レビュー一覧
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川端七成さん 「破戒」 7月18日(月) 丸の内TOEIにて鑑賞 |
『我は穢多なり』。人は、自分が何者であるかを考えなければならないとき、だいたい弱いほうの立場にいる。弱くて少ない人たちは、強くて多い人たちの気持ちを想像することがあるけれど、その逆はほとんどない。映画「破戒」は、そういう人間の愚かな部分を、改めて見つめ直してしまう作品だった。 本作は、島崎藤村の原作を60年ぶりに映画化したものである。差別をテーマにした物語は、現代においても普遍的な問題を投げかけているように思えた。社会の中で弱者が弱者として扱われるとき、そこには闘うか、諦めるかの2択しかない。『創作は怒りから生まれる』といった類の話をよく耳にするが、闘うことを選んだ人は、『怒り』を言葉や絵や身体に込めて祈る。その『怒り』が産んだものを、諦めざるを得なかった人たちが受け取り、その中に希望を見つけて生きる。その連鎖なのだ。 間宮祥太朗さん演じる瀬川が、『諦めた者』から『闘う者』へと変化するシーンには胸を撃ち抜かれた。畳の上で、いろんな感情に打ちひしがれ、闘志を燃やす。それを観て、私も同じように悔しかった。 歌詞のないエンディングテーマだったが、脳内では椎名林檎さんの「ありあまる富」が流れていた。瀬川は間違いなく富に溢れた男だった。それを誰かに妬まれたとて、その富は誰にも奪うことはできない。価値は生命に従って付いているのだ。 |
小塚すずゆさん 「キングダム2 遥かなる大地へ」 7月19日(火) TOHOシネマズ日比谷にて鑑賞 |
『中華統一』4文字で表せば簡単だけど、小国、大国が幾つもある巨大な土地を統一するということは至難の業、本作はそれを成し遂げる秦国の若き王、そして共に戦う信の話です。 私は漫画もアニメも実は全く読んだことも見たこともなく、前作の映画「キングダム」(19)を先日観たばかりでした。名前など覚えるのが苦手なので、話についていけるのか不安もあったのですが、その不安を吹き飛ばすほど本作を観てひたすら圧倒されました。 戦場の様子、砂埃さえリアルで、軍隊が登場するシーンはお腹に振動を感じ、アクションシーンはずっと鳥肌が立っていました。数多い登場人物全員に特徴があり、かつ豪華俳優たちが演じているので物語にも入りやすかったです!特に清野菜名さん演じる羌瘣のアクションはまるで踊っているかのように美しく惚れ惚れします。 先が読めない展開と、映画館だからこその音響の良さで、映画以外の何もかもを忘れて没頭しました!今回は戦場でのシーンが多かったですが、これからはもっと政治的な抗争が繰り広げられそうで新たな敵たちの出現を予感させます。早く続編を観たい、そして次は誰がどのキャラクターを演じ魅了してくれるのか、知りたくてたまりません!次回作も絶対映画館で観ます! |