レビュー一覧
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mayaさん(女性) 「母さんがどんなに僕を嫌いでも」12月1日 新宿ピカデリーにて |
12月に入り、今年の終わりを感じながら観た映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」観終わったあとに心から観て良かったという気持ちでいっぱいになり、みんなに勧めたくなる映画でした。タイトルや予告篇から想像できる通り、育児放棄がテーマでの映画です。歌川たいじさんのコミックエッセイが原作の実話に基づいたお話で、原作は4コマ漫画に近いような形でとても簡単なストーリーになっているのですが、それをここまで深く素敵な映画に仕上げてくださり感謝です。 たいじさん役を太賀さん、お母さん役を吉田羊さんが演じています。ふたりの演技がなんと言ってもこの映画の最大の魅力です。個人的に太賀さんの演技がとても好きなのですが、最近はコミカルな役ばかり観てきたのでシリアスな演技を是非とも観たいと思い楽しみにしていました。また、友人キミツ役で出演されている森崎ウィンさんもこのお話に欠かせない存在で、とても好演でした。 お母さんには愛されなかったけれども、周囲にはいつも彼の味方でいてくれる人たちがいて、その人たちの言葉がとても素敵なのです。映画の中で心に残る台詞がたくさん出てきます。心が優しいたいじさんだからこそ全てを吐露しても受け入れてくれる仲間がいるのだと思います。 親から虐待を受け孤独に生きていた彼ですが、友人キミツの言葉をきっかけに再び自らお母さんと向き合うことを決意します。やはり男の子と言うのはいくつになってもお母さんのことが大好きでタイトルの通り母さんがどんなに僕を嫌いでも僕はお母さんのことがずっと大好きだよという、観終わったあとに親子の関係をすごく愛おしいと思えるそんな映画です。 土曜日の遅い時間の回だったにもかかわらず新宿ピカデリーの大きな劇場はほとんど満席に近い状態でした。年齢層は比較的父親母親世代が多いように見受けられました。映画が始まって最初は見るのが辛いような虐待のシーンが多くあるのですが、前半から既に至る所から鼻をすする音が聞こえてきました。私も例外ではありません。私が個人的に1番泣けたシーンは、おばあちゃんとのシーンです。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、たいじ自身の心が解放された瞬間の太賀さんの演技に涙が止まりませんでした。是非劇場で見て欲しいです。 |
真耶さん(女性) 「アリー/スター誕生」11月20日 試写会にて |
本作は1937年に公開された「スタア誕生」のリメイクです。1937年、1955年に公開された作品はハリウッド女優のストーリーでしたが、本作は歌手としてタイトル通りスターが誕生するストーリーです。 レディ・ガガ演じるアリーは、容姿などが原因で歌手としての活動に恵まれませんでしたが、ブラッドリー・クーパー演じるロックスター、ジャクソン・メインとの偶然の出会いからスターダムを駆け上がります。ストーリーは単純で凄くストレートです。でも、だからこそ響くものがあり、深すぎる2人の愛情に感動すると共に、大きな夢を実際に叶える怖さのようなものも少し感じました。 ストーリー以外の注目ポイントとして、本作では多くの歌唱シーンがあります。特に予告編やCMでも繰り返し流れている主題歌の『Shallow』をジャクソンのライブで急に歌うことになるシーンは、アリーの歌の迫力と、不安で自信なさげな表情だったアリーが、観客の反応や彼に後押しされるように堂々としたパフォーマンスに変わっていく姿に心打たれました。 またジャクソン・メインがとても大きな会場でライブを行うシーンは、なんと昨年行われたイギリスのグラストンベリーフェスティバルにサプライズでブラッドリー・クーパーが登場し、撮影を行ったそうです。 何度もリメイクされている「スタア誕生」という名作がオリジナルですが、本作はリアルなライブシーンを始めとして音楽を凄く楽しめる映画だと思います。「ONCE ダブリンの街角で」(07)「はじまりのうた」(15)「シング・ストリート 未来へのうた」(16)などジョン・カーニー監督の音楽映画が好きな方にはとくにオススメです。 劇中歌はこの映画のためにレディ・ガガによって書き下ろされたもので、主題歌の『Shallow』以外にも多くの名曲が登場します。私は特に『Always Remember Us This Way』という曲がお気に入りで、サウンドトラックを購入し、様々な劇中歌を繰り返し聴いています。 しかしここでは挙げていない曲で劇中で初めて聞いた方がとても感動する曲があるので、あまり予習はせず観終えてから劇中歌をたくさん聞いてほしいと思います。映画を観た後には、ストーリーについてだけでなくどの曲が好きだったか?なんて話も楽しくできると思います。 |