レビュー一覧
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水姫クミさん(女性/30代) 「マエストロ!」 2014年12月2日 試写会にて |
「誰もが、人生の主人公なんだ…」と映画館を出た時、そう私の心にキラキラとした熱い気持ちを思い出させてくれました。脇を固めているのも実力派の俳優達が揃い、誰のお話が中心になったとしても、一人ひとりが感動できるキャラクターとストーリー。香坂役・松坂桃李さんの、鋭く熱い目が凄かった!miwaさんは、お芝居が初めてだったそうですが、全くそうは感じさせず、天真爛漫な、あまね役にピッタリでした。指揮者の天道徹三郎は、口は悪いし破天荒だし…嫌なオヤジ。でも私は憎めなかった。むしろ、たくさん笑顔になってしまいました。西田敏行さんの魅力が爆発しています。私個人的には、大石吾郎さん演じる、定年を迎えた後、体力の衰えを感じ自信をなくしているヴァイオリニスト村上の物語が、特に心に響きました。 「マエストロ!」はプロのオーケストラの物語ですので、俳優達は、演じるだけでなく、プロ同様の弾き方もマスターする必要があったそうです。通常、役者が演技のために弾き方を習う際は、画面に映る部分のみを集中的にやりますが、今回は時間をかけて基礎からしっかり特訓しているとの事で、皆さん、本当に弾き方も楽器の扱いも、プロでした!クラッシック音楽が好きな方は勿論、そうでなくても、笑ってウルウルして、あたたかい映画です。 申し遅れましたが、今回、日本アカデミー賞ぴあ特別会員という素晴らしい機会を頂き、心から嬉しく感謝しております。数多くの映画を観て、日本映画を盛り上げる一員として頑張ります。 |
川澄典子さん(女性/38歳) 「くちびるに歌を」 3月13日 109シネマズ ムービルにて |
この度「ぴあ特別会員」という栄えある資格を頂くことが出来、大きな喜びと身の引き締まる思いを感じている。私にとって初となる今回の映画レポートでは「くちびるに歌を」をあらゆる年代の方々に自信を持ってお勧めしたい。アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を聴きながら、五島列島の美しい風景とエンドロールを見つめながら、涙が止まらなかった。 代用教員として五島列島のある中学校に赴任して来た元ピアニストの柏木は、あるトラウマからピアノを弾けなくなっていた。合唱部の生徒達は柏木に伴奏も指導もしてもらえない上に「県大会に出場するような実力はない」とまで言われるが、合唱に対する情熱を持ち続け、一丸となって県大会出場に向けて練習を重ねて行く。一方、柏木は癒えない悲しみを抱えながら仕方なく引き受けた仕事にも合唱部の顧問にも打ち込めないでいた。しかしやがて、ただただ明るく見える生徒たちも計り知れない悲しみを抱えながら生きていることを知る。そんな中、柏木は音楽室でピアノに向かった。初めて聴く柏木の演奏は生徒達の心を癒し、同時に柏木自身も癒されていくのを感じた。この時柏木は、逃げずに立ち向かうことを決心したのであった。 この作品を通して、小学生はこれから経験する中学時代に胸を躍らせ、中高生は合唱部の生徒達に自らを重ね合わせ、そして私達大人は、通り過ぎた十五歳だった日々を振り返りながら、生徒達の透き通る歌声に癒されるであろう。 |
森泉涼一さん(男性/28歳) 「風に立つライオン」 3月29日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて |
1987年にさだまさしがケニアで働く実在の日本人医師をモデルに楽曲を制作。それを基に彼が2013年に東日本大震災の出来事を織り交ぜたフィクション小説を執筆し、三池崇史監督のメガホンにより映画化された。 ケニアの研究施設へ派遣医師として赴任する島田航一郎。赴任から半年後に赤十字病院への協力要請を受ける。そこは戦場で戦わされ負傷した少年兵たちが運ばれる施設だった。航一郎は人に頼まれると断れない何でも引き受けてしまう人間。ここでの仕事は手足の切断という治療が中心となっている為、彼にとって人一倍過酷な状況だったに違いない。その中で麻薬の禁断症状が絶えない少年ンドゥングやこの診療所で唯一の日本人看護師和歌子との出会いが航一郎の活力となり、人命救助に一層励むようになる。 航一郎を演じた大沢たかおは、同監督作品「藁の楯」(13)でも主演を務めていたが、この時の熱い男っぷりは今回も健在である。ただ今回の役どころはただ熱いだけではなく、一つ一つの言動に重みがある。特に言葉では名言といってもいいぐらいのメッセージを数多く残しているので是非注目してほしい。看護師である和歌子を演じた石原さとみもケニアロケという過酷な現場の中、類まれなる美貌はこの大地で一際輝いていた。そして多くの少年たちも現地でオーディションを行い選んでいる。決して演技は評価できるものではないものの、時折見せる素の彼らは演技以上に光るものがあり見所である。 |
美菜さん(女性/40代) 「インド・オブ・ザ・デッド」 3月26日 ヒューマントラストシネマ渋谷にて |
日本アカデミー賞協会ぴあ特別会員に選ばれたとわかったのはレイトショーの映画を観た帰り道。メールを見たとたんに深夜なのにぴょんぴょんと飛び跳ねたくなりました。とにかくたくさんの映画が観たいと思って、ほぼ日課のようにおかしいくらい映画館に通っていたので、ぴあ特別会員に選ばれたら通う名目ができると思ったものでした(笑)。 公開が少なくてなかなか観られないかもしれないですが、今とにかくお勧めしたい映画があります。映画のタイトルは「インド・オブ・ザ・デッド」。インド初のゾンビ映画ということで、公開前から面白そうだなあと思ってました。ゾンビ映画、そんなに好きなわけでもないのに。ゾンビ映画としてのいろいろなものを守りながらコメディ映画としてとても面白い映画です。映画館の200人近いお客さんとみんなで笑って思わず拍手も出て、映画館で映画を観ることの楽しさを実感した映画でした。DVDで見ても面白いだろうけど、劇場でたくさんの人が一体になるようなあの体験によりずっとずっと面白くなる映画だと思います。公開が広がって映画館での幸せな体験ができる人が増えるといいなと思います。 |
坂本 彩さん(女性/20代) 「暗殺教室」 3月25日 TOHOシネマズ渋谷にて |
原作が漫画だからこそできる、普通の映画では見られないようなシーンも織り込まれていて、テンポが良いコミカルな作品でした。殺せんせーの声優が嵐の二宮和也さんだったことも話題になったと思います。 あらすじとしては、落ちこぼれの3年E組に担任としてやってきた謎の生物「殺せんせー」を生徒達が100億の報酬を求め暗殺しようとする、という話です。はじめは、生徒達も暗殺の腕だけを向上させることに躍起になっていますが、殺せんせーは生徒達を一人前の暗殺者に育てるために「先生」として技術以外に必要なものを教えていきます。「謎の生物」対「それを暗殺する若者」と「先生」対「生徒」という2面の性質を持っているため、一筋縄ではいかないコミカルな内容になっています。 個人的には、殺せんせーのCGと菅田将暉さんの演技が見どころだと思います。マッハ20で銃弾を軽々と避ける殺せんせーのスピード感をポップに表現しており、見ていて飽きませんでした。また、菅田さんの演技は、さすが日本アカデミー賞で新人俳優賞を獲った俳優!という印象でした。役どころが頭の良い不良少年で、いつもその場の状況を俯瞰しているような生意気な表情もとても良かったです。 これから1年間、映画から感じたことを上手く言語化できるように頑張りたいと思います。 |