恐ろしさを身にまとい、振り切った演技で最凶の悪役
を作り上げた。

【受賞歴】初受賞。他に本作などで第95回キネマ旬報ベスト・テン、第46回報知映画賞、第43回ヨコハマ映画祭、第34回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞受賞
優秀賞阿部寛「護られなかった者たちへ」


【受賞者紹介】
連続殺人事件の容疑者・利根泰久を追う、宮城県警の刑事・笘篠誠一郎に扮した。東日本大震災で妻子を失い、深い喪失感を抱く笘篠は、職場で変わり者扱いされつつも職務に没頭することでなんとか日々を生きている。笑顔はなく、常にどこか影のある表情、孤独と苦悩が伝わる目など、台詞以外の部分でも笘篠の内面を雄弁に表現。重厚かつ真摯な演技で、作品に深みをもたらした。

【受賞歴】第36回「テルマエ・ロマエ」で最優秀主演男優賞、第38回「ふしぎな岬の物語」で優秀主演男優賞、「柘榴坂の仇討」で優秀助演男優賞受賞
優秀賞堤真一「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」


【受賞者紹介】
人気漫画を映画化し、2019年に公開された「ザ・ファブル」の続編で、弟の命を奪った伝説の殺し屋・ファブルへの復讐を企てる宇津帆を演じた。表の顔は子供を守るNPO団体の代表だが、裏では自らの正義のもと、残忍な人殺しも厭わない冷酷な男。ファブルにとって過去に唯一殺し損ねた因縁の相手である最狂の敵として、作品を盛り立てた。一瞬で豹変する、狂気的で底知れないキャラクターを高い演技力で演じ切っている。

【受賞歴】第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀助演男優賞、第34回「孤高のメス」第32回「クライマーズ・ハイ」で優秀主演男優賞、第32回と第31回で優秀助演男優賞受賞
優秀賞仲野太賀「すばらしき世界」


【受賞者紹介】
“憧れの人”だという西川美和監督の作品で演じたのは、出所したばかりの三上の取材を始める青年・津乃田龍太郎。怒りを抑えきれず、自分の目の前でチンピラを半殺しにした三上に恐れを抱きつつも、人懐っこく、真面目な人柄に惹かれ、やがて取材を越えて関わっていく。観客の目線にもっとも近いキャラクターを担い、三上への思いがひしひしと伝わる演技で作品に貢献している。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第76回毎日映画コンクール男優助演賞受賞
優秀賞村上虹郎「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞者紹介】
自らが兄のように慕う、マル暴刑事の日岡のスパイとして上林組に潜り込み、組員となる“チンタ”こと近田幸太役を演じた。上林組の実態を知るにつれ、使命感に駆られ、より深く関わっていくが、それは自らの首を絞めることにもなり……。若さゆえの無防備な真っ直ぐさ、熱さ
をほとばしらせるチンタをエネルギッシュに演じた。大粒の雨に打たれるシーンでの熱演も忘れ難く、鮮烈な印象を残した。

【受賞歴】第41回「武曲 MUKOKU」で優秀助演男優賞受賞
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞清原果耶「護られなかった者たちへ」


【最優秀受賞コメント】
自分が受賞させていただけるとは微塵も思っていなかったので、本当にびっくりしています。皆さまに感謝を申し上げます。この作品と円山幹子という役を通して、人間の生きる原動力や動くきっかけというものには、人それぞれに様々な理由があるのでしょうが、みんなが報われるような世の中になればいいなと思いながら、演じていました。俳優として、映画を愛する人間として、成長できるように、これからも精進してまいります。

【受賞者紹介】
福祉保健事務所の上司が殺人事件の被害者となったため、捜査への協力を求められる女性職員・円山幹子を演じた。生活保護を本当に必要な人に、という使命感を持ち、親身になって生活困窮者の相談に乗る一方で、不正受給者に対しては、情に流されることなく毅然とした態度で接していく。心の奥底に憎しみを抱え、過去に希望も絶望も味わったからこその頑なさ、強さを持つ幹子を、凛とした佇まいで演じた。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第32回山路ふみ子映画賞新人女優賞、第34回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞、第76回毎日映画コンクール女優助演賞
優秀賞石原さとみ「そして、バトンは渡された」


【受賞者紹介】
いつもポジティブで明るく、夫の連れ子だった「みぃたん」を自分の娘として溺愛する梨花役で、初の母親役に扮した。天性の美貌を武器に夫を次々と替えていく梨花。その背景には、ある切ない理由があり……。スクリーンをパッと照らす華やかな笑顔と、あふれる母性が作品にエネルギーをもたらした。あれほど愛していたみぃたんの前から姿を消した訳が明らかになるクライマックスでは観客の涙を誘った。

【受賞歴】第40回「シン・ゴジラ」第29回「北の零年」で優秀助演女優賞、第27回「わたしのグランパ」で新人俳優賞受賞
優秀賞草笛光子「老後の資金がありません!」


【受賞者紹介】
老舗和菓子屋の元女将で、天海祐希演じる後藤篤子のセレブな姑・芳乃を演じた。息子夫婦と同居することになったものの、金遣いが荒くマイペースな芳乃は、後藤家に波乱を巻き起こす。前田哲監督からは「役作りせずそのままで」とリクエストがあったという役柄で、鮮やかなファッションを披露したり、老人(男)に変装したり、歌声を披露したりと、八面六臂の大活躍。様々な表情を見せて、スクリーンで輝いた。

【受賞歴】初受賞。今回は会長功労賞も受賞
優秀賞西野七瀬「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞者紹介】
上林組の組員となった弟・チンタのことを本気で心配する姉であり、マル暴刑事の日岡と親密な関係にある、スナックのママ・近田真緒に扮した。ブリーチした髪に色っぽいファッションを身にまとい、喫煙シーンあり、ビンタを放つシーンあり、そして話す言葉は広島弁と、これまでのイメージを覆すキャラクターを体当たりで演じている。いつも気丈な真緒が日岡の目の前で慟哭するシーンでは、見る者の心を締め付ける熱演を見せた。

【受賞歴】初受賞。今回は新人俳優賞も受賞
優秀賞広瀬すず「いのちの停車場」


【受賞者紹介】
吉永小百合演じる主人公・白石咲和子が働くことになる診療所の訪問看護師・星野麻世役。いつも元気な笑顔で患者たちに接し、周囲を明るく照らし、在宅医としての経験のなかった咲和子に現場の実情を教えていくしっかり者を好演。その一方で、過去に唯一の身内だった姉を自動車事故で亡くしたトラウマを抱え、姉の子どもの母親代わりとしても奮闘する麻世の、光と影の両面を見事に演じた。

【受賞歴】第41回「三度目の殺人」で最優秀助演女優賞、第44回「一度死んでみた」第40回「ちはやふる-上の句-」で優秀主演女優賞、「怒り」で優秀助演女優賞、第39回で新人俳優賞受賞
優秀音楽賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞岩崎太整/LudvigForssell/坂東祐大「竜とそばかすの姫」


【最優秀受賞コメント】今回は作曲村というコンセプトで、複数人の友人の作曲家と共に、本作に携わってまいりました。ここにいるルドウィグ・フォシェル、今日来られなかった坂東祐大、そして、会場にいると思う挾間美帆、メインテーマを書いてくださった常田大希、我々のミューズ中村佳穂、皆さんの才能のおかげでこの場に立てました。[岩崎]

【受賞歴】
岩崎太整 第35回「モテキ」で初受賞
Ludvig Forssell、坂東祐大 共に初受賞
優秀賞岩代太郎「キネマの神様」


【受賞コメント】
世界中がCOVID-19と対峙し苦悩する最中、昨年に引き続き多くの映画人と再会を果たせる授賞式へ伺える幸せを噛み締めております。関係者の皆様、そして日本アカデミー賞会員の皆様、心からの御礼を申し上げます。

【受賞歴】第44回「Fukushima 50」第37回「利休にたずねよ」第29回「蝉しぐれ」「春の雪」第28回「血と骨」で優秀賞受賞
優秀賞大友良英「花束みたいな恋をした」


【受賞コメント】
コロナ禍で演奏ができない時期が続いた中でやっと収録にこぎつけた録音でもあり感慨深いです。それにしても、まさかこの年齢で、恋愛映画の音楽で評価されるとは思ってもいませんでした。何より映画そのものの素晴らしさと、演奏してくれたメンバーやスタッフのみなさんのおかげです。ありがとうございます!

