| 丸山美歌さん 「終点のあの子」 1/25(日) アップリンク吉祥寺にて鑑賞 |
| 私立女子高校へ通う女子生徒の心のゆらぎを描いた「終点のあの子」を紹介します。内部生の希代子は、純真で大人しく引っ込み思案な性格。それに比べて帰国子女で外部生の朱里は大人びた風貌で、型にはまらない自由奔放な性格。 ある日希代子が朱里の日記を見てしまったことから2人の関係は変化し、徐々にクラス全体をも巻き込む事態へ。 女子校の解像度が高い作品であると耳にしたので、同じく私立女子校出身の身として、好奇心とともに鑑賞しました。恐らく女子校に対する偏見から生じる、陰湿ないじめが描写されているんだろうと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。確かにスクールカーストや同調圧力の描写はあるものの、いじめを扱う作品によく見受けられるいやらしさのようなものは薄かったです。人間誰しもが持ち得る他人への羨望や妬み、あくまで等身大の女の子を描いたまで。ただそのリアリティさには心がヒリヒリするような感覚でした。またフレッシュな面々の圧倒的な存在感は華やかで清々しい。個々のキャラクターもしっかり位置付けられていて、好印象でした。 私はこの1年間たくさんの映画に触れることができました。映画鑑賞を主軸とした毎日で、夢のような忙しさで満たされていました。私にとって映画とは知見を広げ、人生を彩ってくれるもの。これからも映画館へ足を運び、作品と対峙する時間を大切にしていこうと思います。 |
| 河村あずささん 「ウォーフェア 戦地最前線」 1/17(土) T・ジョイ エミテラス所沢にて鑑賞 |
| 今年度、ぴあ特別会員に選んでいただいたことで、これまで以上に『映画が好きだ』『映画館が好きだ』という想いと、素敵な作品を届けてくださる方々への感謝の気持ちに包まれた、幸せな1年を過ごすことができました。 ぴあ特別会員として、最後にご紹介したい作品は「ウォーフェア 戦地最前線」です。映画が始まった瞬間、私は戦場のど真ん中に放り込まれたかのような感覚に陥りました。いつ爆弾が投げ込まれるのか、いつ銃弾に狙われるのか。生々しい臨場感に、鑑賞中の心拍数は上がり続け、全身に力が入りっぱなしでした。これは映画鑑賞というよりも、戦場を疑似体験させられる感覚に近い作品です。鑑賞するだけでなく、体験させることができる点に、映画の新しい可能性を強く感じました。エンターテインメントともドキュメンタリーとも異なる、新しい映画の形を見せてくれます。 その生々しさは、演出の力ではありません。本作は、実際にイラク戦争に従軍した監督が、自らの記憶を掘り起こし、共に従軍した仲間たちへの聞き取りを重ねながら、脚色やハリウッド的な演出、劇伴を排し、彼らの記憶だけを忠実に再現することに徹して作られた戦争映画です。 ヒーローもヴィランも存在せず、戦争の善悪を語ることもしません。ただ無添加のまま、原液のまま、戦争の恐ろしさを突きつけてきます。戦争を題材にした作品は、決して気軽に楽しめるものではありません。それでも、本作は多くの人が一度は向き合うべき『現実』を、体験として突きつけてくれます。 一人でも多くの人に、この映画を観てほしいと、心から願っています。 |
| 江守太一さん 「モディリアーニ!」 1/16(金) TOHOシネマズシャンテにて鑑賞 |
| 本作はジョニー・デップが30年ぶりに監督を務めた作品です。演出には一目でわかるほどジョニー・デップ監督の色があり、動きやセリフの間合い、視線の置き方に至るまで、その感性は画面全体に行き渡っています。才能が評価されず、孤独を抱えるモディリアーニの内面を無理なく引き出しており、人物への深い共感と敬意が感じられます。 その説得力を支えているのが俳優陣の存在です。主演のリッカルド・スカマルチョは、狂気と脆さを行き来する難役を繊細に体現し、アル・パチーノら脇を固める俳優たちも、物語に確かな厚みを与えています。 物語は緊張と緩和を繰り返し、その流れの中に、ペストの仮面やダンテの地獄篇といった象徴的なモチーフが差し込まれ、戦争の恐怖や心身の崩壊が静かに浮かび上がります。途中で挟まれるフィルム調の映像は、モディリアーニが確かにそこに存在していたという伝記の一頁を覗き込んでいるかのような感覚を呼び起こします。評価されない苦悩は、芸術家だけのものではありません。本作は、一人の芸術家の人生の一断面を描きながら、その痛みを通して、観る者自身の人生にも静かに重なってくる作品です。 今年は映画界にとって、大きな盛り上がりを見せた一年でした。その中で、ぴあ特別会員として多くの作品に触れ、その魅力をレポートとしてお伝えできたことを光栄に思います。 一つひとつの作品に誠実に向き合い、映画が持つ魅力や余韻を読者に届けたいと考えてきました。その積み重ねが、少しでも皆様の心に残り、誰かが映画館へ足を運ぶきっかけとなっていれば、これ以上の喜びはありません。映画業界のさらなる発展と、映画を愛するすべての方々の未来を願い、ここに一年の締めくくりといたします。 |