レビュー一覧
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村松健太郎さん(33歳) 「外事警察 その男に騙されるな」 2月13日 試写会にて |
それは、日本警察内部に実在しているものの、その動向は徹底的に秘匿され決して表に出ることはない公安警察。その中でも、任務のためには手段を選ばず、部外の民間人ですら協力者に仕立て上げることもあることから、同じ秘密主義を掲げる公安部内からも“公安の魔物”と称される警察庁公安部外事課の住本健司。彼とそのチーム 外事課四係を中心に、時には“スパイ天国”とさえ揶揄される現代の日本における防諜というテーマを、権力側の闇とも言うべき公安警察の視点から斬り込んだNHKドラマが待望の映画化。 ドラマシリーズのラストでさらなる闇に身を置いた住本は朝鮮半島内を舞台とした核テロを未然に防ぐ為に、韓国で老科学者 徐昌義の保護に動いていた。徐は日本で原子力技術を学び某国へ渡ったものの過酷な環境に絶望して脱出、その後韓国に身を潜めているという国家に翻弄された男だった。もはや誰も信用しようとしない徐であったが、住本は彼の心を動かす唯一の存在‐日本に残した娘‐との再会を条件に日本へ帰国させ、テロの情報を得る足がかりとする。 一方、四係は韓国人の貿易会社社長 金正秀をマークする。四係は彼に日本人国籍を与えた妻 果織に接触、住本は金銭で国籍を売ったと責め立て、協力者に仕立て上げる。テロ計画の内容から韓国国家情報院NISも動き出し事件は国家間の問題となり、もはや外事課だけの事件ではなくなっていく。そんな中、住本は単身ソウルヘ向かう。 異色のダークヒーロー住本を演じる渡部篤郎は今回もいつの間にか全てを支配する凄みを出し、物語の視点役を担う尾野真千子は朝ドラのヒロインを経て存在感を増した。映画版ゲストとして田中泯が国家に翻弄された科学者 徐昌義に、捜査の協力者となる果織に真木よう子が扮しているが、堀切園健太郎監督の長回しカットによるライブ感溢れる撮影スタイルと二人の演技がマッチし、映画に自然な緊張感を醸し出した。本作と似た出自を持つ「ハゲタカ」(09)のスタッフも多く参加したことから、同作を彷彿とささせる重厚かつ見応えのある大人のドラマとなった。 |
宮本さん(女性/19歳/学生) 「宇宙兄弟」 5月7日 新宿ピカデリーにて |
GWが終わり、どうにも重たい気持ちをどうにかしてもらいたくて映画館に行きました。「宇宙兄弟」ならなんとかしてくれるはず!!とかなり期待していたのですが、なんなく、期待値を爽やかに越えていってくれました。 小さい頃の夢に背を向けて生きているムッタ。昔の夢を心の隅に追いやって、今の状態が満足って思いたくて…。今この世に生きている人たちの大半はムッタなんじゃないかぁ。かくいう私もそんな気持ちに共感する一人で。だからこそムッタが昔のテープを聞いて夢を思い出す場面では「あれ、私の夢ってなんだたっけ?」って、知らないうちに一緒になって考えていました。そこで完全に思考を持っていかれちゃったので、その後のわたしの感情はムッタ一色です(笑)。また、ヒビト君が良い。まっすぐすぎて普通の人は直視出来ないような、こんな人が傍に居たら心底自分が嫌になりそうな、そんな凄まじいキラキラ感を存分に発揮してます、岡田将生さん!そりゃあムッタも卑屈になっちゃうよ。って納得させてくれます。一歩間違えたら嫌味になっちゃうキャラクターなのに、本当にひたすら可愛い弟で素敵でした。 というふうに兄弟2人はもちろん素晴らしいのですが、脇を固めるひとたちにも「一人も嫌なやつがいない。みんな魅力的なんだ!」っていうところまで主人公が教えてくれて、本当に何から何まで気持ちのよい映画でした。 見終わった後、5月病なんて吹き飛んでましたよ! |
丸茂さん(女性/26歳/販売員) 「ロボット」 5月17日 渋谷TOEI |
本当にとんでもない映画である。いい意味で。本作はインド映画であり、その国の映画を初めて鑑賞したが、強烈なカルチャーショックを受けた。なんというか…、あまりにも独特な作風は『笑激的』という言葉がピッタリだ。 〈笑激ポイント(1)スーパースターの存在〉本篇が始まる前に作品タイトルとキャスト名が映し出されるのだが、そこで本作の主演俳優であるラジニカーントは『スーパースター ラジニカーント』と堂々と紹介される!…スーパースターって何?もはや、役者の領域を越えてるって事?しかも『スーパースター』の称号が付いているのは、この人だけである!今まで観た事のないキャスト紹介の仕方とインドにおけるラジニ氏の偉大さに、思わず目が点になった。 〈笑激ポイント(2)ストーリー展開〉ラジニ氏演じる主人公のバシー博士は、高性能ロボット・チッティ(ラジニ氏の一人二役!)を開発する。しかし、チッティは高性能であるがゆえに次々と騒動を起こし、更に博士の恋人のサナに恋をしてしまう。しかし、ロボットであるチッティは人間のサナにふられ、更に博士の怒りをかい解体されてしまう!博士を敵視する勢力が絶望に陥ったチッティを超破壊ロボットへと改造し、復讐に燃えるチッティは超・大暴走を始める…というストーリー。面白いが意味不明な展開にただ唖然とするばかりであった。インド映画界自由すぎ! 〈笑激ポイント(3)戦闘シーン〉本作において1番とんでもなく、誰もが度肝を抜かれるであろうチッティによる戦闘シーンは、ド派手でやりすぎ感が満載。特に後半、チッティが竹内力似の超破壊ロボットに改造されてからは、やりすぎ度が120%を超え、言葉では到底説明出来ないレベルに達する…。徹底されたド派手&やりすぎな戦闘シーンの連続に思わず頭が下がった。発想力がすごい! インドの映画産業は、近年ボリウッドと総称されており、今や映画の本場・ハリウッドを超える程の規模と勢いがあるそうだ。確かに、コメディやアクションなど既存のジャンルでは到底くくれない。スーパースター推し&自由すぎ&ド派手&やりすぎな、独特でパワー溢れすぎる作風は、これ自体が立派な一つのジャンルである。その存在自体がまさに『笑激的』!インド映画、恐るべし!日本にいながら異国の文化を肌で感じた、貴重な映画体験であった。興味のある方は、ぜひ大スクリーンで! |