【受賞歴】初受賞
優秀賞村松崇継「 護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
今回このような素晴らしい賞を頂けたこと本当に嬉しく思います。音楽的にも非常に繊細なシーンが多く、難しい場面もありましたが、役者の方々の迫真の演技、そして作品に関わる全スタッフの作品に対する熱意と共に、監督の音楽への演出アドバイスにより、この作品の音楽を作り上げることができました。ありがとうございました。

【受賞歴】第41回「8年越しの花嫁 奇跡の実話」第40回「64-ロクヨン-前編」で優秀賞受賞
優秀賞安川午朗「いのちの停車場」


【受賞コメント】
故東映会長、岡田裕介さんが「音楽楽しみにしてるよ」それが最後の会話でした。そして数日後訃報を聞きました。いつも以上のプレッシャーを感じ悩みました。なんとか届いたでしょうか。評価していただきありがとうございます。

【受賞歴】第35回「八日目の蟬」で最優秀賞、第42回「孤狼の血」「空飛ぶタイヤ」第39回「ソロモンの偽証 前篇・事件」第38回「ふしぎな岬の物語」で優秀賞受賞
優秀賞安川午朗「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
前作に引き続き、栄えある賞に選んでいただきありがとうございます。今回はモンスター級の敵が日岡の前に現れました。冷徹で残酷な。楽しんで作業しました。こんなご時世で作品が完成したことも凄いことだと思いました。
優秀撮影賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞四宮秀俊「ドライブ・マイ・カー」


【受賞コメント】
この作品において、撮影が出来るだけ目立たないという事が撮影の役割の一つでした。ですのでこの賞は画面に映るもの全ての魅力に与えられたものだと思っています。そんな魅力的なものに囲まれた素晴らしい撮影現場にいれたことを光栄に思います。

【受賞歴】初受賞
優秀賞笠松則通「すばらしき世界」


【受賞コメント】
「すばらしき世界」はたくさんの幸せな出会いがありました。西川監督、主演の役所さん、スタッフ、キャストの一人ひとりが一つになって作り上げた映画です。西日の当たるグラウンドで子供たちとサッカーに興じる三上をカメラは追い続けます。何度も見たくなる大好きなシーンになりました。

【受賞歴】第37回「許されざる者」で最優秀賞、第40回「怒り」第35回「大鹿村騒動記」第34回「悪人」第31回「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」第29回「亡国のイージス」で優秀賞受賞。他に本作で第76回毎日映画コンクール撮影賞
優秀賞加藤航平「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
今作が自身の長編キャメラマンデビュー作です。この作品に撮影として抜擢して頂けただけでも感激でしたのに、こうした素晴らしい賞を頂けて、とても驚き、感動しております。胸がいっぱいです。今作品をご一緒してくださった、監督・スタッフ・キャスト・東映関係者の皆様に感謝申し上げます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞近森眞史「キネマの神様」


【受賞コメント】
ただただ惰性で動き廻っていただけかもしれない撮影所で過ごした日々。この作品の若者達の活動写真に対する熱い想いが私にもあったのだと思いたい。映画のカタチが大きく変わろうとしている今日まで映画作りに関わり続けられた事をゴウやテラシンといった大船の先輩達・キネマの神様に感謝の念を捧げたいと思います。

【受賞歴】第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」第41回「家族はつらいよ2」第40回「家族はつらいよ」第39回「母と暮せば」第38回「小さいおうち」第37回「東京家族」第34回「おとうと」で優秀賞受賞
優秀賞鍋島淳裕「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
東日本大震災から10年がたち、東北出身にもかかわらず何もできなかった自分が情けないと思っていましたが、この作品に携わることで少しはその気持ちが薄らいだように感じます。被災された岩手、宮城、福島の方々の優しい協力のもと撮影することができとても感謝しております。

【受賞歴】初受賞
優秀照明賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞高井大樹「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
今日は撮影賞の四宮秀俊さんが来られなくて残念でしたが、四宮さんだけでなく、本当に全てのスタッフの方々がいたからこそ獲れた賞だと思います。ありがとうございました。

【受賞歴】初受賞
優秀賞宗賢次郎「すばらしき世界」


【受賞コメント】
西川美和監督、撮影の笠松則通さんと憧れの役所広司さんとの現場は自分にとって緊張感でいっぱいでしたが、いつまでも終わって欲しくないとても幸せで貴重な時間でした。「すばらしき世界」を観て頂いた方々、携わった方々、全ての人に感謝の気持ちでいっぱいです。今後も映画人として精進していきたいと思います!!

【受賞歴】第43回「蜜蜂と遠雷」第42回「散り椿」で優秀賞受賞
優秀賞川井稔「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
LEVEL2(続編)R-15、この条件で再びステージに立たせて頂き感謝致します。照明としてガチガチの映像を目指しておりました。ほぼ満足致しました。ラス太刀からのラストシーン突入もう勘弁して(笑)。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」第25回「冷静と情熱のあいだ」で優秀賞受賞
優秀賞土山正人「キネマの神様」


【受賞コメント】
本作の舞台である、今はなき故郷“大船撮影所”でおこなわれていた映画作りのリアル感を作品に持たすため、当時の機材を映画会社・大学・各所の協力を得て集め、実際にライティングで使用しています。今回の受賞は大船撮影所の全ての諸先輩方、一緒に働いた皆様に良い報告が出来ます。ありがとうございます。

【受賞歴】第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」で初受賞
優秀賞かげつよし「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
この度は、優秀照明賞とのことを聞きまして大変驚いています。撮影の鍋島さんと組んで頑張ってきて報われたのですかね。今まで私の仕事に携わってくれた全ての助手さん達に感謝します。

【受賞歴】初受賞
優秀美術賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞原田哲男「燃えよ剣」


【最優秀受賞コメント】
こんなまさかの一等賞をいただけるとは、大変光栄に思います。すべての関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【受賞歴】第35回「最後の忠臣蔵」で最優秀賞、第41回「関ヶ原」第39回「日本のいちばん長い日」で優秀賞受賞。他に本作で第76回毎日映画コンクール美術賞受賞
優秀賞今村力「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
「孤狼の血」の第二弾が決定し、担当の依頼があった。再び彼の広島呉市での全篇ロケを思い身震いした。この身震いはさらなるチャレンジへの恐怖だと言えた。原爆投下より75年目の2020年の夏の広島。8月6日、その地に自分は立っていた。気持ちは決まった。揺らぐことはなかった。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」で最優秀賞、第10回「ア・ホーマンス」「キャバレー」第9回「結婚案内ミステリー」「それから」「魔の刻」「夜叉」第6回「誘拐報道」で優秀賞受賞
優秀賞西村貴志「キネマの神様」


【受賞コメント】
受賞の喜びを実感しております。今作は、かつて在籍した大船撮影所の諸先輩方、そして全国の映画館を経営・運営されている皆様に対する感謝の気持ちを持ちながら撮影に臨みました。コロナ禍が拡大する中、スタッフの結束力で完成に至った作品です。山田組の皆さん、ありがとうございます。

【受賞歴】第42回「空飛ぶタイヤ」で初受賞
優秀賞福澤勝広「いのちの停車場」


【受賞コメント】
映画「いのちの停車場」はスタッフ・キャスト皆で一生懸命作り上げた作品です。重いテーマに向かった作品を会員の皆様に評価していただいてありがとうございます。

【受賞歴】第33回「劔岳 点の記」第32回「クライマーズ・ハイ」第28回「赤い月」第25回「ホタル」第23回「鉄道員(ぽっぽや)」で優秀賞受賞
優秀賞松尾文子「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
この作品に携わり、震災の様子を共に作ってくださった地元の方々、心血を注ぎ現場に望んでいただいた装置・装飾の皆さん、本当にありがとうございました。みんなで作ったこの美術を認めていただき、とても嬉しく思います。

【受賞歴】初受賞
優秀録音賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞伊豆田廉明/野村みき「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
どうもありがとうございます。今日は伊豆田氏が来られなかったのですが、この作品に関わったすべてのスタッフの方と、一緒に音作りをしてくださった大保達哉君とパク・ウルビン君にも、感謝いたします。[野村]

