レビュー一覧
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林啓輔さん(男性/20代) 「ファイティング・ファミリー」 12月5日(木) TOHOシネマズなんばにて |
イギリス北部でレスリング・ジムを営むレスリング一家。中1からリングに立つ18歳の長女と、プロレスも好きだが結婚して家庭も持ちたい兄。いつかはWWEに出場し、一家を盛り上げたいと願っていたところ、ある日トレーナーに誘われ、憧れのWWEのトライアウトに参加することとなる……。 実話をもとにした作品で、イギリスのプロレス現状やWWEの規模感などプロレスに対しての描写がとても丁寧。プロレス好きな人、映画好きにはたまらない“あの”ロック様こと、ドウェイン・ジョンソンがロック役(本人役)で出演する贅沢な演出。プロレス一家のドタバタホームコメディかと思いきや、性別や障害を越えて夢への挑戦と挫折、自分の才能との葛藤、兄弟愛や仲間との友情など様々テーマが詰まっている。登場人物みな愛らしいキャラクターで、プロレスを知らなくても十分に楽しめる! 劇中でもあった『プロレスはやらせでしょ?』プロレスファンとそうでない人の間で認識の差があるのは事実。私も日本のプロレスを見に行くことがありますが、プロレスはドラマでありリアル。劇中のセリフであった『脚色された世界だが、嘘は見抜かれる』は、プロレスのみならず、すべてのエンターテイメントに当てはまる言葉。筋書きの中、全力で戦う死闘に我々は胸を打たれる。本作の、リングに上がるまでの血のにじむような努力とリング上での死闘を見たあとに、きっと同じことは言えないはず。この映画を見たときの熱量でプロレスを好きになっていると思う。 余談ですが、エンドロールで流れる本人映像の再現度が高すぎて、また別の充実感に浸れる。本気の熱量や努力の先には必ず道が開ける、そんな忘れかけていたことを思い出させてくれる熱くてあったかい作品だ。 |
中村千春さん(女性/20代) 「LIFE ITSELF ライフ・イットセルフ」 11月30日(土) TOHOシネマズ日比谷にて |
海外ドラマ『THIS IS US』のダン・フォーゲルマン監督・脚本の作品。世代も国籍も異なる2つの家族が、ある事故を通して複雑に交差し、壮大な物語になる人間ドラマ。『生と死』をテーマに過去からのメッセージが 未来へ導く…こんなミラクルなことは簡単には起きないだろうけど、人生は誰かの出会いによって繋がっているということを知らされます。構成が5章というチャプターで成り立っていて、ボブ・ディランの曲にのせたストーリー展開がとても素敵でした。「どんな形であれ人は必ず死ぬ」どこか哲学的な要素が含まれていると感じます。人の死、誰にだってやってくる瞬間。幸いにも私はまだ身近な人の死を経験していないのですが、そこを乗り越えるためのきっかけや勇気をくれるような気がしました。 自分の人生について考えさせられ、人はいろんな人と交わりながら生きているということに気付かされます。誰もが人生の主役であること、人それぞれの人生にはストーリーがある。どんなことが起こったとしても、自分の人生をうまくコントロールしていくのは自分であるということを、登場人物たちを見ていて思います。それぞれの人生への向き合い方に心があたたかくなりました。感動的なラスト。優しく後味が良い映画です。 |