レビュー一覧
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川端七成さん 「さかなのこ」 9月12日(月) ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞 |
映画の描かれなかった部分に、どうしようもなく胸を締め付けられることがある。「さかなのこ」はさかなクンの物語であり、さかなクンをつくりあげた人たちの物語であるが、彼らの語られなかった部分の物語に思いを馳せ、思わず涙が溢れた。 例えば、ミー坊の両親が別々に暮らし始めた経緯とか、レストランでヒヨが恋人とケンカをした理由とか、モモコに子供を産ませた相手は何者だったのかとか。流れを追っていれば、想像することは難しくないのだけれど、それをあえて誰かが直接語ったり、作中で説明しなかったところに、この映画の良さが詰まっているような気がした。きっと、ミー坊自身にも語られなかった物語がたくさんあるのだろう。その意味を想像したい。その温かさに気付きたい。想像力は大切な人を守るのだ。 何かを好きでも、何も好きじゃなくても、ふつうでも、ふつうじゃないかもしれなくても、自分の居場所を見つけられたら、それが答えになる。たとえ他人の居る場所が自分のものとは違うとしても、想像力を持ってお互いを許し合えたら、世界はこんなにも優しくて温かい。のんさんのビー玉みたいにキラキラした目が、本当に、本当に綺麗だった。私もあの目を、確かに持っているはずなのだ。 |
小塚すずゆさん 「沈黙のパレード」 9月18日(日) TOHOシネマズ上野にて鑑賞 |
『あのガリレオが映画で帰ってくる』そう聞いたときは、絶対に観ようと思うと同時に既にワクワクを感じていました。久しぶりの新作に心を躍らせたファンはきっと多かったでしょう。 福山雅治さん演じる天才物理学者の湯川教授、柴咲コウさん演じる内海刑事、北村一輝さん演じる草薙刑事3人のやり取りは依然として健在で、ついニコニコしてしまいます。物語は、夏祭りのパレード当日に起きた事件と数年前の少女失踪事件の真相を解き明かしていくというもの。事件が起きた日に一体何があったのか、『沈黙』する登場人物たちの中で、パズルのピースを少しずつはめていく湯川先生の推理が快感です!最後は予想していなかった方へ向かうストーリーの展開に、とにかく目が離せません。 観終わった後の映画館のお客さんの様子も面白く、結末に驚き呆然としている人、すぐさま感想を隣の人と共有しようとしている人など様々でした。この映画は鑑賞したらその驚きの結末を誰かと話したくなるような映画です。観終わったら、タイトルの意味をもう一度考えることになると思います。皆さんもぜひ湯川先生の謎解きを楽しんだ後考えてみてください!このミステリー、実に面白いです! |