【受賞歴】共に初受賞
優秀賞浦田和治 「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
前作「孤狼の血」に続いて今回「孤狼の血 LEVEL2」での受賞は本当に嬉しく思います。現場は囁きあり、怒鳴りあり、プレーバック同録あり、人物アクションあり、カーアクションあり、発砲あり、モブシーンあり、激しい雨降らしあり、と現場は連日息をつく暇もなく次々と難題が襲ってくる毎日でしたが、録音チーム一丸となり、なんとか現場録音を成立出来ました。仕上げはガヤアフレコを2日間に渡り行うなど、一つ一つの作業を細かく妥協なく行うことにより、作品の幅を少しでも広げる事が出来たのではないかと思います。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」で初受賞にして最優秀賞受賞。ほかに本作で第76回毎日映画コンクール録音賞受賞
優秀賞髙田伸也 「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
宮城での撮影。コロナ禍の撮影現場の衛生担当として地元の看護師の方々にお世話になりました。ちょっとした雑談の中に震災当時の生々しい話が出てきたり、避難所のエキストラの声を録音する時に当時を思い出して泣いてしまう方もいらっしゃいました。色々な思いを抱えつつご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました。

【受賞歴】第40回「64-ロクヨン-前編」で初受賞
優秀賞長村翔太 「キネマの神様」


【受賞コメント】
このような名誉ある賞を戴きまして身に余る光栄です。山田監督を始め、素晴らしいキャスト、スタッフの皆様と共に作品に携われたことを何よりも嬉しく思います。多大なお力添えを頂いた山田組の皆様に心より御礼申し上げます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞藤本賢一「いのちの停車場」


【受賞コメント】
優秀賞有り難うございます。作品の仕上げ時、母の一周忌があり、物語の登場人物達と違い、看取れなかった事を思い返して苦しくなる時もありましたが、印象的な台詞を少しでも良く整音しようと繰り返し聞き作業を続けた事、ちょっと良くなったかなと思えた事が、自分自身の浄化にもなった大切な作品です。

【受賞歴】第38回「永遠の0」第35回「八日目の蟬」で最優秀賞、第40回「海賊とよばれた男」第38回「ふしぎな岬の物語」で優秀賞受賞
優秀編集賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞山崎梓「ドライブ・マイ・カー」


【最優秀受賞コメント】
普段、表に出ることがないので、とても緊張しているのですが、受賞できたことはとても嬉しく思っています。この作品に編集で携われたことを、とても誇りに思っています。

【受賞歴】初受賞
優秀賞石島一秀「キネマの神様」


【受賞コメント】
この度は本作を選出いただきありがとうございます。本作は、コロナ禍の影響で撮影・編集共に、スケジュール変更を余儀なくされ、編集部も検査や日々の検温など特別な状況での作業となりましたが、“松竹映画100周年記念作品”の名に恥じぬよう丁寧に作品と向き合いました。監督はじめ全ての関係者に深く感謝申し上げます。

【受賞歴】第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」で最優秀賞受賞
優秀賞大畑英亮「 いのちの停車場」


【受賞コメント】
この度の受賞に対してスタッフの方々、そして、岡田裕介東映株式会社会長に感謝申し上げます。会長は仕上げ作業の途中で逝去されるまで何度も編集室へ来てくださり、沢山のアイデアをいただきました。私にとって、そして東映の従業員の一人として大切な作品でございます。ありがとうございました。

【受賞歴】第38回「ふしぎな岬の物語」第28回「半落ち」で優秀賞受賞
優秀賞加藤ひとみ 「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
参加予定作品の撮影中止・延期が相次ぎ、この先どうなるのか不安でたまらなかった2020年、「孤狼の血」続編が撮影され再び呉の狼たちを繋げたことは大きな喜びでした。群像劇かつミステリー、要素も登場人物も多彩な物語をまとめる作業は、編集者冥利に尽きる楽しい挑戦でした。このような賞を頂けたことに感謝いたします。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」で初受賞
優秀賞早野亮「護られなかった者たちへ」


【受賞コメント】
優秀賞を頂き誠にありがとうございます。瀬々監督の熱い想いをスタッフとキャストの皆様が表現をし、素晴らしい作品が出来上がりました。そこに編集として携れたことを大変嬉しく思います。無茶な相談を迅速に対応してくれるVFXの立石さん、現場での思いを伝えてくれる記録の江口さん、ご協力頂いた皆様に感謝致します。

【受賞歴】第40回「64-ロクヨン-前編」で初受賞
優秀外国作品賞
(C)2019 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.
最優秀賞007/ノー・タイム・トゥ・ダイ


【最優秀受賞コメント】
本作は公開が3回延期され、新しい公開日に向けてモチベーションをあげなければならないことが3回続きました。3度目の正直で公開され、お客様がたくさん来てくださり、こんな素晴らしい賞をいただけました。本当に感謝しております。元気で、熱くて、力強い日本映画界の皆さんに負けないように、今年は外国映画も頑張って、映画業界を盛り上げていきたいと思っております。[山﨑 敏/東宝東和]

【作品紹介】
シリーズの第25作目。スペクターとの戦いの後、00エージェントを退いたジェームズ・ボンドは、恋人のマドレーヌと平穏に暮らしていたが、かつて愛したヴェスパーの墓を訪れた際に、スペクターの傭兵たちに襲われる。からくも逃げ切ったボンドだったが、裏切りを疑ったマドレーヌとは別れてしまう。5年後、ボンドはジャマイカで静かに暮らしていたが、CIAの旧友フィリックスが助けを求めてくる。これを機に、再び危険な任務に挑むこととなったボンドは、マドレーヌとも再会。やがて、凶悪な最新技術を備えた謎の黒幕を追うことになっていく。前作「007/スペクター」(15)の続きを描いており、5作品の物語が繋がったダニエル・クレイグ版ボンドのシリーズとしては、完結編的な作品ともなっている。第94回米アカデミー賞では視覚効果賞など3部門にノミネート。国内では、第46回報知映画賞海外作品賞受賞。

原題:No Time to Die
監督・脚本:キャリー・ジョージ・フクナガ 
配給:東宝東和
優秀賞テーラー 人生の仕立て屋


【作品紹介】
新鋭女性監督・ソニア・リザ・ケンターマンの長編デビュー作。寡黙なニコスは、ギリシャのアテネで、36年間にわたって高級スーツの仕立て屋店を父と営んできたが、不況で店は銀行に差し押さえられ、父は倒れてしまう。崖っぷちのニコスは店を飛び出し、手作りの移動式屋台で仕立て屋を始めるが、道端で高級スーツは全く売れない。そんな時、思いがけずウェディングドレスのオファーが。紳士服一筋だったニコスは、思い切って格安でのオーダーメイドのドレス作りを始めることになる。新たな一歩を踏み出した生真面目な中年男が作る色とりどりのドレスが、新たな出会いと幸せを繋いでいく希望に満ちた感動作。本国ギリシャ最大の第61回テッサロニキ国際映画祭で三冠、イタリアのベルガモ・フィルム・ミーティングで二冠に輝いた他、世界中の映画祭で高い評価を受けている。

原題:Tailor
監督・脚本:ソニア・リザ・ケンターマン 
配給:松竹
優秀賞ノマドランド


【作品紹介】
広大なアメリカ西部の大自然を背景に、〈現代のノマド=遊牧民〉の実像を描くロードムービー。企業の破たんとともに、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、古びたキャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで季節労働の現場を渡り歩きつつ、往く先々で出会うノマドたちと心の交流を果たして、自由な旅を続けていく。ノンフィクションを原作に実在のノマドたちも出演。第93回米アカデミー賞では作品賞の他、主人公を演じたフランシス・マクドーマンドの3度目の主演女優賞、クロエ・ジャオの非白人女性初の監督賞の3冠を獲得。他にも第77回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞など、世界各国の映画賞を獲得。国内では第95回キネマ旬報ベスト・テン外国映画の作品賞と監督賞と読者選出監督賞、第76回毎日映画コンクール外国映画部門、第34回日刊スポーツ映画大賞外国作品賞受賞。

原題:Nomadland
監督・脚本:クロエ・ジャオ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
優秀賞ミナリ


