レビュー一覧
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丸山美歌さん 「サンダーボルツ*」 5/9(金) 新宿バルト9にて鑑賞 |
熱心なファンの方が多く、長年愛されている「マーベル」シリーズ。私はマーベル初心者であり、おすすめするのも恐れ多いのですが、本作に心揺さぶられたので紹介いたします。 チームサンダーボルツは、みなトラウマを抱え孤独を背負い、負け犬とも罵られる、ならず者たち。ヒーローでもない彼らは己の過去と向き合いながら力を合わせ、世界の危機に立ち向かいます。 作中で、自分ひとりで抱え込むのは限界がある、誰かに悩みを話しても虚しさは消えない。でも少し楽になる。というようなセリフがありました。誰だって孤独。八方塞がりになってどうにもならないときもある。弱さを隠し孤独でいることに慣れてしまっていても、どこか寂しく虚無感が伴います。そんなとき誰かが近くにいてくれる安心感は何ものにも代え難い要素だと思いました。 マーベルと聞くとハードルが高いと感じる方も多くいるかと思います。ただ本作は未鑑賞の方が予備知識なしでも充分に楽しめます。そして登場人物の背景を知りたい、他のマーベル作品を観てみたいと思うきっかけにもなる作品だと思います。弱った心に優しく寄り添ってくれるストーリー性の強いマーベル作品。迫力ある爽快なアクションシーンは劇場の大画面でぜひご鑑賞ください。 |
河村あずささん 「サブスタンス」 5/18(日) T・ジョイ エミテラス所沢にて鑑賞 |
今回私がご紹介したい作品は「サブスタンス」です。デミ・ムーア演じる50歳になった元人気スターのエリザベス。老化に抗うべく禁断のアンチエイジング薬に手を出した彼女の行く末を描いたこのボディ・ホラー作品は、ルッキズムに囚われる現代人への社会的メッセージとホラーを融合させた、劇薬のような作品です。 私は今までホラー作品は、苦手なこともあり映画館で観賞したことがありませんでした。けれどこの作品は、若さと美しさに執着し、それを失うと自分の価値が下がるような気がしてしまうという、誰しもが一度は感じたことのある身近な思いをどうホラーとして描くのか興味をもち、観賞しました。結果、あの世界観を映画館で体験できて本当に良かったです。 確かにグロテスクなシーンも多くありましたが、次の展開が気になりすぎて、このようなホラーなら大丈夫という方も多い気がします。 また、カメラワーク、音の使い方、色彩、アンチエイジング薬『サブスタンス』のパッケージから説明書のフォント、細部にまで監督のセンスが光っていて、監督が作り出す個性的で斬新な世界観がとても魅力的でした。そして役者と役柄がまるで地続きになっているような感覚で見ることができることで、作品の説得力やメッセージ性が増し、ここまで曝け出して演じたデミ・ムーアにとても感動しました。 是非多くの方にこの劇薬作品を映画館で接種し、若さとは、美とは、自分の価値とはを考えるきっかけにして欲しいです。 |