レビュー一覧
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高瀬 倫子さん(女性/40代) 「search サーチ」10月27日 TOHOシネマズ新宿にて |
全編が『PCの画面上』で展開される本作。現代のSNS社会に訴えかけるような、斬新な手法かつ少ない制作費で作られたという前評判が気になり、ハロウィン前で賑わう週末の映画館に足を運びました。 ストーリーは『突然行方不明になった娘を探すため、様々なSNSで娘を探す父親』そして物語は、先述の通りPCやデバイスの『画面上』で繰り広げられて行きます。 画面上とは言え、物語の時代時代で、その『画面』や『起動音』などの作り込みがとても良く出来ており、回想シーンは旧型のOSと、一目で分かるような工夫が施されています。個人的にはWindowsXPの起動音の懐かしさに『おおっ!』となりました。何気ない会話や、一見意味のないような写真が、全て伏線になっているので、目が離せません。「カメラを止めるな!」(18)や「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」(18)同様、大物俳優が起用されている訳ではないのにも関わらず、画面に動き出されるカーソルの『演技』が効果的で、とても上質なサスペンスに予想を裏切られました。 また、この映画は『父親と娘のストーリー』が主軸ではありますが、ネットやSNSを通じた現代の『リアル』が描かれています。サスペンスものですので、終始ハラハラしまくりますが、最後は納得の行く内容かと思いますので、怖がらずにぜひ観て頂きたいです!そして今後ネットで配信されるようになったら、今度はPC画面上で観ることで、また違った臨場感が味わえるのではないかと、今から楽しみにしています。 |
林さん(女性/20代) 「スマホを落としただけなのに」11月5日 T・ジョイSEIBU大泉にて |
スマホやSNSが主流になって久しいこの時代を生きているからこそ、この作品の中で登場人物に襲い掛かる数々の出来事に、単純なホラーとはまた質の違う、新しい感覚の恐怖を感じられるのだと思います。たった1台のスマホから、住所や名前、クレジットカードの情報だけではなく、人間関係やその人物の生い立ちまで知り得てしまう可能性がある。それほどの危険性を持ち合わせていることは分かっている筈なのに、手軽さや利便性といったものが、それらを私達から無意識に遠ざけてしまっています。まさか自分に限って…そんな感情が、深く考えないまま知らないうちにアカウントの登録をしたり、情報漏洩の危険性が無いという確証を持たないまま画面のボタンを押してしまうのです。 このお話の軸はラブストーリーですが、スマホを落としたことによって、さまざまな人達の人生や思惑が絡み合っていきます。それらのキッカケとなるスイッチが一つずつ押されていき、そして段々とスピードを上げて襲い来る予想不能な出来事の連鎖へと向かう様は、何が起こるか分からないドキドキ感を楽しむことが出来ます。 役者の方々のリアルな演技が素晴らしくて、より一層恐怖感を味わうことが出来ました。段々と暴かれていく人間模様も予想外なものばかりで退屈しませんが、何より、自然と彼等に自分自身を投影し、まるで自分も作品の中に入り込んでいるかのように錯覚することが出来るので、特にスマートホンを愛用している人には是非見て欲しい作品です。 |