【作品紹介】
作家性の強いA24とブラッド・ピットのPLAN Bという気鋭の会社同士が組んで製作。韓国系移民2世のリー・アイザック・チョン監督が自身の体験を基に、アメリカにやって来た韓国の移民家族の悲喜交々を描く人間ドラマ。1980年代、農業での成功を夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカ・アーカンソー州の高原に、家族と共に転居。荒れた土地と古びたトレーラーハウスを見た妻のモニカは、夫の冒険に不安を感じるが、二人の子どもたちは新しい土地に希望を見つけ、毒舌で破天荒な祖母も同居し始める。しかし、農場経営がうまくいかないなか、追い詰められた一家は思いもしない事態に見舞われる。第93回米アカデミー賞ではユン・ヨジョンが助演女優賞を獲得。他にも第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をW受賞するなど、世界各国の映画祭で高い評価を受けた。

原題:Minari
監督・脚本:リー・アイザック・チョン
配給:ギャガ
優秀賞DUNE/デューン 砂の惑星


【作品紹介】
以降のSF作品に多大な影響を与えたといわれるSF作家フランク・ハーバートの名作長編小説を、10代の頃から愛読していたというドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が新たに映画化。全宇宙の覇権争いの中で命を狙われた一人の青年が過酷な砂の惑星を舞台に、自らの宿命に立ち向かう壮大なSFスペクタクル・アドベンチャー大作。遠い未来の10190年、未来を視る能力があるポール・アトレイデスと彼の一族は、宇宙帝国の皇帝の命令で〈砂の惑星デューン〉へ移住。しかしそれは、民衆から敬愛され勢力を広げつつあるアトレイデス一族の滅亡を謀る罠だった。宿敵ハルコンネン家に攻め込まれ、父を殺されたポールは母と共に逃亡。ポールたちは一夜にして、全宇宙から命を狙われる存在となってしまう。世界的ヒットを受け、続編の制作も決定。第94回米アカデミー賞では作品賞をはじめ計10部門にノミネートされた。

原題:Dune
監督・脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 
配給:ワーナー・ブラザース映画
新人俳優賞
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞今田美桜「東京リベンジャーズ」


【受賞コメント】
この作品は、コロナ禍で何度も何度も撮影がストップしてしまった作品でしたが、それだけにキャストとスタッフの皆さんの熱量が、すごく長く込められた作品ではないかと思っています。その中でこういう素敵な賞をいただけて、本当に心から皆さまに感謝しております。改めてこれからも頑張りたいと思いました。

【受賞者紹介】
地元の福岡県でのモデル活動などを経て、上京後に女優業へ進出。15年「罪の余白」で映画初出演。映画祭上映などを経て18年に劇場公開された短編「カランコエの花」で映画初主演。18年のTVドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS)などで注目を集め、『Yahoo!検索大賞2018』女優部門賞を受賞。本作では、主人公・花垣武道の高校時代の恋人・橘日向を可憐に演じ、主人公の命がけのリベンジの原動力となる紅一点のヒロイン役を務めた。21年は他に、連続テレビ小説『おかえりモネ』(21/NHK)などがある。
優秀賞西野七瀬「孤狼の血 LEVEL2」


【受賞コメント】
本作と前作、両作品に携わって作り上げてくださったスタッフの皆さんの思いや力が、そのまま映画の力となってたくさんの人の心に届いたからこそ、この受賞に結び付いたのだと思っています。これからもご縁があって出会う作品があれば、誠意をもって、熱意をもって、その作品と向き合い、楽しみながら映画作りをしていきたいと思います。これからも頑張ります。

【受賞者紹介】
オーディションを経て、12年に乃木坂46の1期生メンバーとしてCDデビュー。18年末の卒業まで同グループの中心メンバーとして活動しつつ、モデル業や女優業にも進出。17年「あさひなぐ」で映画初出演にして初主演。本作では、主人公のマル暴刑事・日岡秀一と親密なスナックのママ・近田真緒を体当たりで演じ、女優としての幅を広げる新境地を見せた。今回、助演女優賞とのダブル受賞。21年は他に「鳩の撃退法」「あなたの番です劇場版」、TVドラマ『言霊荘』(EX)、舞台『月影花之丞大逆転』などがある。
優秀賞三浦透子「ドライブ・マイ・カー」


【受賞コメント】
本当に私は作品に恵まれていたなと、改めて実感しています。自分の持っている能力以上のパフォーマンスを引き出していただいたと思っています。本作に関わっていたき、支えていただいたスタッフ・ャストの皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。一人でももっと大きなことができるように、もっと大きな人間になれるように頑張ろうと、今日改めて思いました。

【受賞者紹介】
02年に5歳でCMデビューし、同年の連続TVドラマにも出演。15年からは歌手活動も始め、19年の「天気の子」の主題歌と挿入歌のボーカルを務めて注目される。本作では、主人公・家福悠介の愛車の専属ドライバー・渡利みさきを演じるため運転免許を取得。寡黙ながらも主人公の心を動かす重要な役割を担った。第95回キネマ旬報ベスト・テンと第43回ヨコハマ映画祭で助演女優賞、第13回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞などを受賞。21年は他に「スパゲティコード・ラブ」「彼女が好きなものは」がある。
優秀賞吉川愛「ハニーレモンソーダ」


【受賞コメント】
本作では、私自身とは真逆の女の子・石森羽花ちゃんを演じさせていただき、羽花ちゃんという女の子がちゃんと存在しているか、わざとらしくないかなど、不安ばかりでしたが、この作品で受賞できて本当に嬉しいです。どんどん上を目指して、いろんな作品で役を演じて、いろんな方に憧れられる女優さんになれるように頑張りたいと思います。

【受賞者紹介】
5歳でCMデビューし、数々の映画やTVドラマに出演。学業に専念するため、一時芸能活動を休止したが、現在の芸名で17年のTVドラマより女優復帰。20年「転がるビー玉」で映画初主演。本作では、主人公・三浦界に恋心を募らせるヒロイン・石森羽花を演じ、いじめられていた過去を持つ内気だった少女の変化と成長を表現して見せた。21年は「ラーヤと龍の王国」の吹替版で声優を務めた他、TVドラマ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(YTV)『就活生日記』(NHK)などがある。
優秀賞磯村勇斗「ヤクザと家族 The Family」「劇場版『きのう何食べた?』」


【受賞コメント】
この賞をいただき、ようやくスタートラインに立てたなと思っています。俳優の道を志してよかったのかなと、少し背中を押してもらえたような気持ちです。渡辺謙さんの言葉にもあったよに、映画は社会を映しだす鏡だと思っています。これからも世の中に少しでも貢献できるように努めていくと共に、偏見や差別や戦争のない、平和な世界が訪れることを強く願っています。

【受賞者紹介】
小劇場の舞台を中心に活動したのち、映画やドラマにも出演。15年の特撮ドラマ『仮面ライダーゴースト』(EX)や17年の連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)で注目を集める。「ヤクザと家族 The Family」では、主人公・山本賢治を慕う半グレの木村翼、「劇場版『きのう何食べた?』」では、自由奔放なジルベールこと井上航という対照的ともいえる役柄を演じた。2 1 年は他に「東京リベンジャーズ」「彼女が好きなものは」、TVドラマ『演じ屋』(WOWOW)、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)、舞台『泥人魚』などがある。
優秀賞尾上右近「燃えよ剣」


【受賞コメント】
本作に関わったすべての皆さまに、感謝を申し上げたいと思っております。また、本日この会場にいらっしゃる映画界の皆さま、どうぞこの新人俳優賞の私を買ってくだい。たくさん、映画に出たいと思っておりますし、ここに戻ってくることを信じておりす。そして、観客や視聴者の皆さま、歌舞伎と映画を見に来てください。エンターテインメントの力を心から信じております。

【受賞者紹介】
清元宗家七代目清元延寿太夫の次男で、曾祖父は六代目尾上菊五郎、母方の祖父は俳優・鶴田浩二という家系に生まれる。00年に歌舞伎座で初舞台を踏み、05年に二代目尾上右近を襲名。18年には清元栄寿太夫を襲名し、俳優と清元の両立が注目を集める。近年は歌舞伎以外のミュージカル舞台やTVドラマなど多方面で活躍。初出演映画の本作では、新選組を配下に置く会津藩藩主・松平容保を威厳豊かに演じた。21年は他に、舞台『衛生~リズム&バキューム~』、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)などがある。
優秀賞宮沢氷魚「騙し絵の牙」


