レビュー一覧
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村松健太郎さん(33歳) 「ダークナイト ライジング」 7月27日 109シネマズ川崎IMAXシアターにて |
前作から八年後の世界。ハービー・デント(=トゥーフェイス)の罪を一身に背負い、そのまま闇に消えたブルース・ウェイン(=ダークナイトことバットマン)。正義を託した男が狂気に落ち、愛すべき女性を失ったブルースは 心身に深い傷を抱えたまま隠遁生活を送っていた。犯罪者、マフィアは一掃され、かつての平和を取り戻したゴッサムシティ。警察の最前線に立ち続けたゴードン本部長にも引退の噂が立ち始める。そんな中、ブルースの前にセリーナ・カイル(=キャットウーマン)が現れる。さらに、その後ろに何者かの存在を感じたブルースは徐々にダークナイトとして感覚を取り戻し始める。そんな彼の前に立ちはだかる正体不明の戦士ベイン。彼はダークナイト=ブルースだけでなく、ゴッサムシティをターゲットにした計画を練っていた。 ベインはジョーカーに比べると認知度の低い悪役ではあるものの、原作シリーズではダークナイトを一時引退に追い込んだほどの強敵。映画でも容赦の無い攻撃ぶりを発揮する。前作から引き続きのクリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲーリー・オールドマンらレギュラー陣に加え、過去のキャラクターの存在も語られる。初登場のアン・ハサウェイはアクションの適応能力を見せてバットポッドを乗り回し、ジョセフ・ゴードン=レヴィットは若き刑事を熱演。そして肉体改造をしたトム・ハーディは最強のブルファイターベインとして圧倒的な存在感で立ちはだかる。 「バットマンビギンズ」(05)「ダークナイト」(08)との密接なストーリー展開に加えて、劇中の伏線もしっかりと完結させるクリストファー・ノーランの手腕は見事の一言に尽きる。周囲の期待値の高さは相当なプレッシャーとなっていたであろうがそれを跳ね除けて3時間近い上映時間でありながら、だれることなく作品創り上げた。 そのリストファー・ノーラン、大仕事の後、目下「Man Of Steel」(鋼鉄の男=スーパーマン)の再々映画化を「300」(07)「ウォッチメン」(09)のザックスナイダーと進行中。同じ製作者のもとにDCコミックスの2TOPが集うとなると今回ダークナイトの伝説は終焉したが、アメリカンコミックファンとしてはさらなる“夢の続き”を期待せざるを得ない。 |
横沢佑真さん(20代/飲食業) 「仮面ライダーフォーゼTHE MOVIE みんなで宇宙キターッ!」 8月6日 丸の内TOEIにて |
世界よ、これがヒーローだ。 胸を張ってそう断言できる映画を僕はたくさんのチビッコたちに囲まれながら鑑賞した。今回、劇場内で印象に残ったのが、スクリーンで大暴れする仮面ライダーフォーゼを見つめているチビッコの目の輝きだ。もう10何年も昔に、『後楽園ゆうえんちでボクと握手!』していた僕もきっとあんな眼差しで歴代のライダー、日本の誇るヒーローの活躍を見守っていたことだろう。 なんといってもアツい。勿論、外はうだるような暑さだし、足の裏の古い角質は驚異的かつ脅威的な厚さなのだけれども、それに負けじと本作の主人公が熱いのだ。イマドキ、ギャグにしか受け取れないような熱血青年のセリフ一言一言。それがやたら清々しく、気持ちいい。やはりヒーローは、日本のヒーローたるものは、弦太朗、もといフォーゼのように漢気(おとこぎ)溢れる人物じゃなくっちゃあいけない。横にクールな相棒、流星、すなわちメテオがついていればもう間違いない。 物語は地球を救うヒーローとして、仲間との友情あり涙あり、どんでん返しありと小気味のよい王道パターン。なおかつ、合間に入る笑いを誘うシーンと細かいネタがタイミングよく、世界観を飽きさせない。そして、迫力のあるアクションシーン!! 子供向け特撮映画とは思えないほどの完成度はただただ感動を覚えた。 とにかく、この映画はチビッコたちだけではなく、日本の、かつてチビッコだった方も観るべし。アメコミの登場人物なんかには負けない。日本のヒーローには友情パワーと変身ベルトがついていることだし。 (同時上映「特命戦隊ゴーバスターズTHE MOVIE 東京エネタワーを守れ!」も楽しく観させて頂きました) |
宮本さん(女性/19歳/学生) 「ヘルタースケルター」7月28日 新宿ピカデリーにて |
勢い!の映画でした。勢いがすごい。猛スピードに身をまかせている間に終わってしまう感じ。蜷川ワールド全開だからか、脚本が素晴らしいのか。そしてなんと言っても主演の沢尻エリカさんの美しさの説得力も素晴らしかったです。「全身整形」と言われても不自然じゃないのがすごい。 脇を固める俳優陣も見事で、特に寺島しのぶさんの配役には驚きました。原作では年齢的にもっと下の初々しい女性だったはず。ですが寺島さんが演じることによってこのマネージャーの狂気というか、危うさがよりストレートに伝わってきて、「やられた」と思いました。このような原作のキャラとは微妙に違う配役がとても上手で印象に残りました。窪塚さんの怪しさも素敵でした。また、キャラクター的に一番良かったのは水原希子さん演じる吉川こずえだったと思います。彼女は「私たちはただの欲望処理装置」と主張しますが、そんなふうに割り切ってしまっているこずえの方が、りりこよりも今の時代に合っていてよりリアルな存在に思えました。彼女は時代の変化の象徴的存在でもあったのかなと感じました。 勢い良く進むストーリー、過激な場面。エンターテインメントとして大勢の観客の期待をクリアできる作品であったかと思います。好き嫌いは別れるとは思いますが、個人的にはこれで良かったと思います。性描写の長さにはちょっと飽きましたけれど(笑)。欲を言えば、実際の芸能界で正統派の清純派で通ってる女優さんが、りりこを演じるのも見たかったかな。 |