レビュー一覧
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中島 杏さん(女性/19歳) 「バンクシー・ダズ・ニューヨーク」4月26日 渋谷アップリンクにて |
ドキュメンタリー映画で面白いと思えたのは初めてだった。今までジャンルを問わずに観てきた方だと思うが、ドキュメンタリーだけは少し苦手意識があった。しかし、バンクシーが好きだった私はもう一度挑戦するという意味でも映画館に足を運んだ。 初めにバンクシーとはストリートアーティストであり、そのアートのメッセージ性の強さから“芸術テロリスト”とも言われる。また、覆面アーティストであることも魅力の一つで、世界中にバンクシーのファンはたくさんいる。そんな謎に包まれた彼の1ヶ月間繰り広げた1日一つニューヨークのどこかに新しい作品を残し、instagramにUPしていくパフォーマンスの一部始終を追っている。 まずこの映画の魅力の一つは飽きることのない展開。彼のファンは宝探しのように目を輝かせてニューヨークの中を駆け巡り、壁に絵を描かれた土地の人は作品を守る人もいれば消し去る人、ましてや売る人も出てくる。その中に取り入れられていているインタビューにはバンクシーのファンだけではなく、否定的な意見も隠さずに描かれていて、私の中で彼に対する考えが何倍にも広がっていくようでドキドキが止まらなかった。 次にバンクシーの作品がたくさん見られるのも満足度が高かった。バンクシーが好きと言ってもネットで検索しては絵の技術に惚れ惚れし、彼は私たちに何を訴えているのかなど思案をめぐらせるばかりだった。そんな作品を人々の意見と合わせみると、美術館に音声ガイドをつけて回れたような感覚にもなって楽しかった。 私は今回の映画を観てバンクシーが尚更好きになれた。路上に描かれる絵は普通ならば落書きとして通り過ぎてしまうだろう。しかし、「都市や屋外や公共の場所こそ、アートが存在するべき場所なんだ。アートは市民とともにあるべきだ」と考える彼の考えに乗ってみると今までとは少し違った面白い世界が見える気がする。一人にもかかわらず芸術を通して世界に与える影響力は、現代のヒーローにも見えた。そんな革命的なアーティストの映画を観て、振り回される時間は最高だった。 |
阪本佳純さん(女性/20歳) 「オオカミ少女と黒王子」 試写会にて |
この作品は、原作の漫画から大好きで、TVアニメもみていましたし、映画ではエキストラとして七回ほど参加し、制服も着ることができました。エリカや恭也たちと同じ学校の生徒でいれて、オオカミ少女の世界にワープしたようでとても嬉しく、楽しかったです。それだけでも作品のファンとしては感激なのですが、念願かなって完成披露試写会にも行くことができ、日本アカデミー賞協会会員としてレポートし、まだ公開前ですが映画を思い出しながら、自分が参加したシーンを思い出しながら、書いているこの時間が幸せです。 「オオカミ少女と黒王子」は、累計発行部数540万部を突破した八田鮎子氏の作品。友人に「彼氏がいる」と嘘をついてしまった見栄っ張りなオオカミ少女、篠原エリカが、嘘がばれないように街で撮影したイケメンの写真を友だちにみせることで乗り切ろうとした。ところが、その写真の彼が同じ学校の生徒だと判明!学校一のイケメンでドSな黒王子、佐田恭也に服従を条件に彼氏のふりを依頼をしたことから物語がはじまります。 長回しが多いのがこの作品の魅力のひとつで、透明感ある映像、オシャレな音楽とともに冒頭から引き込まれる方も多いのではないでしょうか。予告編で「三回まわってお手からワンだな」という恭也の服従ゼリフが飛び出しますが、本編ではとても印象的なかわいらしいシーンになっているので是非注目してみていただきたいです。王道なラブストーリーかと思われがちなこの作品ですが、ひとりひとりの登場人物がとても人間らしく個性的で、恭也とエリカがお互い出会い成長していき、二人をとりまく人物たちも一緒に成長するヒューマンドラマな一面も感じました。 嘘から始まった関係が必然だったかのようにどんどん惹かれあう二人。不器用でなかなかうまくいかない二人にもどかしくなり、しかしお互いを思う気持ちは真っ直ぐさに、がんばれがんばれと、応援したくなっちゃいました。 制服着て全力で恋愛しているエリカと恭也がうらやましくなり、女子高生のあるあるシーンもたくさんあるので高校生時代を思い出しながら、懐かしい気持ちで観ることができました。おばあちゃんも一緒に観にいったのですが、面白かったと言っていましたから、きっと世代問わず楽しめる映画だと思います。最後のラストシーンまでキラキラしていて青春っていいな、恋愛って素敵だなと思いました。Back Numberの主題歌がこの映画を体現しているので、エンドロールも本編として、最後まで見て帰るとよりあったかい余韻を残してくれると思います。 |
陳 珍九さん(女性/38歳) 「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」4月29日 ユナイテッド・シネマ豊洲にて |
原作&映画ファン・作り手、皆が幸せになるには?映画ファンとしてつい考えてしまう問いだ。 マーベル・シネマティック・ユニバースは同じ世界観の中に様々なマーベルヒーローたちが共存するシリーズ。今回の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」が第13作品目。これが!原作&映画ファン夢のシーンが満載!作り手の原作へのリスペクト、愛情を感じた。 悩みながらもベストを尽くす不完全なヒーローたちに自分を重ね共感できる事も原作のメッセージが作品に反映されているからだろう。そして!未来への道を照らす光を私たちにくれる所がこの映画の「ただの実写化」で終わらない点。シビルウォーは内戦の意味だが「自分と違う考えの人々が集い幸せを目指すには?」が今作のテーマかと。 同じ問いに日本的な心温まる答えを出していたのが「ちはやふる上の句・下の句」こちらも大健闘の感動作!特に真剣佑くんと松岡茉優さんの原作そっくり度&演技が!!続編の製作決定も納得だ。100%原作を実写化しても面白くない事はファンも理解済みな気がする。心の友である原作だから大切にしてくれる良い相手(作り手)に嫁がせたい。原作と映画の幸せなウェディングを今後も沢山祝いたい。 |