【受賞コメント】
本作のスタッフ、キャストの皆さま、そして家族、事務所の方々、ファンの皆さまに、感謝しております。ここ2、3年ほど、コロナで世界中がちょっと暗い毎日をおくっていますが、あらためて映画の素晴らしさや皆さまに希望を与える作品が、こんなにたくさんあるんだということを、再確認することができました。これからも素敵な作品が多く生まれることを願っております。

【受賞者紹介】
大学在学中の15年にオーディションでグランプリを獲得し、『MEN'S NON-NO』専属モデルとしてデビュー。17年のTVドラマ『コウノドリ』(TBS)で本格的な俳優デビュー。18年『BOAT』では初舞台にして初主演。19年「映画賭ケグルイ」で映画初出演し、20年「his」で映画初主演。本作では、新人小説家・矢代聖をミステリアスに演じ、物語の鍵を握る役回りを担った。21年は他に「ムーンライト・シャドウ」、TVドラマ『ソロモンの偽証』(WOWOW)『星とレモンの部屋』NHK)、舞台『ピサロ』などがある。
優秀賞Fukase「キャラクター」


【受賞コメント】
素晴らしい賞をいただき、ありがとうございました。私ごとなのですが、いま、自身のバンド(SEKAI NO OWARI)がデビュー10周年を記念したツアーを行っていまして、10年間も音楽をやらせていただいた先に、こういう素晴らしい賞をいただける未来が待っていると、10年前の僕が知ったらどう思うだろうなあと思いながら、この場に立っています。とても嬉しいです。


【受賞者紹介】
07年結成の大人気バンド“SEKAI NO OWARI”ではボーカルの他、楽曲や世界観の創造、ライブの演出なども行う。ファッションや絵画でも独自の感性を発揮し、多方面で注目を集る。21年には初の絵本『ブルーノ』を上梓。1年以上の準備期間を経て撮影に臨んだ本作では、主人公・山城圭吾の描いた漫画の中の事件を再現する連続殺人犯・両角を演じ、演技初挑戦とは思えない鬼気迫る怪演で魅了した。劇中の部屋の巨大な油絵も自身が手掛けている。第46回報知映画賞で新人賞を受賞。
協会特別賞
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞大林恭子【プロデューサー】


【受賞コメント】
昨日(3月10日)は東京大空襲から77年目の日で、当時私は雨のように降る焼夷弾の火の中を逃げ回る7歳の女の子でした。そして今日は3月11日。東日本大震災から11年目となりました。もし映画に、未来の平和を作ることができるなら、私は映画の力を信じたいと思います。忘れることなく若い映画人、映画作家の皆様に繋いでほしいと思います。

【受賞者紹介】
成城大学在学中に大林宣彦監督と出会い、58年に大林監督の自主映画「絵の中の少女」でヒロイン役を務める。以降も大林監督を公私にわたって支え続けた。76年、映画製作会社PSCを設立。プロデューサーとして名前をクレジットするようになったのは「転校生」(82)以降だが、商業映画デビュー作「HOUSE ハウス」(77)から尾道3部作をはじめとする40本以上ものすべての大林作品の製作に携わる。03年には「なごり雪」(02)製作の功績と半世紀にわたる映画活動に対して第22回藤本賞・特別賞、18年には第41回山路ふみ子映画功労賞をそれぞれ受賞した。16年に大林監督はがんによる余命宣告を受けたが、映画制作を続ける同監督を支え続け、「あの、夏の日~とんでろ じいちゃん~」(99)以来となる約20年ぶりに再び尾道を舞台にした遺作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」(20)を完成させた。同作品は、第94回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画監督賞など多数の賞に輝いた他、作品賞を受賞した第42回ヨコハマ映画祭では、大林監督と二人の功績に対して、ヨコハマ映画祭大賞も贈られた。また、多くの作品を通じて平和と自由を訴え続け、今もその活動を続けている。
優秀賞笹竹利行【映画美術文字デザイン】


【受賞コメント】
私はご紹介がありましたように、東宝撮影所に長年勤務し現在まで至っております。本日はこんな盛大な会にお招きいただきありがとうございました。御礼申し上げます。今後も日本映画界をもっと楽しいものにできますよう頑張りますので、一つ応援よろしくお願いいたします。

【受賞者紹介】
58年、東宝に入社し、美術課に配属となる。以来、字書き一筋で様々な文字を手掛ける。字書き・レタリング(映画美術文字デザイン)とは、作品画面に映るあらゆる文字をデザインして書く職種で、タイトル、看板、標識、文書や書状など大小に関わらず多岐にわたる。時代劇・現代劇問わず、蓄積された豊富な知識で多様な書体を操り、その作品の時代設定にふさわしい文字を書き続け、黒澤明、山田洋次監督はじめ、多くの監督やデザイナーからの信頼を得てきた。現在は東宝映像美術に所属し、映像作品を中心にしながらもCMや博物館、タイトルロゴ文字など様々な分野の字書きに携わる他、後進の育成にも熱意を注いでいる。主な参加作品に、「天国と地獄」(63)「居酒屋兆治」(83)「帝都物語」(88)「陰陽師」(01)「ALWAYS 三丁目の夕日」(05)「武士の一分」「ありがとう」(06)「母べえ」(07)「沈まぬ太陽」(09)「バンクーバーの朝日」(14)「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」(17)「峠 最後のサムライ」(22)などがある。また、11年度の文化庁映画賞映画功労部門を受賞している。
優秀賞月岡貞夫【アニメーター】


【受賞コメント】
私はもう80年くらいアニメの世界で生きてきました。今はレジェンドと呼ばれるくらいの年になってしまいましたけれど。長いことアニメーションをやってると、ありがたい賞をいただけるんだなと感慨に浸っております。ありがとうございました。

【受賞者紹介】
高校卒業後、手塚治虫のアシスタントとなる。59年、東映動画(現:東映アニメーション)による長編アニメーション「西遊記」(60)の制作に手塚の助手として参加したのを機に、アニメーターとして同社に入社。作画のレベルの高さとスピードで“天才アニメーター”と呼ばれ、「わんぱく王子の大蛇退治」(63)では大塚康生と共に半年をかけて300カットものクライマックスの大蛇退治シーンの原画を担当するなど、その才能を早くから開花させた。東映動画の初のテレビアニメ『狼少年ケン』(63~65)では、原作とキャラクター設計および、初期の演出や原画までも務めた。同社退社後は虫プロなど様々なアニメ制作会社に参加して後進育成を行った他、アニメーション作家として「タバコと灰」(65)など数々の短編アニメーションを手掛け、「新・天地創造」(70)ではポーランドのクラクフ国際短編映画祭でグランプリを獲得。多数のアニメCMやNHK『みんなのうた』(『北風小僧の寒太郎』『サラマンドラ』他)などでも活躍した。現在は、国内外の大学で教鞭を執り後進の指導を行う他、日本動漫協会の理事長なども務めている。作家性と独自の発想により生み出された技術で、アニメの黎明期を支えた一人である。
会長功労賞
(C)日本アカデミー賞協会
撮影:笹原清明 ©双葉社
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞草笛光子【俳優】


【映画人生を振り返って】
はじめての映画出演は「純潔革命」(川島雄三監督)でした。以後、成瀬巳喜男監督作品、森繁久彌さんの「社長シリーズ」、市川崑監督の「金田一耕助シリーズ」、直近の「老後の資金がありません!」(前田哲監督)まで気付けば100本以上の映画に出演していました。これからも女優として真摯に役に向き合い精進して参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。


【受賞者紹介】
主に50年代は松竹、60年代は東宝で活躍したが、50年に松竹歌劇団(SKD)に5期生として入団し、瞬く間に人気スターとなる。SKD在籍中、松竹の「純潔革命」(53)で映画デビュー。56年、東宝に移籍し、「続・社長道中記」(61)以降の「社長シリーズ」や、「乱れる」(64)「女の中にいる他人」(66)「乱れ雲」(67)などの成瀬巳喜男監督作品に助演。テレビ黎明期の58年5月から60年12月まで、日本テレビの音楽バラエティ番組『光子の窓』の司会で、お茶の間の人気者となる。70年代以降は舞台で活躍するが、市川崑監督「金田一耕助シリーズ」全5作(76~79)、06年の「犬神家の一族」リメイク版にも出演。近年も「殿、利息でござる!」(16)「ばぁちゃんロード」(18)「老後の資金がありません!」(21)など映画出演を精力的に続け、21年3月からは『週刊文春』誌にエッセイ〈きれいに生きましょうね〉の連載もスタートし、健筆をふるっている。99年紫綬褒章、05年旭日小綬章、18年第34回山路ふみ子文化財団特別賞を受賞。

