レビュー一覧
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山﨑 光さん 「四月になれば彼女は」 |
映画は私にとって大袈裟ではなく生き甲斐であり、映画館に足を運ぶことが人生の楽しみです。そのような中でぴあ特別会員に選んでいただき、日本アカデミー賞に携わることができるということで、こんな形で想いが実を結ぶことがあるものなのかと正直今でも実感が沸いておりません。この栄誉ある状況下を1年間楽しませていただきながら努めてまいります。 今回鑑賞した作品は「四月になれば彼女は」です。本作品は川村元気氏が書き上げたベストセラー恋愛小説の映画化作品です。公開前からかなり話題となっておりましたので鑑賞いたしました。派手な演出や描写はなく、劇的な出来事などもない、終始綺麗で優しく静かに進んでいくような映画でした。 素晴らしい景色とマッチした音楽、錚々たるキャストが繰り出す繊細な演技によって、観ていて非常に心地いい映画でした。友人や恋人、家族と長く行動を共にしていると側にいるのが当たり前で、お互いの気持ちを察知し配慮するのは当然のことであるという風になりがちです。しかしながら劇中の言葉にもあるように、愛することをさぼってはいけない。義務的な配慮ではなく思いやりを忘れてはいけないと再認識させられました。 |
高井さやかさん 「アイアンクロー」 |
小さい頃、両親と「ロボコップ」「インディー・ジョーンズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズなどを観て育ち、映画はいつも私にとって1番身近で最大級の娯楽でした。私はどこにでもいる、ただただ映画が好きな、普通の会社員です。そんな私の視点からではありますが、皆さんが気軽に映画に触れていただく機会になれるよう、この1年間は沢山の映画を観て感想をお届けできればと思います。 今回ご紹介したい作品は「アイアンクロー」です。1980年にプロレス界で旋風を巻き起こしたフォン・エリック家の実話を元にしており、呪われた一家と呼ばれるようになった理由と彼らの運命を描いた本作。プロレスを魅せながらも単なるスポーツ映画で終わらない、胸を打つ重厚な家族ドラマが描かれていました。 この映画には"有害な男らしさ"の問題や、現在では”毒親”とも言われる家族関係の問題が描かれています。父親の期待に応えられる様、必死にトレーニングに励み、家族を愛し、信念に忠実に生きる彼ら。次第にその信じるモノに蝕まれ、押し潰され、自らを失っていく姿は観ていてとても苦しくなり、想像以上に泣いてしまいました。しかし、この作品はその"有害な男らしさ"の問題を描くだけでなく、これから先の未来へと希望を感じるような、優しい問いかけを残す映画だとも思いました。 "頼れるお兄ちゃん"であろうとする主人公ケビンの葛藤や愛。セリフが少ないながらも感じるザック・エフロンの繊細な好演もとても印象的です。特にラスト20分ほどは何度も反芻してしまう美しさがありました。是非映画館でご鑑賞ください。 |
すずかさん 「オッペンハイマー」 |
初めまして!まさか自分がぴあ特別会員に選ばれるなんて思ってもいなかったので、選ばれたときは本当にびっくりしました。これから一年間、素敵な映画のレポートを皆さんにお届けできるように頑張ります。どうぞよろしくお願いします。 さて、記念すべき一本目の映画は「オッペンハイマー」です。ご存知の方も多いと思いますが、この作品はアカデミー賞で数多くの賞を受賞し、世界的に注目を浴びている映画の一つです。この映画は、原爆の父として知られる原爆開発者オッペンハイマーの物語です。 私が実際に観た印象は、巷でいわれているような反核や反戦といったこと以上に、人間の醜さに焦点が当たっていると感じました。特に、オッペンハイマーを利用した権謀術数の限りを尽くした権力争いがもう一つの見どころだと思いました。敵が味方に、味方が敵に、いっときも目が離せません!クリストファー・ノーラン監督の真骨頂を感じました。 オッペンハイマーという人物についてあまりご存知ではない方は、軽くリサーチしてから鑑賞するのをおすすめします。気になった方は是非劇場に足を運んでみてください。これから一年間よろしくお願いします! |