【受賞歴】第45回「老後の資金がありません!」で優秀助演女優賞初受賞
優秀賞戸田奈津子【映画字幕翻訳】


【映画人生を振り返って】
字幕翻訳を志して、長い歳月はかかりましたが、念願を達して約半世紀。
振り返ればいつの間にか1500本を越える作品に関わってきました。
好きな映画にどっぷり浸かり続けた幸せな歳月。映画に心から感謝を捧げます。

【受賞者紹介】
津田塾大学英文学科を卒業後、翻訳や通訳の仕事をしながら故・清水俊二氏に師事する。70年、「野性の少年」(69)で念願だった映画字幕翻訳を初めて手掛けるが、しばらくは年間2~3本の字幕翻訳を担当しつつ、翻訳や通訳の仕事を継続。76年にフランシス・F・コッポラ監督の来日時の通訳を務め、「地獄の黙示録」(80)の撮影現場にも同行したのを機に、同監督の推薦で同作の字幕翻訳を担当。以降より広く知られるようになり、本格的なプロの映画字幕翻訳者として、年間40~50本の字幕翻訳を手掛ける。「E.T.」(82)や「タイタニック」(97)から「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(21)まで、1500本以上もの字幕翻訳に携わり、洋画字幕翻訳の第一人者としての地位を確立した。ハリウッドの映画人との親交も深く、来日スターの通訳を務めることも多い。映画字幕に関する講演の他、神田外語大学客員教授や神田外語学院アカデミックアドバイザーを務めるなど、後進育成も行っている。著書も多く『スターと私の映会話!』(集英社)『KEEP ON DREAMING』(共著/双葉社)などがある。92年第1回淀川長治賞、03年度文化庁長官表彰、05年第22回山路ふみ子文化賞、16年第34回川喜多賞を受賞。
優秀賞野上照代【記録・黒澤組プロダクションマネージャー】


【映画人生を振り返って】
父のすすめでみた伊丹万作監督の映画が凡ての始まりで、私は幸運にも黒澤明監督が「羅生門」を撮る時記録係につかせて貰い、黒澤作品スタッフとなりました。そして《映画》という他の表現とは全く異なった素晴らしさを知ることが出来ました。

【受賞者紹介】
スクリプターとして、黒澤明作品を一貫して支え続ける一方、プロダクション・マネージャー、そしてエッセイストとしても旺盛な活動を続ける野上氏は、終戦時、病床の伊丹万作監督に師事し、その縁で49年、大映京都撮影所に入所し、スクリプター見習いとなる。50年、黒澤明監督「羅生門」にスクリプターとして参加し、51年、東宝に移り「白痴」(51)以外の全黒澤作品に記録、編集、制作補として関わる。その後、CM制作などを手掛けるが、黒澤明の遺稿脚本「雨あがる」(00)では、プロダクション・マネージャー兼監督補を務める。黒澤監督との想い出を綴った回想記『天気待ち 監督・黒澤明とともに』(文藝春秋)『もう一度天気待ち 監督・黒澤明とともに』(草思社)を上梓。また84年には、戦前獄中にあったドイツ文学者の父と家族との交流を描いたノンフィクション『父へのレクイエム』で、第5回読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞の優秀賞を受賞。同作は、山田洋次監督によって「母べえ」(08)の題名で映画化される。日本映画史を伝承する貴重な役割を現在も果たし続けている。85年第9回山路ふみ子映画功労賞、05年度文化庁映画賞・映画功労部門、10年第28回川喜多賞、14年第69回毎日映画コンクール特別賞、20年第94回キネマ旬報ベスト・テン特別賞を受賞。

【受賞歴】第34回協会特別賞受賞
優秀賞野沢雅子【声優】


【映画人生を振り返って】
叔母の影響で3歳から芝居を始め、所属していた劇団の運営の助けになればと足を踏み入れた声優の世界。最初はお客様の反応が直に判る舞台が好きでしたが、今は声だけで命を吹き込む声優という仕事が最高と思っています。


【受賞者紹介】
物心がつく前から子役として映画などに出演。劇団に所属していた10代後半に洋画の吹替で声優デビュー。『鉄腕アトム』(63~66)のゲスト出演以降、アニメーション作品の声優も務めるようになり、68~69年放送の『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎役で初主演。以降も『いなかっぺ大将』(70~72)の風大左衛門、『ど根性ガエル』(72~74)のひろし、『ガンバの冒険』(75)のガンバ、『銀河鉄道999』(78~81)の星野鉄郎、『トム・ソーヤーの冒険』(80)のトムなどの人気アニメの主役を演じた他、多数の作品に出演。86年からは鳥山明原作の国民的大人気アニメ『ドラゴンボール』シリーズで主人公の孫悟空やその息子役などを演じており、日本を代表する声優の草分けの一人ながら現在も第一線で活躍し続けている。17年には短編アニメ映画「風のように」で第26回日本映画批評家大賞の声優賞を受賞。様々なナレーションも行う他、劇団ムーンライトの主宰・演出や日本俳優連合の副理事長なども務めている。また、長年の功績に対して、13年第7回声優アワードの功労賞、14年東久邇宮文化褒賞、18年平成30年度・児童福祉文化賞特別部門をそれぞれ受賞している。
優秀賞森英恵【衣裳】


【映画人生を振り返って】
映画衣裳の仕事が評価され、嬉しく存じます。1954年の「かくて夢あり」にはじまり1960年代にかけ、主演女優の衣裳を中心に数百本にのぼる作品を手掛けました。日本を代表する監督たちから、人間に対する洞察、衣裳による性格や感情の表現など多くのことを学びました。私のデザイナー人生にとっての貴重な経験だったと、いまも思っています。

【受賞者紹介】
“主役は服ではなく、それを着る人間” “デザイナーは裏方”という、その姿勢は、日本映画史を鮮やかに彩り、銀幕の中に華麗なる世界を創造した。大学卒業後、ドレスメーカー服装学院に通い、51年、新宿東口に洋装店『ひよしや』を開業。50年代の日本映画黄金時代に、斬新な企画や新しい映画作りを目指す日活映画が、「かくて夢あり」(54)の衣裳を発注し、以後7年間で500本以上の映画において、主演助演の重要な役どころの衣裳を手掛ける。小津安二郎、渋谷実、吉村公三郎、木下惠介、川島雄三監督らから信頼を寄せられ、常に台本を4~5冊持ち歩き、飛び回る生活で、その後の海外進出への実務能力を培った。62年渡仏、65年にニューヨークへ進出し、海外初の日本人コレクションを発表。インテリア、TV、レストラン、美容院経営など、美を追求する幅広い分野で活動を続け、国内6社、海外4社のハナヱ・モリ・グループを築くに至る。参加した映画の代表作に「狂った果実」(56)「秋刀魚の味」(62)「スパイ・ゾルゲ」(03)などがある。96年文化勲章、02年仏レジオン・ドヌール勲章オフィシエを受章。
優秀賞山﨑努【俳優】


【映画人生を振り返って】
今、自分の経歴を書いているのだが、他人に披露するような半生ではないので、なるべく距離をとって「山﨑の努くん」を追う。するとお世話になった方々の描写の羅列になってしまう。この賞、まさに皆様のおかげです。

【受賞者紹介】
主演であれ、助演であれ、画面に登場するや、強烈な印象を残す名優であり、その出演歴は映画、TVのみな
らず、日本映画史の一角を確実に担ってきたといえる。59年に俳優座養成所を経て文学座に入団し、舞台俳優として活動。岡本喜八監督「大学の山賊たち」(60)で映画デビュー。黒澤明監督「天国と地獄」(63)で冷徹な誘拐犯人を演じて一躍注目され、「赤ひげ」(65)「影武者」(80)でも黒澤作品に出演。「お葬式」(84)「タンポポ」(85)「マルサの女」(87)など伊丹十三監督作品に連続して主演し、各映画賞を総なめにする一方、「スローなブギにしてくれ」(81)「利休」(89)「僕らはみんな生きている」(93)「GO」(01)などにも出演し、実力派俳優として不動の地位を確立する。近年も「日本のいちばん長い日」(15)「モリのいる場所」(18)「長いお別れ」(19)などに出演。著書『俳優のノート』(メディアファクトリー、文藝春秋)『柔らかな犀の角』(文藝春秋)は、役柄の人物を通して、その人物を生きることを明解に呈示し、演技を志す者にとってのバイブルになっている。00年紫綬褒章、07年旭日小綬章を受章。

【受賞歴】第11回「マルサの女」第8回「お葬式」「さらば箱舟」で最優秀主演男優賞、第32回「おくりびと」第25回「GO」で最優秀助演男優賞、第26回「模倣犯」第17回「僕らはみんな生きている」第13回「ハリマオ」「舞姫」「利休」で優秀助演男優賞受賞。第3回「夜叉ヶ池」で助演男優賞ノミネート
岡田茂賞
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞京都アニメーション


【受賞コメント】
スタッフ一同、たいへん喜んでおります。これからもよりたくさんの人に楽しんでいただける作品を作っていくよう、努めてまいりたいと思います。 [石原立也 取締役]

【受賞プロダクション紹介】
虫プロダクションで仕上げの仕事などを学んだ創業者が、京都へ移住後、81年頃より“京都アニメスタジオ”として、アニメに興味のあった主婦などとともに、東京の各アニメ制作会社の作品の仕上げなどの下請けを京都で行い始める。85年に京都アニメーションを設立。86年に作画部門を立ち上げ、動画の下請けも開始。90年代以降、次第に編集・音響以外の映像制作の全工程を自社で行える体制を整えていき、TVアニメ1話まるごと制作を請けるグロス請けも開始。業界内でその質の高さが評判となり、02年からは元請けも開始。05年の『AIR』などで、アニメファンからも注目を集めるようになり、“京アニ”の愛称でブランド化。06年、ライトノベル原作のTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が斬新な演出で話題となり、09年には漫画原作のTVアニメ『けいおん!』が11年の劇場版も含め大ヒット。09年はオリジナル企画『MUNTO』シリーズ(03~09)の「天上人とアクト人 最後の戦い」で劇場版製作にも進出した他、第1回京都アニメーション大賞をスタート。文庫レーベルも立ち上げて、受賞作や文庫化作品のアニメ化を行うようになり、劇場版も製作されたTVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(18)などのヒット作を送り出す。安定した高い技術力により、『Free!』シリーズ(13~)、『響け!ユーフォニアム』シリーズ(15~)、「映画『聲の形』」(16)などの人気作を多数手掛け、地方拠点のアニメーション製作の先鞭をつけた。
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞東映アニメーション


【受賞コメント】
アニメーションという世界言語で、元気、勇気、希望をこれからも世界中に届けたいと思います。[清水慎治 顧問]

【受賞プロダクション紹介】
56年、東洋のディズニーを目指して、東映動画を設立。57年、同社初の短編アニメーション「こねこのらくがき」を完成させ、58年には約2年半の製作期間をかけた日本初の長編カラーアニメーション映画「白蛇伝」を公開。以降も「わんぱく王子の大蛇退治」(63)「太陽の王子ホルスの大冒険」(68)「長靴をはいた猫」(69)など多数の名作長編映画を製作。63年からは、同社初のTVアニメシリーズ『狼少年ケン』が放送開始し、TVアニメの製作にも参入。“魔法少女シリーズ”の第1作目となる『魔法使いサリー』(66~68)にて、カラーのTVアニメ製作も67年から開始。『マジンガーZ』(72~74)『キャンディ♡キャンディ』(76~79)『Dr.スランプ アラレちゃん』(81~86)『美少女戦士セーラームーン』(92~97)など、数々のTVアニメを製作し、大ヒットさせる。98年に商号を東映アニメーションに変更。劇場用アニメやTVアニメの企画・製作の他、キャラクターのライセンスビジネスや海外展開なども行い、現在も『ドラゴンボール』シリーズ(86~)、『プリキュア』シリーズ(04~)、『ON E PIECE』(99~)など、多数の人気シリーズのTVアニメや劇場用アニメなどを製作。日本初の大規模アニメ製作スタジオとして、日本のアニメーション文化を牽引し続けており、故・大塚康生、故・高畑勲、月岡貞夫、宮崎駿、細田守など、数々の才能も輩出してきた。
会長特別賞
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)Junichi Takahashi
優秀賞大塚康生【アニメーター】 3月15日没 享年89


【受賞者紹介】
日本を代表するアニメーター。山口県庁に勤務するが、政治漫画に憧れて上京。厚生省の麻薬取締官事務所に勤務しながら漫画を描いていたが、ポール・グリモー監督の長編アニメーション「やぶにらみの暴君」(55)に感動し、アニメーションの道を志す。56年、東映動画(現:東映アニメーション)第1期生として、日本初の本格的なカラー長編アニメーション映画「白蛇伝」(58)の原画や動画を担当。以後、東映動画初期の長編の多くに原画として関わり、宮崎駿、高畑勲両監督と出会う。宮崎監督のTVアニメ『未来少年コナン』(78)映画「ルパン三世カリオストロの城」(79)、高畑監督の映画「太陽の王子ホルスの大冒険」(68)の作画監督として二人の本格的な監督デビュー作を支えた功績は大きい。“アニメーターは演技者である”と定義して、キャラクターの動きにこだわる。68年東映動画退社後は、Aプロダクション(現:シンエイ動画)に移籍し、TVシリーズ『ムーミン』(69~70)、『ルパン三世』第1シリーズ(71~72)などに関わり、後進の指導育成にも積極的にあたる。著書に『作画汗まみれ』(徳間書店、文藝春秋)『大塚康生インタビューアニメーション縦横無尽』(実業之日本社)などがある。02年文化庁長官表彰。

【受賞歴】第42回協会特別賞受賞
優秀賞原正人【プロデューサー】 3月17日没 享年89


【受賞者紹介】
今井正、山本薩夫監督などの下で制作宣伝として第1期独立プロ運動に参加したのち、58年に日本ヘラルド映画に入社。独自の宣伝哲学で数多くのヒット作を生み、ミニシアターブームの基礎を作り、プロデューサーとして、ベテランから若手クリエイターまで様々な才能と組んで話題作を送り出した。「小さな恋のメロディ」(71)「エマニエル夫人」(74)「地獄の黙示録」(80)などの洋画ヒット作を生む傍ら、黒澤明監督「デルス・ウザーラ」(75)「乱」(85)大島渚監督「戦場のメリークリスマス」(83)、そして「瀬戸内少年野球団」(84)「失楽園」(97)「不夜城」(98)など邦画製作にも携わる。81年、ヘラルド・エースを設立し、輸入、配給でミニシアターブームを起こす。98年、アスミックと合併、アスミック・エース・エンタテインメントと社名変更し、代表取締役社長に就任。その後、同社会長、相談役を経て、16年まで特別顧問を務める。02年にはプロデューサーズアカデミアを設立。著書に『映画プロデューサーが語るヒットの哲学』(日経BP社)がある。93年仏芸術文化勲章オフィシエ、01年第10回淀川長治賞、02年第23回山路ふみ子文化財団特別賞受賞。

【受賞歴】第9回特別賞企画賞受賞
優秀賞田中邦衛【俳優】 3月24日没 享年88


【受賞者紹介】
「若大将」シリーズ(61~71、81)では、若大将にライバル心を燃やす“青大将”をコミカルに演じ、「網走番外地」シリーズ(65~72)や「仁義なき戦い」シリーズ(73~74)では個性的なキャラクターで画面をさらい、「若者たち」3部作(68~70)の生真面目な長男役では観客の共感を集めた。55年俳優座養成所に入所、今井正監督「純愛物語」(57)で映画デビュー。俳優座を退団後は、73年から77年まで“安部公房スタジオ”に参加し、その後フリーに。どんな役柄を演じても憎めない人間像を創造し、独特の垂れ目と巻き舌の話し方が注目され、心優しい好人物から悪役まで変幻自在の演技力で、主役から脇役まで数多くの映画やTVに出演した。代表作に「アフリカの光」(75)「黒木太郎の愛と冒険」(77)「ウホッホ探検隊」(86)「タスマニア物語」(90)「おいしい結婚」(91)「学校」(93)「みんなのいえ」(01)「福耳」(03)などがあり、国民的ドラマ『北の国から』(81~02)では、朴訥な父親を演じて多くの人に愛された。99年紫綬褒章、06年旭日小綬章を受章。

【受賞歴】第17回「学校」「子連れ狼 その小さき手に」「虹の橋」で最優秀助演男優賞、第25回「みんなのいえ」第12回「この胸のときめきを」「優駿」「妖女の時代」「TOMORROW 明日」第7回「居酒屋兆治」「三等高校生」「逃がれの街」で優秀助演男優賞受賞。第2回「ダイナマイトどんどん」で助演男優賞ノミネート
優秀賞千葉真一【俳優】  8月19日没 享年82


【受賞者紹介】
アクションに懸ける情熱は国内のみならず、海外からも高く評価され、「エイセス 大空の誓い」(92)や「キル・ビル」(03)などのハリウッド映画にも出演、“サニー千葉”として世界中から愛された。57年、日本体育大学在学中に、東映ニュー・フェイスとして合格し、61年「警視庁物語 不在証明」で映画デビュー。深作欣二監督の初期アクション映画に主演したのち、「やくざ刑事」シリーズ全4作(70~71)「ボディガード牙」シリーズ全2作(73)「殺人拳」シリーズ全4作(74~76)などに主演。空手アクション映画でヒット作を連発する。69年以降は、ジャパンアクションクラブ(JAC/現:ジャパンアクションエンタープライズ)を主宰し、真田広之や志穂美悦子、堤真一ら多くのアクション・スターを育成するとともに、「戦国自衛隊」(79)や、「将軍家光の乱心 激突」(89)などではアクション監督を務める。代表作に「日本暗殺秘録」(69)「仁義なき戦い広島死闘篇」(73)「柳生一族の陰謀」(78)「闇の狩人」(79)「魔界転生」(81)「里見八犬伝」(83)などがあり、「リメインズ 美しき勇者たち」(90)では監督にも挑戦した。

【受賞歴】第2回「柳生一族の陰謀」で助演男優賞ノミネート
優秀賞澤井信一郎【監督・脚本】 9月3日没  享年83


【受賞者紹介】
61年、東京外語大卒業後、東映に入社し、マキノ雅弘、鈴木則文監督らに師事。長年の助監督生活で培われた経験と技量は、監督作品の中で遺憾なく発揮され、奇を衒わぬ正攻法の情感溢れる演出で、松田聖子、薬師丸ひろ子、後藤久美子ら当時の新人女優たちの魅力を見事に開花させた。「野菊の墓」(81)で監督デビュー。和田誠監督「麻雀放浪記」(84)の脚本に参加後、共同脚本と監督を務めた「Wの悲劇」(84)では、夏樹静子の原作に大胆な脚色を施し、第39回毎日映画コンクールの日本映画大賞受賞をはじめ、各映画賞を総なめにした。その後も「早春物語」(85)「めぞん一刻」(86)「恋人たちの時刻」(87)「ラブ・ストーリーを君に」(88)「福沢諭吉」(91)「わが愛の譜 滝廉太郎物語」(93)「日本一短い『母』への手紙」(95)「時雨の記」(98)「蒼き狼 地果て海尽きるまで」(07)など、アイドル映画から伝記もの、メロドラマや大作まで幅広いジャンルの作品を手掛けた。著書に『映画の呼吸 澤井信一郎の監督作法』(ワイズ出版)がある。93年第14回山路ふみ子文化財団特別賞受賞。

【受賞歴】第9回「早春物語」「Wの悲劇」で最優秀監督賞、第17回「わが愛の譜 滝廉太郎物語」で優秀監督賞と優秀脚本賞、第9回「Wの悲劇」第8回「麻雀放浪記」で優秀脚本賞受賞
優秀賞髙岩淡【東映株式会社 元代表取締役社長・製作】 10月28日没 享年90


【受賞者紹介】
54年に東映入社。その後、異父兄である檀一雄原作「火宅の人」(86)をはじめ、「赤穂城断絶」(78)「野菊の墓」(81)「北の螢」(84)など数々の東映作品を製作。68年東映撮影所製作部長、71年取締役京都撮影所長になり、75年には京都撮影所のステージや時代劇セットを利用し、東映太秦映画村として開村、一般公開する。78年には常務取締役、86年専務取締役を経て、93年には岡田茂から引き継ぎ、代表取締役社長に就任する。02年には岡田裕介の社長就任に伴い、代表取締役会長となる。その間、製作した映画の代表作として、「鉄道員(ぽっぽや)」(99)「ホタル」(01)「陽はまた昇る」(02)「男たちの大和/YAMATO」(05)などがある。91年には東映音楽出版社長、93年東映化学工業(現:東映ラボ・テック)相談役、94年東映動画(現:東映アニメーション)取締役、96年東映ビデオ社長も歴任。06年東映取締役相談役になり、12年6月からは一切の役職から退き、東映を退社する。12年には、第46回牧野省三賞受賞著書に『銀幕おもいで話』(双葉社)がある。日本アカデミー賞協会において、第4回~第11回運営委員長、第12回~第18回事務局長、第19回~第26回組織委員会会長と23年の長きにわたり日本アカデミー賞を支えた。
優秀賞ワダエミ【衣装デザイン】 11月13日没 享年84


【受賞者紹介】
黒澤明監督「乱」(85)で、第58回米アカデミー賞最優秀衣装デザイン賞を受賞。脚本を読み込んだ上で、登場人物に合った生地選びや染色にも徹底的にこだわった、その素晴らしいセンスが世界的に評価された。58年、京都市立美術大学(現:京都市立芸術大学)卒業後、夫であるNHKディレクター、故・和田勉が演出した舞台『青い火』を機に、衣装デザイナーとなる。73年の日米合作映画「マルコ」以降、映画の衣装デザインを手掛ける。「鹿鳴館」(86)や「竹取物語」(87)「ハリマオ」「利休」(89)「夢」(90)「御法度」(99)「ある船頭の話」(19)などの日本映画だけではなく、ピーター・グリーナウェイ監督「プロスペローの本」(91)「ピーター・グリーナウェイの枕草子」(97)、メイベル・チャン監督「宋家の三姉妹」(98)、チャン・イーモウ監督「HERO」(02)など海外作品も積極的に関わる。“国や資本がどこであろうと、消えていきそうなものを伝えたい”という想いは、映画のみならず、オペラや舞台作品でも具現化された。著書に『私という衣装』『ワダエミの衣装』(求龍堂)がある。19年第42回山路ふみ子映画功労賞受賞。
特別追悼
優秀賞福本清三【俳優】


6月11日没 享年88
1月1日没 享年77
第27回協会特別賞受賞
優秀賞前田米造【撮影】


7月6日没 享年85
第44回会長功労賞受賞

坂本スミ子
【俳優・歌手】 
1月23日没 享年84
井上陽一
【活動弁士】 
2月9日没 享年82
成澤昌茂
【監督・脚本】 
2月13日没 享年96
村山新治
【監督】 
2月14日没 享年98
山崎剛太郎
【字幕翻訳・詩人】 
3月11日没 享年103
田村正和
【俳優】 
4月3日没 享年77
隆大介
【俳優】 
4月11日没 享年64
藤原啓治
【声優・俳優】 
4月12日没 享年55
菊池俊輔
【作曲・編曲】 
4月24日没 享年89
江原達怡
【俳優】 
5月1日没 享年84
亀石征一郎
【俳優】 
7月11日没 享年82
ジェリー藤尾
【俳優】 
8月14日没 享年81
山内静夫
【プロデューサー】 
8月15日没 享年96
辻萬長
【俳優】 
8月18日没 享年77
二瓶正也
【俳優】 
8月21日没 享年80
二代目
中村吉右衛門
【俳優】 
11月28日没 享年77

映画界に多大なる功績を残され2021年に逝去された映画人(没日順)

話題賞
(C)カラー

作品部門:「シン・エヴァンゲリオン劇場版」


総監督・脚本:庵野秀明
監督:鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏
製作:カラー
(C)2021『花束みたいな恋をした』製作委員会

俳優部門:菅田将暉


対象作品「花束みたいな恋をした」
監督:土井裕泰 脚本 :坂元裕二
製作:TBSスパークル/東京テアトル/テレビ東京/ジェイアール東日本企画/フラーム/CBCテレビ/MBS/朝日新聞社/KDDI/テレビ大阪/BSテレビ東京/TCエンタテインメント/フィルムメイカーズ/リトルモア